読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

コーヒー、もう一杯 最終話 平安寿子 小説新潮6月号

2011-05-25 19:09:46 | 読んだ
とうとう最終話になってしまった。

主人公の未来は、ひょんなことから会社を辞め、借金をして「カフェ」を開店した。
自らの理想と現実との差に悩みながら、妥協するところは妥協して、しかしマアマア満足のいく店にしたのだ。

しかし、客が来ない。
いろいろと工夫をして集客の努力をしたのだが客が来ない。

そして、とうとう体調を悪くしてダウン。

で、廃業をした。

これがすごい。
まあ小説だもの成功したことになるんだろうと思っていた。
なにかすごい出来事かアイディアが彼女を救うんだと思っていたが、あっさりと廃業をした。

これが現実なんだろうなあ。
と思うんだけれど、なんだか釈然としない。

この最終話の最初のところで、廃業、となるので、それに続くのは、何故廃業となるのか、友達の反応は、そしてこれからの未来は、という興味深いものが描かれるのである。

世の中甘くない。
というのが、廃業の原因である。
誰でも、その気になれば開業できる。
しかし、開業して継続するにはそれ相応の資金と努力が必要である。
また、素人がパッと開店してすぐに経営が順調になるわけがない、ということもわかる。

開業するというのはそれなりに用意周到、準備万端が必要なのである。

そのことに気づいた未来はやっぱり成長している。
一人で考え働いたことは無駄ではなかったのだ。

それが廃業となった結末にもかかわらずこの物語を明るくそして勇気づけられるものにしている。

勿論、未来の今後もなんとなく発展していくようにもなっているので、ショボンとしておわりではない。

そして、これ廃業してよかったかもしれない。
いかにもノウハウ本のように描かれているので、このようにやれば『なんとかなる』んではないかなんて勘違いする人もいるのではないか。

また『撤退』ということを意識した計画でなければならない。ただ突き進むのは無謀である、ということを伝えている。

ともかく、この物語面白かった。
そして、今後の未来と彼女の周囲の人たちに幸あれと思うのである。

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