無意識という不思議な世界
匠 英一著 河出書房新書
<吸わなくても大丈夫という体験>
健康が心配だとか、職場で嫌煙家に
いやがられているなど、さまざまな理由
から、「タバコをやめたほうがいい」と思
っているのだが、なかなかやめられない。
そんな人は多いことだろう。
タバコ好きは、タバコを吸うことを正当化
する理由を思いついて、また吸ってしまう。
言いかえれば「タバコを吸わずにいると、
ストレスがたまってイライラしてしまう」などと
思いこんでいて、タバコをなかなかやめら
れない。そんな人でも、無意識的な心の
働きを理解すれば、タバコを止める方法が
ある。例えば、睡眠療法で知られるミルトン
・H・エリクソンのところに、あるとき、「10
分も吸わずにいると、苦しくて我慢できない。
死んでしまう」というほどのヘビースモーカー
が、相談にやってきた。エリクソンは、相手
とのコミュニケーション・リズムをつくる形で、
その人がタバコに手を伸ばしかけたとき、
さりげなくじゃまをして、タバコを吸わない
ようにしむけた。そうして、1時間ほどたった
とき、エリクソンがたずねた。「あなたは1時間
タバコを吸いませんでしたが、死にましたか?
苦痛でしたか?」そこでその人は、自分が1時間
タバコを吸わずに人と話をしていたこと、苦痛
ではなかったことに気がついた。
もちろん、そんなふうにそれまで信じ込んで
いたことを崩されると、人は、あとで、「どうして
自分はあの1時間吸わなくても平気だったん
だだろう?」と、理由を考える。それは別にか
まわない。実際に「タバコを1時間吸わなかった
が、平気だった」という新しい体験をいたという
ことが重要なのだ。人間にとって、自分がじっさい
に体験したということほど、説得力をもつものは
ないからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
若い時のあの初めて吸った時の感動に戻りた
くて禁煙ができない。ずるずると引き込まれて
しまう。どんどん感覚は麻痺してしまう。
どうなってもいい願望もありますね。私は絶対に
タバコを体から離さずに禁煙に成功しました。
吸いたくなったら水をのむと効果があります。
常にタバコを身につけて、吸いたくなったら水を
腹いっぱい飲む。ニコチンが水に流されて体外
へと出されていきます。それが実感できますね。