退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-04-17 06:03:41 | 韓で遊ぶ


ユリの貯金箱

ユリは今年6歳になる子供です。
人をうらやむことなく仲良く幸福だったユリの家に不幸が訪れました。パパの仕事がうまくいかなくなって、暮らしも苦しくなったのです。
「ふぅ、、、。」
一日中ため息をついているママがある日、化粧台の後ろの隙間に500ウォン硬貨を投げ入れて言いました。
「ユリはパパの誕生日に何を買ってあげたいの。」
「うぅん、、、パパの靴。」
「靴、そしたら私たち、それまでここにお金をためましょう。」
貯金箱の代わりに化粧台の後ろの小さな隙間にお金を貯めることにしたのです。
ユリは小さな顔に力をこめてうなずきました。そしてママはそのことをすっかり忘れてしまいました。
黄色のレンギョウが咲いたある春の日、パパの誕生日の前日、ママは、逆さにしても小銭ばかりがこぼれ落ちる中身のない財布を手に持って、心が痛くてどうすることもできませんでした。
その時、ユリが化粧台の後ろを指差して言いました。
「ママ、あそこ、パパの靴、、、。」
「靴?」
けげんな顔をしたママは、ユリのまじめな顔をのぞきこみました。その時、かすかな記憶が浮かびました。ママは化粧台を前に引っ張ってみました。埃が白く積もった隙間には、いつの間にか小銭がたくさん積もっていました。
「あらまあ、いつの間に、こんなに。」
ユリが自分のお小遣いを一銭も使わないで化粧台の隙間の秘密貯金箱に入れておいたのでした。
ユリとママは手をしっかりと握って、そのまま市場へ行き、パパの足にぴったりのしっかりした靴を買いました。元気の出たパパは、ユリの買ってくれた新しい靴を履いて、新しい職場を探しに行くことになりました。ユリがパパに駆け寄って行き抱っこされながらパパの耳元でささやきました。
「パパ、パパ、今度はママの靴を買ってあげなきゃ。」
「そうだ、そしてその次はユリの靴を買おう。」
パパは500ウォン硬貨をひとつユリにあげました。ユリはその硬貨を秘密でない秘密の貯金箱に入れたのでした。
コメント
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