ミドルシニア的な自分らしい幸せな暮らし方

事例案件3000件以上の経験を持つ住まい&収納デザインのプランニングプロが日常の気づきを面白おかしく綴る日記

ちょっとしたお話(母・・)

2009-07-16 | 日記
朝慌ただしく支度をして
今年、86歳になる母を病院に送っていく。

小さい体で腰をおさえながら車を降りていく・・

「ここで降りたらその信号を渡って右にいきんさいよ」
「わかったわかった」
「車に気を付けて帰るんよ」
「うんわかった。わかった。あんたも気を付けていきんさいよ。はいはいありがとう」
「なんかあったら携帯に電話してね」
「うんうん・・」
母と話すときは広島弁。
広島弁でしゃべると伝わるが、関西弁や標準語は理解しにくいらしい


車のドアを閉め車を出す
小さい体がゆっくりと動いている・・
大丈夫かな・・と見送る


母は4年ほど前に広島から引き取った。
私は長女で一人っ子。
夫は長男で姉二人、今年2月に亡くなった夫の父を広島から引き取り
その後、年老いて独り暮らしをしていた母も引き取ることを
夫が勧めてくれた。その時は嬉しかった。


父がいるときは、父の介護があり、
母は一所懸命に私を気遣い、私を助けてくれていた

今年2月に父が亡くなったことも原因なのか、年齢的なものなのか
急に物忘れがひどくなってきている。夫も母のことを気遣ってくれている。

年老いた身体で良く働き、周りの人を助けるということを
一番に考えることのできる母である。
前向きでいつも明るく陽気で元気が取り柄の働き者(褒めすぎやろ~!)
田舎者で遠慮のないものいいには、娘である私は「もうーッ」となり
言いたいほうだいのことを言ってしまうこともある(反省
ごめんね・・と心では思う。


夕方家に帰り、夕飯の支度をしていると・・

私の後ろ姿に向かって
「今日はどうしたんかしらねえ・・病院を出て歩きよったら・・
どんなに歩いても道が分からんようになって・・またひっくり返して
病院までやっと帰ったんよ。」
「そうなん・・」と私。
「暑いのに・・やっとバス停まで着いてやれやれじゃったわ」
「そうじゃったんね」と私。
「バスに乗って、いっつも西賀茂車庫までいくじゃろう、
みんなが降りたんじゃけど、まだ次じゃ思うとったら、
運転手さんにおばあちゃん終点ですよ。いうて言われたんよ」
「道をまちがえたけえ、日傘をどっかに忘れてきたんじゃけど・・
どこに置いたんかわからんのんよ」
「・・・・」

帰ってきた時、玄関の傘立てに母の日傘があったのを見た私・・。
「傘は傘立てにあったよ。見にいってみてごらん」
母が玄関に見に行った。
戻ってきて「おかしいねえ・・今日はどうしたんかしら・・どうかなっちょった。」
「大丈夫よねえ・・物忘れもするし、勘違いもあるから仕方ないよ」と私。
今日は暑かった・・熱い中不安に思いながら道を焦りながら歩き回った母
さぞ疲れたやろう・・



父の時もそうだった。
ちょとしたことが「おかしいなあ」と思う行動が始まり
日常に支障がきたされるようになっていった。

自分が自分に自信がなくなる。
自分を信じられなくなる。
不安に思う。
子供に迷惑を掛けるようになるかもしれない・・。そんな思い。

無くなった父の荷物に父自身が残したメモがあった。
自分の記憶が曖昧になり自分の行動に不信感が出始めたころの
自分への戒めの言葉や反省など。

自分が自分であることが失われていくその時の苦悩を思うと
やりきれなく辛く思う。
母もきっと今日はそんな思いだったのだろうと思うと辛い。



娘が帰宅し、今日の出来事を話すと・・
「おばあちゃん最近ご飯の量も減ってきたね。一人で病院から帰るのは
もう無理になってきてるんやろうね。出かける時には迷子札をつけてあげた方が
いいんじゃない? 気をつけたあげた方がいいね。」
「そうやねえ・・」と私。

緑内障で目も見えにくく耳もかなり遠くなってきた母
父の介護で隠れていたのかもしれない母の老いに今更気づく。

たぶん母の一番の不安は・・
「娘に迷惑をかけてはいけない」なんだろうと思う
父がいる頃よく二人で話していた。
「子供らに迷惑かけんように元気でおらんにゃあね・・」
「ほんま・・ほんま・・」
リビングで二人で話すその声を今も覚えている。

おじいちゃんも「すまんのうすまんのう・・」とよく言っていた。
「迷惑なんかじゃないよ家族なんだから・・

私は子供として当然のことをしている。
父や母がいなければ、夫も私もいなく娘たちもいない。
今の幸せな暮らしも全て父や母のお陰の上に成り立っていると思う。


私も年老いていけば・・父や母のように子供に迷惑をかけたくないと
きっと思うに違いない。親は子供の幸せを一番願っている。
自分自身で楽しく自立した生活、人生を送っていきたいと思う。

誰かの世話になりたいなんて思う人がいるのだろうか・・



自分が親の立場で考えれば考えるほど父や母の不安や辛さがよく分る。
だけど毎日が

アラフィー・・そんな世代なんだと思う

ごめんね「おかあちゃん」




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