読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 NHKBS

2007-03-16 23:35:23 | 観た、聴いた
あなたが選んだ寅さんアンコール・パート2第1位に輝いた作品であり、NHKの「寅さん全部見せます」<男はつらいよ ああ失恋48連発>シリーズの最終回を飾る作品である。

このシリーズが始まったときには全作品をビデオに収めようと思ったのだが、挫折した。
寅さんシリーズは、私にとって「せつない」のである。

その原因はどこにあるのだろうか?
と思っていたが、今日「ハイビスカスの花」を見てなんとなく感じたことがあった。

「ハイビスカスの花」はマドンナに浅丘ルリ子、そして役柄は放浪の歌手リリーである。これで3度目の登場である。
そして今回は、リリーがまず寅さんにプロポーズをし、次には寅さんがリリーにプロポーズする。
どちらも、実らないまま終わる。

で、思ったのだが、寅さんはすこぶる善人である。
「すこぶる」なので常人とは違う「善」である。
そして寅さんを囲むレギュラー、妹・さくら、おいちゃん、おばちゃん、博、たこ社長、御前様も善人である。
こちらは、いたって常人の善人であるから、見ている側では一番感情移入しやすい。

つまり、見ている側は、寅さんを囲む人たちと同じ目線同じ感情なのである。
そして、マドンナが実は悪役なのではないか、と思うのである。

寅さんはマドンナに惚れ、マドンナも善人に描かれているので寅さんを受け入れるような素振りなんかする。最初からきっぱりと拒絶なんかしない。そして最後にはなんだかうやむやのうちに寅さんは振られる。

振られることで寅さんは傷つくのであるが、実はもっと傷ついているのは、寅さんの周辺の人たちと見ている側である。

そういうわけで、マドンナは悪ではないかと思うのである。

今回は寅さんもリリーも一緒に暮らしても(=結婚しても)いいかな、とおもうのであるが、ぎりぎりのところでやめるのは「人とは重いものである」という現実に気づくからなのではないだろうか、なんて思ってみていたのである。
コメント
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