伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ136

2020-03-17 23:45:43 | ジャコシカ・・・小説

そんな自分を否定する気持ちはなかったが、この地で過ごした全てを忘れたいと願った心が悲し

 

かった。

 

 長い間、無駄な一人芝居をしていたのだと認めるのはやはり辛かった。

 

 暫くは入江の家で過ごすと決めたのは、正しいと思った。

 

 新しく歩き始めるには時間が必要だし、それはこの場所からでなければならなかった。

 

 そんな気持ちがあやを急速に赤間家に、とり分け清子と千恵に近付けた。

 

 山菜採りに二人を誘ったのはあやだった。

 

 入江の背後の山は山菜の宝庫なのだ。

 

 子供の頃は二人の姉妹と、その急な斜面を歩き廻るのは、春一番の楽しみだった。

 

 清子も千恵も誘いに目を輝かせた。

 

 「行く! あや姉が札幌に出てからは一度も行ってないもの。時々豊兄やお父さんに別の所には

 

連れて行ってもらっていたけれど、入江には一度も行っていない。是非行きたい。

 

 私達山菜採り大好き。子供の頃と同じよ」

 

 千恵は体を弾ませながら言った。

 

 「今頃は行者ニンニクが一番でしょう。採るのも楽しいけど、その後で食べるのも楽しみ。うち

 

では皆大好きだもの」

 

 清子も嬉しさを隠し切れない。

 

 「それにね、行者ニンニクは後は食べる楽しみだけたからいいのよ。蕨(わらび)や蕗(ふき)は採る時は夢中だけれど、家に帰ってからが大変、茹で(ゆ)たり皮剥いたりアク出ししたり塩漬けしたり、私いつも途中

 

で逃げ出しちゃう。

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