波佐見の狆

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'Passing Years' 

2008-12-19 18:09:42 | Harry Sever

 

Harryのトレブル時代の歌声を聴ける(無料でダウンロードできる)サイトは、実はいくつかありまして、CDには収められていない貴重な録音も多いので、一度まとめて紹介したいと思ってはいるのですが、著作権の問題が不明のサイトもあるので、そのあたりを関係者に確認してからと思って、まだやっていないのです・・・・。

(・・と言いますか、Harryカテゴリを独立させてHP化して並行運営する計画が、殆ど頓挫状態のため<決して凍結じゃないんですよぉ~>、あれこれ構想段階からなかなか進まないわけです。。

今日取り急ぎ紹介するのは、Winchester Collegeの数学の先生であるColin Upton氏らが中心となって制作した'From Innocence to Age' というタイトルのCD中に収められている、’Passing Years'という美しい曲です。つまり、Winchester Collegeオリジナルの作品なのですが、クラシックではなくて、どちらかというとイージーリスニング的な仕上がりになっています。

まずは、こちらにて早速お聴き下さい。

 'Passing Years'

featuring Harry Sever(treble),  Ed Goble (tenor), and Craig Ogden(guitar)

Music by Colin Upton and lyrics by Malcolm Hebron & Colin Upton

ギターによる穏やかで控えめなイントロに続き、'Dream clouds drifting..... silently seeping...Through a window blurred with fears...と、大変繊細な、つぶやくくようなボーイソプラノで始まるので、一瞬、ん、これHarry?と思って神経を集中させなければならないのですが、Now it’s all so hard to rememberの, 特に'remember'のこの知的な洗練されたビブラートは、まさししくHarry!でして、嬉しくなります。

seepというのは、水や光が隙間から漏れる、染み出す、という意味。ここでは、雲間から太陽がちらほら指してくることを言っているのでしょう。(be) blurred with~は「~でぼんやりする。かすんでいる、不鮮明である」という意味。blur 「ぼんやりさせる、感覚などを鈍らせる」という他動詞の受身ですが、物理的、抽象的にとにかく「はっきりしない、ぼやける」ということを言うのにイギリス人が日常よく用いる言葉の一つです(「ブラ~」という発音がいかにもぼぉーっとしているという感じの単語で覚えやすいかと)。

不安で翳んだ窓ごしに微かに太陽のあたる窓辺から、流れる雲を見上げ、遠い若かりしころの見果てぬ夢に思いをはせる、年老いた人の心境?と日本語にしてみるとなんだかしょぼいですし、特にこの歌詞にメッセージ性があるわけではないので、あまり歌詞の内容にこだわらなくてもいいのですが、ともかく、このdriftingとかseepingとかblurredといった、微かでぼんやりとしたイメージの言葉を効果的に表現するために、わざと、きわめて繊細で弱い音で(あえて頭声を押し込めるように??)歌っていると私は思いまして、Harryの表現力の幅広さをあらためて感じました。皆さんはどういう感想をもたれるでしょうか。

'From Innocence to Age'というのは、意味としては、「天真爛漫であった幼い(若い)ころは過ぎ去りいまや老年」??ということですが、、、遠く過ぎ去りし幼いころの夢や希望はもう思い出すことも難しいくらいに、自分はもうすっかり年を取り、あのころの自分とは別人になってしまい、不安や怖れの方が大きくなってしまったが、果たせなかった夢が今も懐かしい。。。といったいわば中高老年の人生賛歌なのですが、録音当時13歳で、innocenceの真只中であったHarryが、まるで人生の終盤に近づいて遠く少年時代を振り返るかのような、静かな達観した歌い方をしていることに驚かされます。

後半を引き継ぐテノールがまた素晴らしい。Ed Grobleさんって何者?と恥ずかしながらわからなかったのですが、、そうそう、Cantores Episcopiのテノールの1人でした!'Hey Jude'や 'Girl'などのリードヴォーカルを思い出してください!Cantoresのテノールは2人いて、ちょっと甘い感じの声のMatのほうが調子が悪かったこともあり、さらっとしたクールな感じのするEdの声を、私はとりわけ気に入っていたのでした・・・

さらに、Harry とEdの二重唱になり、最後Harryのレークイエーーームの余韻にいつまでも浸ってしまいます。心に染みるいい曲ですね・・・

私はこの録音の存在を、たまたまJudyさんからつい先日教えていただいたのですが、Harry Severで検索していればヒットするページですので、もしかしたら他のHarryファンの皆さんは既にご存知かもしれません。私は全然知らなかったので、思いがけないクリスマスプレゼントを頂いたなあーーととても嬉しかったのです。

なお、上記メンバーでの'From Innocence to Age'の録音は、2005年4月なのですが、その前年にも別のメンバーでも録音されており、その際、’Passing Years'のトレブルだったのが、Nicholas Stenning君。2001年度のYoung Chorister of the Yearですね。このCDですが、私は持っていません。お持ちの方は、Nicholasの'Passing Years'がどんな感じだか教えてください!

              

実は・・・仕事からはまだ解放されません。。。が、クライアントさんの方で次の原稿がまだ準備できていないということで、ちょっとだけ時間ができたので、急いで書きました。今日明日で年賀状を全部済ませねば・・・・