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Die Schone Mullerinの中でも私が特に好きな曲が, track 11の'Mein!'(僕のもの!)である。Harry自身もこの曲がとりわけ気に入っていると言っていた。
主人公の粉挽きの若者が、親方の娘に対する片思いを募らせていく。いつまでたっても彼の空回りで、娘の方は彼のことなどまったく眼中にないのだが、それでも、生まれて初めて人を好きになった若者は、あの娘は僕だけのもの!という気持ちだけが果てしなく激しく燃え上がり、その感情を小川や水車や鳥にぶつける。
小川よ、せせらぎの音を立てるな。
水車よ、ごとごと廻るのをやめよ。
大小さまざまの元気な森の小鳥たち、
おまえたちの喋りはもうたくさんだ!
今日は森の内でも森の外でも
ただひとつの詩だけを響かせよう。
「愛しい水車小屋の娘は僕のもの!」と・・・
まず、伝統的なバリトン/テノール版ではどんな感じなのか試聴してみよう。
フィッシャー・ディースカウ(バリトン)
http://listen.jp/store/album_00028941518620.htm
フリッツ・ヴァンダーリッヒ(テノール)
Harry のDie Schone Mullerinをお持ちの方は、同感してくださると思うが、あまりに雰囲気が違っていて同じ曲とは思えないくらいではないだろうか。
バリトン/テノールver、つまり「おじさんver」の方は、テンポも遅く、思索的というか、何かしら物悲しげである。「ああ・・貴女は私だけのもの・・・・こんなに貴女を愛しているのに・・・貴女はつれない...私はどうしたらいいのだ・・・・」と切々と歌い上げる雰囲気だ。ちょっと演歌っぽい感じすらある(私も試聴だけの感じで言っているので、語弊があったらお許しいただきたい)。しかし、Harry verは、Nadanaiのピアノ伴奏からしてテンポが速く、きびきびとして、苛立つ感情が爆発する。小川よ、水車よ、小鳥たちよ、黙ってろ!僕の言葉だけ聞けー!あの子は僕のものだあ!!誰にも渡すもんかあ・・・・・
決してshoutしている訳ではない。実に品がいい。Harryの育ちの良さはどうあっても隠せない。だが、確かに強い苛立ちが伝わってくる。おじさんverが演歌とすれば、Harry verはロックである。カッコいいのだ。歌唱法はもちろん典型的なクラシックだが、spiritがロックである。どんなふうにしてこの曲を歌っているのか、これだけでもビデオクリップとかを作ってくれればいいのだが・・・。
この一気に伸び始めた若芽のようなパワフルな歌い方がとにかくいい。従来のボーイソプラノのmain featureであった「清らかな天使の歌声」とは大きく一線を画すものである。
伝統的なシューベルトとも、ボーイソプラノらしいボーイソプラノとも異なるこの'Mein!'は、好みが大きく分かれるところかもしれない。しかしともかく、人のやらないことをやってこそ、超一流の芸術家だと私は思う。
私は家で仕事をしているが、仕事中も大抵音楽を聴きながらやっている。BGMかけながらの仕事なんて、マジにやっていないんだろうと思われてしまうかもしれないが(確かにしょっちゅう気が散っていますが・・・)私にとってHarryの歌声は「BGM」ではない。もっと積極的にmind と brainに働きかけ、脳細胞全体を活性化し、ひいては仕事の質を高めるパワフルなenergizerとなっている。
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Harry SeverのMein!は試聴はできません。CDをお買い求め下さい。今のところ、海外のオンラインサイトに注文する方法しかありません。
(もし、欲しいけど海外のサイトから取り寄せることが面倒だという理由で、購入をためらっている方がおられましたら、代理で購入してお送りできますので、メールでお尋ね下さい。)
Tadpole Music
http://www.tadpolemusic.com/index.htm
£12($24)
Abergavenny Music
£14.99
Tadpoleはりリース元であるから、こちらが安いのだが、ただしTadpoleから求めるにはPayPalという送金システムのアカウントを持つ必要がある。Abergavenny Musicの方は、PayPalも受け付けるが普通のクレジットカード入力もできる。
ちなみに、PayPalについては。。。
http://ezy4u.net/signup/ など、日本語で丁寧に説明されたサイがいくつかある。私もDie Schone Mullerin購入のために初めてPayPalの口座を作ったが、思っていたよりスムーズで便利なシステムだと思う。
(Mein訳詩は、全音楽譜出版社「シューベルト歌曲集1、美しき水車小屋の娘」より一部改変。)
(Photo used with the permission of Judy Sever )
追記)
今Milizさんよりコメントをいただいたので付け加えておきます。下記のサイトでも入手可能とのこと(メールにて問い合わせ要)。
http://www.preluderecords.co.uk
£12.20 とのことなので、Tadpoleとほとんどかわらない。仕事も確実スピーディーでおすすめとのことである。
私が購入したサイトも付け加えてください。私が見た中では1番安くて、それでいて仕事も確実スピーディーでおすすめしておきます。£12.20(送料込み)http://www.preluderecords.co.uk Abergavennyも悪くないんだけれども、こちらのが私は良かったかな。
もうDSMの在庫がないのでしょうか?
在庫がなくなる??ほど売れていればいいんのですが・・うーむ
ありがとうございます。
ところでHarryは2005年にMy Own CountryというCDも出していますよね。
こちらのCDを購入なさった方がいらっしゃったらお尋ねしたいのですが、どんな方法で購入なさいましたか?
私は
http://www.pascalmore.de/CDinfo-e-Classic.htm
を訪れたのですが在庫切れで、
http://www.heraldav.co.uk/showdisk.php?diskNum=311
を見てみたのですが、CDをmy shopping basketに入れる方法がわからないのです。
今日初めてお邪魔して突然ぶしつけな書き込みで申し訳ありません。
どなたかご教示くださればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
えっと、わたしも、にゃんさんが2番目に挙げておられるヘラルドのサイトを利用して購入したのですが、ただ、このヘラルド自体には注文できないのです。赤い字で、Record Conrnerというクリックするところがありますでしょう。これが、ヘラルドのCDの直販ショップみたいなところで、このショップのサイトに飛んでそこに注文することになります。こちらにメールをすると、1日か2日かかりますが、フレンドリーなお姉さん?から返事が来ます。
ただ・・・このショップも親切ではあるのですが、クレジットカード番号をオンラインで入力できないので、ファックスなどでカード情報を伝えなければならないのです。それが面倒なんですよねえ・・・
今は、アマゾンJPでも買えますので、少々高くつきますが、そちらで購入されたほうがいいかもしれませんねえ・・・
http://www.amazon.co.jp/My-Own-Country-Sever-Bottone/dp/B000G5SIQ2/ref=sr_1_2/503-0506947-1744745?ie=UTF8&s=music&qid=1176905456&sr=1-2
日本のアマゾンで購入できるとは!
灯台下暗しですね。
「Harry Sever」で検索してヒットしなかったので、買えないのかと思っていました。
ヘラルドに挑戦するのは次の機会にして、アマゾンで
購入しようと思います。
ありがとうございました。
私が去年の秋に書いたレビューもありまして、なにかの参考になりましたら・・ここにもアマゾンJPで買えることなど記しています。(左のカレンダーの下に、2006年09月というところがありますでしょう、これをクリックしていただくと一番上に、'My Own Country'というタイトルの記事が現れます。)
それからじっくりとCDを・・・楽しみです。