齋藤 孝著 マガジンハウス
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「ムカつく」と「キレる」のメカニズム
◎ーーキレるの裏にムカツクの海がある
ムカツクという言葉が流行し始めたのは
1980年代である。キレるという現象
が問題にされたのは90年代の半ば過ぎ
である。(中略)
ムカツキを連発している子供や若者の方
がキレやすいというのが現実である。ム
カツクとキレるは流行の時期がずれてい
るように見えるだけで、実際のメカニズ
ムとして深く結びついている。キレるが
起こる温床として「ムカツキの海」があ
るのである。(中略)
新任の中学教師が中学生になめられてキ
レてしまい、相手に「ふざけんじゃねえ」
と言いながら殴って傷を負わせ、後に謝罪
したという出来事が私の身近であった。
その教師は「ほんとにムカついた」と言っ
ていた。現実はここまで来ている。
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▼こんなに何もかも恵まれた時代に暮らして
いて「ムカツク」とは何と贅沢なと思ってし
まう。「ムカツキ」が増殖して教室中が「ム
カツキ」の海になって授業ができず教師はそ
れこそキレてしまうのでしょうか。私たちの
頃思春期の多感な時期「ムカツキ」をクラブ
活動で発散させていたようです。半ば強制的
に入部させられて、結構大会で好成績をあげ
て今でも会うと栄光の時の記録を誇らしげに
話す。