黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

解熱剤と市販の風邪薬の使用をやめよう

2015-04-24 09:56:26 | 健康・病気
    2015年4月9日東京新聞記事(私の能力不足で転載できず)

 市販薬 副作用で死亡15件 5年間、8件は風邪薬

 消費者庁は八日、市販薬による副作用が疑われる症例が二〇〇九年四月~昨年三月の五年間で千二百二十五件あり、うち十五件が死亡に至ったと明らかにした。うち八件は風邪薬の副作用による死亡だった。略
 副作用例は医薬品医療機器総合機構(PMDA)が集計。死亡例十五件のほか後遺症が生じた例も十五件あった。
 もっとも多いのが風邪薬の四百件(死亡八、後遺症九)、次いで解熱鎮痛消炎剤の二百七十九件(死亡三、後遺症二)で、漢方製剤やせき止め薬も死亡例があった。
                             以上でした。

以下は、私の文章です。


      解 熱 剤 (下 熱 剤)を 使 う の は や め よ う
1. 熱は人体にとって有利な反応です。その熱を薬やその他の方法で下げることは、身体にとって
マイナスなことです。解熱剤を使うと熱を長引かせます。一時下がりますが、それで済めばよいのですが、インフルエンザや麻疹や重症感染症では、一旦熱が下がってもしばらくするとまた上がって来ます。解熱剤で一時的に熱を下げているに過ぎないのです。「熱の話」参照。

2. その上に、解熱剤の使用はもっと大きな不利な点があります解熱剤を使うことで、病気の診断
を誤らせることがあります。熱が出る病気の場合に、しばしば熱の出る形(熱型)が診断の手がかりになることがあります。解熱剤はそれを狂わせます。そのために熱の原因となる病気の診断を間違いかねません。これは大きな問題です。

3. 解熱剤の副作用は、解熱剤を使う際の最大の問題です。まれにですが、生命を失う副作用があ
ります。それをこれからお話します。
 
4.解熱剤とは  
◇解熱剤は、正確には解熱鎮痛剤または非ステロイド性抗炎症剤と言います。大きく分けると、
 ①アスピリンとその仲間(今は解熱剤から除外されています)
 ②アセトアミノフェン(カロナールなど、一番弱い解熱剤で、使うとすれば、この薬の副作用が一番少ないのです。)
③他の解熱鎮痛剤または非ステロイド性抗炎症剤です。
  副作用も強いものが多いのに、これが多数使われています。
  イブプロフェン、メフェナム酸、インドメタシン、ジクロフェナク等です。
ロキソニンはこれらに比べたら、副作用が少ないようですが、詳細は不明です。

  PL顆粒にも解熱剤(アセトアミノフェンとサリチルアミドの二種)と無水カフェイン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩(抗ヒスタミン剤ピレチアで、1g中13.5mg、(ピレチアは1錠5mg)2.5錠分入っていて、鼻水の薬として使われ、神経抑制作用が強く、眠気の原因です。通常ピレチアは麻酔の前投薬や睡眠剤として主に精神科や麻酔科で使われる薬で、一般には使われません。)私は、この薬を使いたくありません。
使うならカロナールです。鼻水には、一番眠気の少ない薬(アレグラ、アレジオン)を使って下さい。欧米では、抗アレルギー第二世代薬を、第一世代と同様に鼻水や皮膚のかゆみが出たら使い、治ったらやめています。尚、ピレチアどころか、眠気の強い抗ヒスタミン剤は、一部の国では子どもへの使用をやめるよう勧告されています。
  子ども用PL顆粒は、絶対子どもには飲ませてはいけません。
すずしろ診療所でもPL顆粒を処方する先生がいます。きっとご存じないのではないでしょうか。

