読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ローマ人の物語37 最後の努力(下) 塩野七生 新潮文庫

2009-12-04 23:00:33 | 読んだ
「最後の努力」とは何か?

ローマ帝国を継続させようという努力なのかと・・・

『4頭制』という皇帝4人によるローマ帝国の運営は、蛮族の侵入から帝国を守り、パスクロマーナ(ローマ帝国の平和)よ再び、というのが狙いであった。
これは、ディオクレティアヌスの改革であった。

そして、その後はコンスタンティヌスである。
彼は、ローマの平和を守りつつ、4頭制を破壊し、唯一の皇帝となった。

ローマの皇帝は『ローマ市民の代表』である。
これは共和制の名残ともいえる。
つまり、当初は市民の投票で選ばれていた、ローマの第一人者が、カエサルによって皇帝制に移行しても、皇帝に就任するためには元老院の承認が必要だった。

そして、皇帝は生涯皇帝でいられたが、不都合があれば「死」によってしか罷免されたなかった。

こういう制度の打破をコンスタンティヌスは改革することにしたのである。
と、著者は言う。

権力者に権力の行使を託すのが『人間』であるかぎり、権力者から権力を取り上げるのも『人間』である。

ということの「人間」の部分を「神」に変える。

それには、多神教のローマの神々では役割を果たせない、そこでコンスタンティヌスは唯一神の「キリスト教」を選んだ。
というのである。

「フーム」
「なるほど」
とうなってしまった。

しかし、このことによってローマは大きく変わってしまった。
そして『パスクロマーナ』は再び戻ってこなかった。

この「最後の努力」は久々に面白かった。というか、考えさせられた。
組織や制度は陳腐化する。
どうあがいても創られたときから陳腐化する。

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