小平市議会で「核兵器禁止条約への参加を求める意見書」が2対4の賛成多数で3時間にも満たないたった一度の議論で総務委員会を通過し、最終日20日賛成多数で可決した。
各会派の立場としては大要3つに分類された。
①「核禁条約参加」以外は認めない立場
②「核禁条約とNPT核拡散防止条約は相互補完的」の立場
③「NPT核拡散防止条約」をあくまで中心とすべき立場
市議会公明党の主張は②番目で、核軍縮から核廃絶へと新しいアプローチをした核禁条約は高く評価をするが、現実としてNPT核拡散防止条約は、核兵器保有国も非保有国も参加している現行の国際規範であり、核禁条約に参加すればすべてが即時解決するというような単純なものではないということだ。
それどころか現実として現在アメリカの核の傘の下にある日本が、短絡的に核禁条約に参加すると言った場合どういうことになるか。それは=アメリカの日本を守る核の拡大抑止力を断ることになり、同時にそれは、日本独自の核抑止策を示さなければ国民を危険にさらすこととなる。
つまり核禁に至る重大な工程・プロセスを示さず、情緒的に「核不拡散より核禁止が正しい」といった論調は危険であり、国民の生命を守る対応ではない。故に両者を相互補完的なものとしてお互いを補い合いながら進める漸進的進め方が必要であり、日本が主導し異なる立場の国々が参加する「賢人会議」を実りあるものとしていくべきだと主張するものだ。
これに対し、提出者代表のフォーラム小平委員の答弁は、NPT推進国をあたかも反社会的国家による暴挙であるかのような極めて感情的、不見識な主張をし、政和会委員にたしなめられ発言を撤回した。
その後、市議会公明党からの意見書の内容修正の提案、例としてあげた「核拡散防止条約と核兵器禁止条約の相互補完による核兵器廃絶を求める意見書」という方向としてはどうかとの提案に対し、提出者代表議員は一定の理解を示し、修正に応ずる意思をいったんは示した。
それに加え、それまでの質疑に対し、提出者代表議員が「一議員の立場では答弁できない」とした点、その他意見書の核心に関わる重要な部分に対し「わからない」との答弁が多数あった事からも、委員会審査は次回へ継続が相当と思われる流れであった。
しかし、取扱いについて諮ると、委員会で一言も発言しなかった委員から「議論は尽くされた」と発言があるなど、一転して継続は拒否、採決の結果、可決すべきものとなった。
後日の本会議の討論で、修正案を出せなかったから採決に至った等の表現があったが、委員会の議事録を見れば明らかな様に多数決で継続審議が否決されてしまったものである。
この意見書は、民主系のフォーラム小平、共産党、生活者ネット、無会派議員1名の共同提出である。小平市議会は現在、定数28人に対し欠員1名で27人。
そのうちいわゆる市長与党会派は無会派議員を入れて計15人、野党会派は計12人の構成となっている。やろうと思えば、議長を除いて14対12で常に市長与党会派提出議案が多数決で可決されることとなる。
民主主義のルールと言えばそうかもしれないが、日頃国政に対し「数の横暴」「強行採決」と叫びながら、小平市議会ではまさにそれを地でいっていることにはならないか。大きく意見が二分している意見書を「小平市議会名」で提出することには違和感がある。
もっと言えば中身の理解が乏しいまま、合意形成などする気がなく、提出することそれ自体が目的とするようなやり方は自粛すべきである。
地方議会はミニ国会ではない。意見が大きく二分する国防・外交など国会の所管事項について地方議会でミニ国会を演じるべきではない。議会が28人もの定数を定めているのは、28種類の多様な意見を議論して合意を作り、半か丁かではない市民意見を反映させるためだ。
小平市議会基本条例施行から丸4年を迎えようとしている。見直しにかかる予定の時期はとうに過ぎている。それぞれの党派の主張は政治活動として存分に行えばよい。今は基本条例の検証を全議員をあげて取り組むべき時ではないか。
あぶかわひろしは今日も行く
あぶかわ浩(虻川浩)小平市議会議員のホームページ