5.現在、医者でもらう薬(医療機関用)と市販されている薬(薬局用)とは、政策的に分けられていて、全く同じ薬はありません。どこか少し変えてあります。
◇医者でもらう解熱鎮痛剤のうち「上気道炎」(かぜ)に保険がきく薬は、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、メフェナム酸、ロキソニンなどです。しかも、頓用(一時的に)一日二回までです。一日三回は保険適用外の筈ですが使われています。
 小児科医は解熱剤を使わなくなりましたが、まだ頓用で使う医師もいます。アセトアミノフェン(アンヒバ、カロナールなど)だけになりました。
 しかし、小児科専門医以外の、内科、産婦人科、耳鼻科などではまだよく使います。
解熱剤をもらっても、使わないようにしましょう。
◇市販されている(薬局用)解熱剤(熱さまし)と鎮痛剤(痛み止め)のすべてと総合感冒薬の、99%に解熱鎮痛剤が含まれていて、アセトアミノフェン、イブプロフェン、エテンザミド、サリチルアミドなどです。かぜ薬を買う時は、咳止めとか、鼻水の薬と言って買いましょう。薬局では利益が多いかぜ薬(総合感冒薬)を勧めます。

6.解熱鎮痛剤または非ステロイド性抗炎症剤の副作用
 解熱鎮痛剤の作用は、体温調節中枢の設定温度の上昇を妨げ、上昇した設定温度(セットポイント)を下げるように作用し、抗体の産生やインターフェロンの産生を抑え、人間の体が病気と戦うのを妨げます。それで熱が下がるのです。
◎代表的な副作用は、胃腸障害、肝障害、腎機能障害、血液障害です。軽いものは多いのですが、解熱剤(非ステロイド性抗炎症剤)は100万回処方すると100~150人に胃腸管出血や血液障害を生じ、その内4~6人が死亡することが判り、1970年代にはイギリスやニュージーランドでは軽い病気や治る病気には使わないように勧告が出されました。その後、多くの国がそれに続いて行きました。いまだに解熱剤を使っているのは、日本とあと数か国になりました。
 解熱剤(非ステロイド性抗炎症剤)は、胃十二指腸潰瘍、肝不全、腎不全、ショック、感染の重篤化、播種性血管内凝固症候群(DIC)、ライ症候群(脳症)などの死亡に至る程の重篤な副作用を生じますし、この他、低体温、血圧低下、心不全の憎悪、消化管出血や薬疹なども生じます。
 この薬の副作用は、長期間使用するから出るとは限らず、3~4日から、極端には1~2回の使用で出ることがあります。特に乳幼児や高齢者では、短期間の使用でも副作用が出やすいです。
だから、心不全や高血圧、肝臓病、腎臓病、喘息などの基礎疾患のある人には、充分な注意が必要であり、アスピリン喘息の人に投薬すると発作を誘発しやすく死亡の確率が極めて高くなります。
それで、解熱鎮痛剤を処方する時は、一緒に胃薬が処方されるのです.
 1980年代には、アスピリンをインフルエンザや水痘の16歳以下の子どもに使うと、ライ症候群という急性脳症の発病率が高いということが判り、世界中でアスピリンの使用が減り、日本も、解熱剤からはずされました。他の国では解熱剤としてはアスピリンとアセトアミノフェンだけが使われ、アスピリンを止めたら解熱剤を使わなくなりました。しかし、日本では、医者はアスピリンを止めて、他の解熱剤を処方するようになり、他の解熱剤によるライ症候群や急性脳症、特にインフルエンザ脳症と麻しん脳症の発生が後を絶たないのです。一回の使用での死亡も出ています。私は、その実例を見てきました。

7.アセトアミノフェン(カロナール)でも、ライ症候群が生じます。
 特に、胃腸障害が少なく比較的安全な解熱剤と言われていたアセトアミノフェンでも、ライ症候群が生じることが明らかになったのです。(1987~90年のオーストラリアの報告)
 その上、インフルエンザや水痘だけでなく、通常の上気道炎(かぜ)や手足口病やさらに、ワクチンによる発熱の時にも、解熱剤でライ症候群が生じることが判ってきました。
 ※ライ症候群とは、インフルエンザや水痘や通常の上気道炎が治りかけた時に、突然吐いたり、意識を失い、けいれんを起こして昏睡状態になり、急性脳浮腫と肝臓障害で1~数日で死亡。死亡率50%以上、生存しても後遺症が90%以上に残る病気。
 さらに、アセトアミノフェンの過量投与により、肝臓・腎臓・心筋の壊死が起こることが報告されました。初期症状は悪心、嘔吐、全身けん怠感などです。(医薬品安全対策情報1998.8)
本庄市での保険金殺人事件で使われたのはアセトアミノフェンの大量使用で、一人死亡、一人肝臓病で入院しました。

