退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-04-22 06:10:28 | 韓で遊ぶ


親が子を思う気持ち

実家の父が、久しぶりに娘の家に来ました。
地方の小さな町に住んでいる父、孫に会いたくて慣れない町のビルディングに圧倒されながらも、娘の家に出かけてきたのです。
「わぁ。おじいちゃん。」
「あれ、家のチビちゃんたちは、みんな元気だったかい。」
母が亡くなり、定年退職までしたせいか、何ヶ月かの間に10年は老けたように見える父、私は何か食べさせてあげようと、急いで夕食の準備をしました。その間に父は、三輪車に乗るのが好きな上の子を連れて公園に行ってくると出かけました。
それから2時間ぐらいたったでしょうか。電話が鳴りました。
「もしもし。」
電話から父の慌てた声が聞こえました。子供が怪我をしてあごを4針縫ったということでした。
とても驚いた私は、そのまま電話を切ってあたふた病院に走って行きました。
あごに包帯を巻いて痛そうにしていた子供は私を見るなり泣き出しました。
「う、、、うぁ、、、うぁん、、、」
泣く子供を胸に抱いて、私は父をいきなり怒りました。
「子供に何てことしてくれたの。」
父は叱られた学生のように、うなだれたまま何も言いませんでした。
治療が終わって家に帰ってくる途中、父は三輪車を引きながら何も言いませんでした。そうやって家に来て子供を寝かせ、やっと気持ちが落ち着き父を探した時、父は荷物をまとめていました。
すっかり落とした肩を見るなり、怒りにまかせて浴びせた言葉がとても後悔されましたが、私はかばんを奪って、またそっけない言葉を言ってしまいました。
「遅くなったから、夕飯でも食べていって。」
とても後悔して、これだから娘を育てても何の甲斐もないというのではないかしらと自責しながら、すまない気持ちで夕飯を準備しました。
「夕飯、、、」
部屋の戸を開けると、どれだけ驚いたのか青白い顔で上の子の横に身をすくめたまま、力なく寝ている父、、、。
その時になってやっと父の額の傷が目に入りました。子供のあごの小さな傷にはあんなにも心を痛めながら、父の額の大きな傷に気がつかなかったダメな娘。
私は胸をなでおろして父の額に謝罪の絆創膏を貼ってやりました。気配を感じて目を開けた父が起き上がりました。
「すまないなぁ。びっくりしたろう。」
「お、、、お父さん、、、」
子供が親を思う気持ちがいくら深いといっても、親が子供を思う愛にかなう事はないということをやっと悟ったのでした。
コメント
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