12月5日は本願寺伝道院を見学しました。
「京都市京セラ美術館会館1周年記念展 モダン建築の京都」の連携企画として公開されています。
本願寺伝道院(重文)は東京築地本願寺など数々の名建築を手がけた東京帝国大学教授・伊藤忠太が設計した建物です。
明治45年(1912)に真宗信徒生命保険株式会社として建てらました。
本体の建物は地上3階、地下1階ですが竣工当時には附属屋、倉庫2棟、物置、人力車置場、便所などがありましたが、現在は本館のみが残っています。
外装は19世紀の英国ヴィクトリア様式ですが、ドーム屋根にはイスラム建築様式が、その外側に付けた石製の欄干は日本の伝統建築様式、隅飾りにはインド風の石造彫刻が取り入れられるなど各国の建築様式を折衷した非常に面白い建物です。
伊藤忠太は明治35年(1902)から3年間アジア・ヨーロッパに留学経験があり様々な様式が混在した本願寺伝道院を設計したのでしょう。
1階の玄関ホールです。
元は生命保険会社の社屋として建てられた建物なので外観に比べて簡素に感じます。
しかし、天井や照明、彫刻にはアール・ヌーヴォーやセセッションの雰囲気を感じさせる重厚さがあります。
2階の「講堂」にはご本尊の阿弥陀如来立像が安置され講義の教室になっていました。
入口には講義の始まりを知らせる「雲板(うんぱん)」が吊るされています。
各部屋には「智慧(ちえ)」、「歓喜(かんき)」、「清浄(しょうじょう)」など仏教に関する名前が付けられています。
伝道院の北側と西側には道路に沿って、先端に空想上の怪獣の石造物が載った柵注(さくちゅう)が並んでいるのもユニークさを感じます。
かなりの老朽化が進んでいましたが、宗祖・親鸞聖人750回大御忌にあわせて保存修理工事が進められ、平成23年(2011)に竣工しています。
平成23年(2011)には国の重要文化財に指定されています。