映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

アマデウス(1984年)

2021-10-27 | 【あ】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv440/

 
 以下、wikiよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 1823年11月のある夜、ウィーンの街で自殺をはかった老人・アントニオ・サリエリが、精神病院に運ばれた。彼は病床で「許してくれ、モーツァルト!君を殺したのは私だ」と言い続けていた。

 後日、病状が安定したサリエリを神父フォーグラーが訪問し、話を聞こうとする。当初は神父を蔑み拒否していたサリエリだが次第に軟化する。そして、にわかには信じ難い驚愕すべき内容の告白を始める。

 サリエリは、若い頃は音楽への愛と敬虔な信仰心に生きており、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える作曲家として、人々から尊敬されていた。しかし、彼の前に天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが現れたことが、サリエリの人生のすべてを変えてしまう。

 その類い稀なる音楽の才能は大衆から称賛され、天真爛漫かつ下品で礼儀知らずな人間性は他の作曲家から軽蔑を受ける。しかし、ただ一人サリエリだけは、「モーツァルトの才能が神の寵愛を受ける唯一最高のものであること」を理解してしまい、自分はモーツァルトの真価が分かる才能しかない凡庸な人間だと思い知らされる。

 そしてモーツァルトへの激しい嫉妬に苛まされるサリエリの苦悩が、大きな悲劇を生んでいく。

=====ここまで。
 

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 “いまさら名画”シリーズ2作目は、特に意図はありませんが、本作を選びました。ディレクターズカット版じゃない、オリジナルの方を見ました。

 この映画、どこでも褒めちぎられており、みんシネでも平均点8.36点(本日時点)でランキングTOP20(レビュー数30以上)に入り、古い本で恐縮ですが『戦後生まれが選ぶ洋画ベスト100』(文春文庫)でも、堂々8位にランキングしております(ちなみに1位は『2001年宇宙の旅』)。

 公開時のことは全く知りません……。その後、テレビで何度もオンエアされているので、ながら見なら何度もしていますが、最初から最後まできちんと見たのは今回が初めて。ながら見していたときから、本作の素晴らしさがイマイチ分からなかったのだけれども、それは「ちゃんと見ていないからだ」と自分に言い訳をしてウン十年生きてまいりました。

 話は逸れますが、モーツァルトの曲(全部知っているわけじゃもちろんないが)の中で一番好きなのは「クラリネット協奏曲」なんですが、本作内ではちらりとも流れませんでしたね、、、ごーん。


◆天才と秀才

 あまりに有名な映画なので、感想はいたるところで語り尽くされた感があり、まさしく“いまさら”感が半端ない、、、。けれど、敢えて書くぞ、感想を。

 エンドロールが流れ始めて思ったことは、「え、、、、これで終わり?」でした。長いので、やっと終わった感もあったけど、それだけに、ちょっと拍子抜けでござんした。

 良かったのは、衣装とか美術とか。あとオペラのシーンはどれも目に楽しい。

 あの時代、電気がないから、灯りといえば、炎なんだよね。豪華シャンデリアも、舞台のライトも、ぜーーんぶ本物の“火”……という、本筋とは関係ない所にやたらと目が行ってしまった。こないだ見た『コレクティブ 国家の嘘』の冒頭シーンで、火が舞台装置に燃え移ってあっという間に大火災、、、だったのを思い出し、昔はあんなに本物の火を一杯使っていて、火事にならなかったなんてスゴイな、、、と。まあ、これは、中世くらいの映画を見ているとよく感じることではあるけれど。実際は、あれだけの蝋燭の火、相当な熱で暑かったんじゃないかしらん?とも思ったり。

 本作については、サリエリがモーツァルトに猛烈な嫉妬心&対抗心を燃やして嫌がらせしまくる映画、、、くらいの認識だったんだけれども、蓋を開けてみれば、別に、サリエリさん、そんなにヒドい人ではなかった。というか、極々常識的で、紳士やった。そら、腹の内はいろんな感情が渦巻いていたとしても、少なくとも本作でのサリエリの内面描写は、それを感じさせるものではなかった。

 本作は、巷では“天才vs凡人”みたいに言われているが、サリエリは決して凡人ではなく、努力の人、つまり秀才だ。だいたい凡人には天才の凄さが理解できないものだ。それに、本作で描かれているサリエリは、現実を受け入れている。才能の凄さを見抜いても、悔しくて見て見ぬ振りをし、受け入れられない人だって一杯いるのに、彼はちゃんと受け入れている。それは、誰にだって出来ることではないだろう。

 受け入れるからこそまた、苦しんでもいる。自分が逆立ちしたって叶わないことを、これでもかと見せつけられ、嫉妬に襲われるサリエリを、F・マーレイ・エイブラハムは実に巧みに演じていらした。