8.解熱剤の死亡例
 欧米ではほとんど一桁しかでていないのに比べて、日本では、急性脳症やライ症候群、インフルエンザ脳症で死亡する子どもがなくなりません。まれに大人でもなります。
 1998年の冬にインフルエンザが流行し、217人の子どもがインフルエンザ脳症になり、30人以上が死亡しましたが、私は、そのほとんどが解熱剤の使用による急性脳症だと思いましたが、その後、私の友人の医師たちの努力で「脳症解熱剤犯人説」が浸透し、インフルエンザにアセトアミノフェン以外の解熱剤を使わなくなったし、小児科医が解熱剤を使うことが少なくなったら、2008年の冬にはインフルエンザ脳症は28人に減少しました。インフルエンザの専門家と言われる医師たちは(すべてインフルエンザワクチン推進派です)インフルエンザウィルスによる脳炎か脳症だと言いますが、インフルエンザウィルスは、血液中で繁殖する証拠がなく、麻疹や風疹のように、直接脳炎を起こすという根拠がなく、解熱剤の副作用が有力なのです。2009年に流行した新型インフルエンザによる子どもの脳症は250人前後出て、解熱剤が疑われますが、調査がされていないので、推定に過ぎません。

9.解熱剤をやめましょう。
 解熱剤を使うのはやめましょう。熱は下がらなくとも、皮膚温で41.5℃を超えなければ生命を落とすことはありません。大人でも、決して良い薬とは言えません。かぜや熱、頭痛、腰痛などの軽い病気に使うことも薦めません。しかし、子どもでも大人でも、心臓病、関節リウマチなどの慢性や悪性の病気で熱がない病気には、副作用を考えても使う利益があるので使われます。痛み止めには、解熱鎮痛剤を使わずに、軽い麻薬のコデインリン酸塩(リンコデ)を使うことを薦めます(アメリカのハリソン内科書より)。コデインリン酸塩は百日咳の咳止めに必須で、妊娠中にも使え、死に至る副作用はありません。今、世界の流れは、軽い麻薬の緩和で、癌の痛み止めに、積極的に使われるようになりました。

