”人は誰もが、心の中に一枚の絵を持っている”
世界を統一するために行われた戦争。その後、統一された世界政府によりあらゆる芸術が規制を受け始めた世界。
そんな世界でかつての名画を世界各地の壁面に描くアートテロリスト”破壊者(ヴァンダル)”が現れる。
何故、名画の複製画を描き続けるのか。その目的とは?
『Der Kunst Ihre Freiheit!(芸術に、その自由を!)』
・・・第16回電撃小説大賞の金賞受賞作です。
大賞と金賞どっちを読むか迷ったんだけど、なんか金賞の方が自分に合ってそうだったので、金賞を読むことにした。
世界の名画の解説があったりするんだけど、分かるのはゴッホの「ひまわり」だけだったな(爆)。ぁぁ、最初の風神雷神もそうか。
基本的には見た絵をそっくりそのまま描くことが出来る(ただの複写ではない)「転写眼」の能力を持つ少女エナと戦争で全身サイボーグとなった男ハルク、そして超AIのネーヴォの3人が世界各地を巡ってそこで出会った人にとって大切な”心の中の一枚の絵”を描くという話。
あと、”ヴァンダル”を追いかけるインターポールの特殊捜査班のゲティスバーグとカッツェの2人がエナたちをどう追い詰めていくかも見所の1つだね。
所謂、一昔前までは結構あった怪盗vs刑事だね。最近では名探偵コナンの中でしか見られないんじゃないかと(コナンvs怪盗キッド)。ファンタジー要素の強い作品が多いライトノベルでは珍しい部類だと思う。最近やたら多い”萌え”の要素も皆無だしね(エナは可愛いけど萌え要素は無いと・・・思う)。その2つが読む決め手となったかな。
絵にまつわる話やその絵を重ねた物語になっていて、とてもよくまとまってる作品になってると思う。若干の謎は残ってるけど続刊でも出す予定があるんだろうか?
絵画のことを知らなくても(私も知らないし)十分楽しめる内容になっているので興味のある方はどうぞ。