 けどそれは実に抑制が効いていて、それだけにサリエリの葛藤も窺えるのではあるが。強いて言えば、策士な側面があるけど、策士になり切れてもいない。バレエを採用する・しないで、皇帝にかけあってあげると言いながら何もしなかったことも懺悔していたが、そんなん、可愛いものじゃん? そんなことを懺悔するほど引きずっていたなんて、むしろサリエリさん、良い人じゃないか、、、と思ってしまったのだけど。

 レクイエムを書かせた=殺した、とサリエリは思い込んでいるのだが、まあ、そこまで呪い殺す(と思い込む)ほど醜い感情が渦巻いていたということの表れ、、、と受け止めるべきか。

 史実のサリエリの方が、きっと、もっと悪意があった人なんじゃないかなぁ。何でフィクションでこんな紳士キャラにしちゃったんでしょう?? どうせなら、もっと徹底的に嫌なヤツにした方が面白いのに。やることなすこと全部裏目に出て、モーツァルトに都合の良いように事が運んじゃう、、、みたいなブラックコメディにすれば良いのに、と思った。


◆嫉妬

 このブログでもところどころで書いているけど、男の嫉妬について、私はいくつか間近で見て来たので、実に嫌な感じしか持っていない。ただ、私の見てきた男の嫉妬の多くは、男→男、ではなく、男→女、のもの。

 もちろん、色恋の嫉妬じゃないですよ。社会的な嫉妬です。そう、「女のクセに」っていう、アレです。何かしら優れている女性に対する男の嫉妬は、実にイヤらしい。相手を貶めないと、自分を維持できないなんて、お気の毒としか言い様がない。美人を攻撃する男もいた。「チヤホヤされてイイ気になってんじゃねぇよ」って、、、。その美人さんは別にイイ気になどなっていなかった。むしろ、孤高のクールビューティだったんだけど。

 サリエリ→モーツァルトの場合、史実ではモーツァルトは気付いていたが、本作内では全くサリエリの屈折した感情に気付いていない、という描写だった。終盤「あなたに嫌われていると思っていた」と涙ながらに感激してサリエリに言うモーツァルトは、まさに天然、、、。相手が全くこちらの感情に気付いていないというのもまた、嫉妬心を抱く身としては張り合いがないというか、アウト・オブ眼中と言われているみたいで、なお惨めかも知れぬ。本作内のサリエリも、それだからこそ、あんな自殺未遂行為に及んだとも考えられる。

 孤高のクールビューティだからこそ、より嫉妬してしまうんだろうね。相手にされないから。恋愛感情だったらストーカーになるのかもだけど、社会的嫉妬の場合は、嫉妬する側がひたすら惨めになるという、、、。本作のサリエリと同じだ。

 女→男の嫉妬もきっとあるんだろう。私が見聞きしていないか、見聞きしていても認識できていないだけかも知れないが、、、。少なくとも、私自身、その能力に嫉妬心を抱いた男性(or男子)って、いないなぁ、、、。女性もいない気がするが、、、。誰かに嫉妬心を抱くほど、何かこだわりを持って努力した経験がないからなんだな、多分。こんなテキトー人生でいいのか、心配になって来た、、、。


◆その他もろもろ

 音楽は、オペラが多かったけど、オペラシーンはエンドロールを見たらやはり口パクだったんだね。

 音楽監督はネヴィル・マリナー。N響で何度か聴いたが、割と好きな指揮者だったのよね。今回、モーツァルトがピアノを弾いたり指揮をしたりするシーンがたくさんあるが、マリナー氏が指導しているらしい。モーツァルトを演じたトム・ハルスは、演奏している姿も指揮っぷりも実に堂に入っていてビックリ。ピアノを弾く姿勢など、ホントにプロの音楽家みたいだったし、指揮も実に自然な身体の動きで、やはり役者さんは器用なんだな~、と感心してしまった。

 皇帝ヨーゼフ2世を演じていたジェフリー・ジョーンズが何気にステキだった。トム・ハルスが小柄だからか、やたらと背が高く見えたが、実際大柄みたい。『クルーシブル』『スリーピー・ホロウ』にも出ていたのか、、、。

 サリエリ役のF・マーリー・エイブラハムは、オスカーも納得。少し前に見た『薔薇の名前』が印象的。『大統領の陰謀』とか『グランド・ブダペスト・ホテル』にも出ていたなんて、ゼンゼン知らなかった。

 ……まあ、超有名映画ではありますが、感想としては、普通に面白かった、というのが正直なところです。

 

 

 

 

 

 

 


実際のモーツァルトもかなりお下劣だったらしい、、、。

 

 

 

 

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