10.あなたの家族に飲ませる薬を点検し、解熱剤を追放しましょう。
 解熱鎮痛剤は、解熱剤のほか、頭痛、生理痛、歯痛、腰痛、傷の痛みなどの痛み止めとしても使われます。熱のある時には、解熱鎮痛剤の痛み止めを飲ませないで下さい。
① 医者からもらう薬で、解熱剤が入っていてかぜ(上気道炎)に出る薬
 1日2~3回飲む薬にも、頓服の薬や坐薬にも解熱剤があり、一度に2~3種類もの解熱鎮痛剤を出す医者もあります。胃にくる副作用の為、必ず胃薬を一緒に出します。
◇アスピリン--これは、解熱剤から削除されました。現在は、バッファリン、バイアスピリンとして、抗血小板薬としてのみ使用を許可されています。副作用のもっとも強い薬です。
◇アセトアミノフェン--アルピニー坐薬、アンヒバ坐薬、カロナール、ピリナジン、ピレチノール、パラセタモール、アスペイン、アトアノン、アニルーメS、アフロギスなど。
◇アセトアミノフェンとサリチルアミドを含むもの--PL顆粒、LLシロップ、ペレックス、サラザック、セラピナ、トーワチーム、ピーエイ、ヘブン、ホグス、マリキナ、リベラル、グリンケンA、ネオアムノール、レパロンなど。
◇メフェナム酸--ポンタール、メフェナムサン、ミルレスト、ワンメデー、マイカサール、オコーナー、スパンタック、タカピロン、ノイトリールC、バファメリチンM、トヨネクタール、ナムフェン、ペロトニック、ヨウフェナムなど。
◇インドメタシン--インダシン、インテバン、インメシン、インフリー、インデラニック、コバメタシン、ランツジールコーワ、プロアリシン、ミリダシンなど。
◇ジクロフェナク--ボルタレン、ジクロニック、ドンジャストA、ソファリン、ソレルモン、ブレシン、ナポールSR、ニフレリール、ネリオジン、ボナフェック、ボルマゲン、メリカット、ワンフェロン、イリナトロンなど。
◇その他--ロキソニンなど。PL顆粒は解熱剤とピレチア、カフェインとの合剤です。
インドメタシン、ジクロフェナクが最強で、できるだけ使わないようにしましょう。
② 市販薬品では、(代表的なものだけ)
  バッファリンは、昔は、アスピリンでしたが、アスピリンが禁止されたので、アセトアミノフェンなどに替わっています。最近はいろいろ替わっているようで、店で確かめて下さい。
 1)痛み止め(頭痛、生理痛、歯痛、腰痛など)と熱さまし(解熱剤)のすべてが、アセトアミノフェン、イブプロフェン、エテンザミド、サリチルアミド、サザピリンなどの解熱鎮痛剤が入っています。薬剤師に聞くか、説明書を見て下さい。
◇アセトアミノフェン坐薬--アルピニーA、オバルボン、ナックローレン、ナロン。
◇アセトアミノフェンと他の解熱剤の複合剤--バッファリンエル、グレランエース、サリドンエース、パブロン、ナロン、ノーシン、カイテキZ、カイセーA、カイゲンパックA、さとう痛み止め、さとう鎮痛錠、サブロン、ペレタック、ピラビタンA、新セデス、新ケロチン、新イソミドン、サットン、メルレンなど。
◇イブプロフェン--イブA、ナロンエースなど。
◇イソプロピルアンチピリン(ピリン系)--サリドンA。
 2)総合感冒薬の99%以上に、解熱鎮痛剤が入っています。そのほとんどがアセトアミノフェン単独か、アセトアミノフェンとエテンザミドか、アセトアミノフェンとサリチルアミドです。薬局で買うなら、咳なら咳止め、鼻水なら鼻水の薬を買いましょう。
◇アセトアミノフェン系--ヴィックス、宇津かぜ薬、アルペンシロップ、小児用エスタック、カイゲン、ストナ、カコナール、救心かぜ薬、小児用バッファリンとかぜシロップ、ルル、ダン、ナナ、パブロン、ムヒ、山之内、ベンザエース、こどもカイセイ、コルゲンコーワ、コンタック、ジキニン、プレコール、新かぜゴールド、新第一かぜゴールドなど。
◇イブプロフェン系--ベンザブロックなど。 多いのであとは略。

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早期離乳のすすめ

2015-04-24 08:02:12 | 健康・病気
先進国で、離乳が遅いのは日本だけです。母乳にこだわるアメリカでも、母乳は3か月までで十分で、6~9か月で離乳が終わります。離乳期のミルク(フォローアップミルク)は、先進国では、日本しか売っていません。必要ないからです。

          早期離乳の必要性

 なぜ離乳を早期にお勧めしているかと云うと--
 早期離乳を勧める第一は病気の予防ですが、身体や神経筋肉の発達もよくなります。
乳児は、成長につれて、ビタミンC、A、D、Kと鉄分が不足します。また急速に成長するために、カロリーも不足します。母親からもらったものを消費し、母乳やミルクでは補えないのです。特に、ビタミンKは、母乳栄養児の頭蓋内出血の予防のため、新生児期と1か月時に、飲ませています。生後6か月過ぎると、鉄分とカロリーが不足します。それで日本の子どもは、その時期ミルク(母乳)ふとりで、水分過剰のふとり方をします。
日本以外の先進国では、生後6~9か月で離乳が終わりますから、かたふとりになり、貧血も出にくくなります。日本以外の先進国では、離乳期のミルク(フォローアップミルク)を販売していません。日本は、離乳が遅いので、必要なのです。

