退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-04-21 06:52:42 | 韓で遊ぶ


老人と海

静かな海辺の村に一人の老人が住んでいます。
老人は今日も網を整えて背負って家を出ました。老人は白内障の治療をちゃんと受けることができずに視力を失った視覚障害者です。
ですが、彼は、毎日小船を操り海に出て魚を獲りました。
漁場まで張っておいたロープに沿って船を動かして行き、失明後、何倍も鋭敏になった指先の感覚を利用して網にかかった魚の動きを読むのです。
クロソイ、鯛、コノシロなど、今日も彼が仕掛けた網には型の大きな魚が10匹以上かかりました。
老人は網の中でピチピチはねる魚を引っ張りあげました。
「やあ、やあ、じっとしていろ、お前たち、、、そんなに暴れたらまた網が破れる。」
魚がピチピチ跳ねる音を聞いて老人の顔には笑が浮かびました。
熟練した腕で暴れる魚をすくいだして、裂けた網目まで探し繕う老練な漁師でした。
老人が視力を失っても漁師としてやっていられるのは、若い息子の隠れた孝行のおかげでした。
軍から除隊したばかりの息子は、大都市に出てちゃんとした仕事をする機会をすべて捨てて、父に従って漁師になったのでした。
海を捨てることができなという父のかたい思いをあきらめさせる代わりに、絶望を乗り越えて再び立ち上がろうとした父の眼になろうと思ったのでした。
老人は、息子が海への道を見守っていてくれ、船を安全な所へうまく行くようにしてくれ、破れた網を縫っておいてくれていることをまだ知りません。
もしや、父が自信感を失ったらと思うと怖くて、影のように息を殺しながらするからです。
それだけではありません。老人が家に帰る夕方になると、丘の上の家には老人が方向を失わずに家に向かえるように、彼が好きな歌を大きな声で歌って門の外に立って待っているやさしい嫁がいます。
ふんふん一緒に歌いながら来る老人の顔には笑みで満ちています。
老人は世界で一番明るい目を持った幸せな漁師なのです。
コメント
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