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白菜売りの良心
住宅街を通って野菜を売る移動野菜売りがいました。
「さあ、新鮮な白菜だよ。白菜、、、買ってよ。買って。」
この野菜売りは、家の前の通りで白菜、大根のような野菜を積んで来ては町内のおばさんたちを集めていました。
ある日、外出から帰ってくる途中、白菜がとても新鮮に見えて6株買った私は配達を頼みました。
「棟と号数だけ教えてください。持って行きます。心配しないで。」
「5棟415号よ。」
私は何の疑いも持たず、棟と号数を教えて白菜の代金を払って家に帰りました。ですが、持ってくるといった白菜売りが夕方頃になっても来ませんでした。
乾いた空に急に黒い雲が押し寄せてきて、夕立がひとしきり激しく降りました。雨が降って遅くなったのだろうと思って待っていた私は、雨がやんで晩になっても白菜売りが来なかったので、怒りがこみ上げてきて我慢できませんでした。
「まったく、1万ウォンぐらいのお金で良心を売るなんて、、まったく。」
「そんな物売りを信じたお前がまちがいだったのさ。ただ、なくしたと思え。」
夫は慰めとも叱責ともつかない言葉で私の気持ちを逆なでし、私は落胆した気持ちで寝ました。
次の日は天気も良くて洗濯をしました。パンパンはたいてベランダで干していたお昼頃でした。
「ピンポン。」
「どなた。」
「あの、もしや昨日白菜を買いませんでしたか。」
私はすぐに戸を開けました。玄関の前には、汗まみれのみすぼらしい身なりの男が立っていました。昨日の白菜売りでした。私はうれしい気持ちよりも叱責するほうの気持ちが先に立ち、たしなめるように言いました。
「ええ、そうよ。で、何で今頃来たの。」
白菜売りは、すまなそうに頭を掻きながら紙切れを差し出しました。
「棟、号数を書いた紙が雨に濡れて、、、みんな滲んで最後の5だけが残ったんですよ。」
彼は、すごく驚いて見つめる私の表情には心を留めませんでした。
「だから、この団地の中の5号と言う5号はみんな回ったのですが、日が暮れてしまって、、、これ、すみませんでした。」
彼は頭を下げて私に謝罪しました。彼はかくれんぼのような家探しに本当に疲れたように唇まではれていました。
「まあ、私はそんなこととも知らず、、、」
彼は、お昼でも食べていきなさいと引き止める私の手を振り切って、これからでも商売に行かなければならないと言って帰って行き、私はそんな彼を疑った自分が恥ずかしく頭を上げることができませんでした。