第二は、情緒安定です。赤ちゃんのいちばんの欲望は食欲です。つぎに、母親から愛されること、不快なことから逃れることです。この食欲を充分満たしてあげることが赤ちゃんの情緒の安定につながります。食欲を充分満たして満足感を与えることが大切なのです。
また赤ちゃんはいつも気持ちの良い状態にしてあげていると愛されていると感じるのです。母乳やミルクだけでは、お腹はがぶがぶになり飲めなくなりますが(水ふとりの原因)、満足感が得られずに指をしゃぶるのです。何でも口に入れるのも同じ理由です。指しゃぶりは、なんらかの欲求不満で、その三分の二は食欲のようで、離乳食を早くすると指しゃぶりをしなくなります。通常、離乳が終わり、食欲が十分満足させられると、治ることが多いです。しかし、日本の子どもでは、5~6歳児の10%で指しゃぶりが残り、10%が爪かみになります。やめさせるには、できるだけ両手を使う遊びをさせることです。指のことを忘れると、自然に指をしゃぶることを忘れます。注意すればする程、やめられなくなります。
あとは、離乳食とは関係ありませんが、もうひとつ、情緒の安定に大切なことは、必要もないのに、抱いたりさわったりしないことです。上の子ができると、とくに女の子は、赤ちゃんをさわったり、抱いたりしたがります。これを赤ちゃんがいやがると、ストレスになります。赤ちゃんの顔をみて、いやな顔をしているかどうか見て判断してください。これも、個人差があり、平気な子もいます。できれば、生まれてから、6か月頃まで、上の子にさわらせないことです。このことは、ほとんど知られていません。

第三に、早期離乳は母親を楽にします。6か月になって1日3食で、母乳またはミルク2回だと夜はぐっすり眠り、食事も親とほとんど同じなら手間がかからず、母親を悩ます時間が少なくなります。ここで注意したいことは、母乳は、あくまで食事の一部で、泣いたり、眠い時に与えないことです。この時期、お腹が空いていたら、離乳食を与えます。人見知り前の卒乳は、比較的楽にすみます。食事の一部としてだけ与えていれば、すぐあきらめてくれます。

 第四に、食欲に忠実に振る舞うことによって、自然界の動物たちと同じようにお腹がすいたら食べ、一杯になったらやめるという身体の働き(摂食中枢と満腹中枢の働き)を充分に働かせると、決してやせすぎにも太りすぎにもならないし、うまく大人になるまでそれが持続すれば、肥満症にならないで済み、いろいろな病気の危険率が減少します。乳幼児の食事の基本は、お子様ランチで、これをどの順番で食べてもよいのです。デザートから食べて、次はおかずで、最後にご飯やパンを食べたりします。好きに食べてよいのです。

第五に、食べることに関心を持ちすぎても、無関心でも困るのです。自然に食べることを身につければ、今のこどもの間で問題になっていることの幾つかは解決します。噛まない子、歯が弱くなること。肥満症、拒食症など食べることの異常ややせている為もあって目立つ胸郭の異常、高脂血症のような食生活から来る病気などです。食事に関してのしつけは、3歳過ぎてからにして下さい。

◇大切なことは、赤ちゃんが主人公だということです。
 「まだ早すぎる」という医者も多いですが、「早いか遅いか」を決めるのは赤ちゃんだということです。赤ちゃんは、ひとりひとりちがいます。
赤ちゃんが、自分の意志表示ができ、舌で押し出すとか、顔を横に向けるなどができれば、離乳食を始めましょう。あげて見て、よろこぶならどんどん進め、よろこばない時はよろこぶまで待つのです。離乳の時期を決めるのは、赤ちゃん自身で、医者でも母親でも栄養士でもないのです。

★離乳食の与え方については、別に書く予定ですが、とりあえず、アウトラインを述べます。
 早期の離乳がアレルギーの原因ではありません。(「アレルギーの話」をお読みください)

