作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv11495/
以下、AmazonのHPよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。
=====ここから。
1863年、イギリスの植民地カナダの港に一人の娘が降り立つ。
彼女の名はアデル・ユゴー(イザベル・アジャーニ)。かのフランスの大文豪ヴィクトル・ユゴーの娘。彼女は父と共に亡命中に出逢い、恋に落ちたイギリス軍中尉ピンソンを追って単身大西洋を越えてきたのだ。
しかしやっとの思いで見つけたピンソンの心は、既に冷め切っていたことを知る……。
=====ここまで。
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少し前に「ヴィクトール・ユゴー言葉と権力 ナポレオン三世との戦い」(西永良成著/平凡社新書)という本を読んで、ユゴーといえば、レミゼかアデルくらいのイメージしかなかった(映画絡み)のだけれど、この本を読んでイメージがかなり変わったというか、、、。亡くなったときに国葬されたフランスの英雄であったとは知っていたけど、なぜ英雄とされていたのか知らなかったので。……で、なるほど、このような人物ならば国葬もされるのか、と多少理解しました。引き換え、今我が国で国葬されようとしている人は、、、控えめに言って、国賊じゃないですかね?
それはさておき、その本の中で、このアデルの事件も少しだけ触れられていたけど、精神的なダメージについて言及されていたのは長女の水難事故の方でしたね。アデルの件もまあ大変だったんでしょうが、外国でのことだったし、どうしようもなかったんでしょうかね。ちょっと本の内容も忘れかけているので定かじゃないですが、、、。
で、そんな本を読んだ後に、『生誕90周年上映 フランソワ・トリュフォーの冒険』という企画があって、本作をスクリーンでどうしても見たいと思いまして先月行ってまいりました。ほかにも見たい作品があったんだけど、スケジュール的にちょっとタイトだったんですよねぇ。……と思っていたら、来週からアンコール上映されることになっていた!!
というわけで、ようやく感想です……。
◆私を見て!!
本作を初めて見たのは、多分、30年くらい前だと思う。その後、1~2回見たように思うが、スクリーンで見たのは今回が初めて。で、前回見てからは、少なくとも10年くらい経っているので、大方忘れており、一番ビックリしたのは、ピンソンが私の記憶していたのより(優男だけど)イケメンだったってこと。
……これ、アデルを演じたのがアジャーニでなければ、映画として成立していなかっただろうと思う。トリュフォーが長年企画を温めながら実現しなかったけれど、アジャーニを見てすぐさま脚本を書いた、っての、すごくよく分かる。圧倒的な美女だからこそ、狂っていく様が映像として見られるのであって、並みの容姿だったらホラーですよ、マジで。アジャーニだから、悲劇の映画になっているけど。
今回、初めて引っ掛かったのは、アデルが“書くこと”に結構こだわりを見せていたこと。あまりに偉大な父親なもんだから、彼女が書きたいと思って、実際に書いているのだが、それらは父親のビッグネームが圧倒して端からなかったことになっていくわけね。何かを“書いた”ことにすらならないという、、、。
ピンソンへの手紙、ユゴーへの手紙、日記(手記)等々を紙を買っては書くのだが、映画の中でもそれらがどうなったのか、ちゃんとは描かれていない。ピンソンへの手紙のうちの何通かは、ピンソンに届けられたんだけど。
演じたアジャーニは18歳だったけど、実際のアデルは、30歳過ぎだったらしい。で、本作内でも度々描かれていた姉(ユゴーの長女)の水死。前述の本にもあったように、ユゴーはこの水死事件にはかなり消耗した様で、アデルにしてみれば、自分の書いたものが端から埋もれていく中で、父親の消耗を目の当たりにし、父親のにとってのアデル自身の存在意義を大いに疑うことになったのに違いない。
そんな折に出会ったピンソン。優男ピンソン、アデルがユゴーの娘だからと、甘い言葉を浴びせたのだろう。アデルが真に受けたのも、それでピンソンに病的にハマったのも無理はないという気がする。彼女の承認欲求は極限に達していたのだ、、、。
若い頃の私には、そういう背景は全然見えていなかった。今回も、んん?という感じだったが、考えながら時間が経って、ようやくピンと来たというか。前述の本を読んでいたのが大きかったかも。
けれど、結局、アデルはピンソンにも必要とされず、彼女の承認欲求は行き場を失う。そりゃ病むわね、、、。
この映画を、ストーカーものだと言ってしまえば、それはそうかも知れないが、アデルの置かれた立場を思うとただただ辛い。だって、彼女はそうはいっても、自分がユゴーの娘であることを支えとしているのだ。そんな矛盾を自己の内面に抱えて、苦しくないわけがない。
◆その他もろもろ
それにしても、アジャーニさまの美しいことよ、、、。もう、スクリーンに釘付けだった。
だんだんヤバくなっていく様が実にリアル。『カミーユ・クローデル』もそうだったけど、こういう“こわれゆく”人間を演じさせたら、彼女の魅力は全開になる気がするなぁ。それはやはり、あの美貌のなせる業でもあるだろう。
ピンソンを演じているのはブルース・ロビンソン。私の記憶よりだいぶイケメンだった。今回wikiで調べたら、彼は、俳優よりも脚本書いたり監督したりで活躍している様子。ゼッフィレッリの『ロミオとジュリエット』にもベンヴォーリオ役で出演していた!!知らんかった。
ピンソンが軍の訓練中に、アデルが現れるシーンがあったのだが、アデルが完全に病んでしまった後より、このシーンが私は一番キツかった。客観的に見れば、KYなヤバい女でしかないのだが、もうそういう話じゃないんだよね、、、。
ただ、史実的に言えば、アデルは30歳を過ぎていて、当時の30歳過ぎの女性と言えば、今の感覚とは大分違うだろうから、ピンソンもかなり恐怖を感じたことだろう。傍から見ても、アデルに同情する人は少なかったかも知れぬ。当時は、父親のユゴーも亡命中だったようで、なかなか身動きが取れなかったというのもあるだろう。まあ、ユゴーも決して清廉潔白じゃない人だったから、見放していたのかもしれないが、、、。
カミーユ・クローデルも、アデルも、長い間精神病院に入れられてそこで人生を終えている。嗚呼、、、。
偉大過ぎる親を持つと、子は生き辛いかもね。
イザベル・アジャーニ、私にとって永遠の映画の女神です!美貌も演技も神ががってますよね~。このアデルとか観たら、もう最近の邦画の女優とかショボすぎてトホホ。アデルの彼女の清冽な美しさ、憑依的な演技は衝撃的!アジャーニ初体験はアデルではないのですが、リバイバル公開で念願のアデルを観ることができた時には、こんな女優がいるなんて…と、あらためて畏れおののいてしまいました。また観たくなってきました!
アジャーニがオゾン監督と組んだ新作、早く日本で公開されないかな~。アデルから約50年!後のアジャーニは怪女優っぽくなって、最近は珍しく働き者みたいです。
アジャーニさまの美しさ、本当にただただ見入ってしまいます。
オゾン監督の新作! どんな作品なんですかね。
何かアジャーニさまの今のお姿を見るのも楽しみのような、怖いような…。
そう言えば、DDLとの息子くんの画像見たことあるんですが、なんかこう…あんましイケてない感じでしたねぇ。いや、十分カッコいいんでしょうけど(^^;;