◇離乳の準備を始めるときは、
離乳準備食は、さらさらっとした液状のミルク以外のものをいいます。
体重が5kgをこえたら始めてみましょう。男の子や、大きい子、よく動く子は1~2ヵ月すぎたら、そろそろ始めて見ましょう。女の子や小さい子おとなしい子は遅めにしましょう。女の子でも、元気な子は早目に始めて見ましょう。
 ゆっくり時間をかけてならしながら進めます。「いやがったら、その時はやめる」が基本で、また翌日あげて見ます。みかん類をしぼって、お砂糖ですっぱみをけして、おいしくしてあたえます。砂糖を制限しないでください。グルコースは、脳の代謝に必要で、子どもの脳はどんどん発達していますから。

◇離乳食は、どろどろっとしたものからをいいます。
◎ビタミンの豊富な、果物や野菜を与えてみましょう。与えても食べるか食べないかは赤ちゃんの自由です。無理に食べさせようとしてはいけません。おも湯、おかゆなどの穀類は急がず、どんなに早くても4か月すぎにして下さい。りんごやバナナをお勧めしています。よろこべば、どんどんあげてよいです。市販の果汁は、添加物の問題があり、やめましょう。
いやがらなければ、だんだんつぶつぶにしていきます。始めは変な顔をするかもしれませんが、なれた味だと飲みこんでくれます。

◇つぶつぶに慣れたら4か月からおかゆの開始。1日3回へ(果実がゆ、野菜煮つぶしに、もう1回おかゆを加える)。おも湯も10倍がゆも必要ありません。

◇身体の大きい子やよく動く子はお腹がすいて、母乳やミルクではカロリーが不足するので、おかゆ(穀類)や固形食をおいしく感じるようになり、よく食べます。しかし体重の少ない子や動きの少ない子は余りよろこばないことが多く、よろこばない時は無理には与えず、時期を待ちます。

◎5か月前後になったら--
◇鉄分と蛋白質の供給--おかゆの米つぶを嫌がらない様になったら、牛のひき肉を野菜と一緒に煮込んで与えます。(肉は牛肉の赤身、鳥肉、豚肉の順で与え、鳥のささみはなかなか食べられません)また、赤身の魚と白身の魚のちがいもなく、むしろ赤身の魚の方が、鉄分が多いようです。

◇食事の時間は、赤ちゃんがお腹をすかせて欲しがる時で、1日何回でも与えて良いのです。回数にも量にも制限はありません。「いらない」と意志表示するまで食べさせましょう。

◇おかゆより、やわらかいごはんを喜ぶ子も出て来ます。子どもに合わせて進めてよいです。たきたてのご飯を、蒸さずにさますと、やわらかいご飯ができます。普通のご飯も食べれば食べさせて、早い子は1日3~4回食でミルクは2回になり、離乳を終わってしまいます。遅い子はようやくこの頃からおかゆを喜ぶようになります。

◇甘いものを制限しないでください。
 よく、甘い物食べさせないように言いますが、子どもは制限すればする程ほしがるようになるからです。糖分は3大栄養素の1つで身体に必要です。グルコースは脳の代謝の必需品です。これは大人になるまで続きます。糖分を制限することでグルコースが身体に不足すると、身体が求めるのです。子どもには糖分を充分食べさせておくことです。お菓子でなくても、甘く調理したものでよいです。それでも甘いものが好きになってしまう子がいますが、それは親からもらった性格で仕方ないでしょう。その場合は、甘いものを制限せずに、食べたらすぐ歯をみがく習慣をつければよいのです。歯みがきも、いやがらないように、むりにしないようにしましょう。

 以上、私の話は、私の独自のものではなく、アメリカ小児科学会栄養委員会や、戦後まもなくの東大小児科教授だった詫間武人先生などの意見を取り入れています。でも、日本国内では、それを知らない小児科医が多いです。先進医療については関心があっても、離乳食などの一般的なことには、関心が低く、知らないようです。こんなことをいうのは、私一人かも知れません。

離乳食の進め方は、簡略化していますので、また別の機会に書きます。
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