読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

落語家の通信簿 三遊亭円丈 祥伝社新書

2013-12-07 18:28:01 | 読んだ
遊亭円丈の「御乱心」は面白かった。
落語家だって、信念や理想があり、人と争うのだ、ということが分かった。

落語家ってもう少し世間知らずなのかと思っていたら、実は世間をよく知らないと落語は演じられない。
「人の欲」を超越する職業というのはないのだ、と思ったものである。
しかし、なんだかあまりにもナマナマしくて、なんだかがっかりしたのも事実である。

そして今回本書が雑誌だったか新聞だったかの書評欄で紹介されていたので、久々に読んでみようかと思ったのである。

実は、というほどのことでもないのだが、私は落語が好きである。
落語は、古典であろうが新作であろうが構わない。

前は東京出張に行くたびに、野球を見に行くか寄席に行くかしていたものである。
しかし、所詮地方在住、それほど頻繁に行けるわけもなく、まあ思いついたときに行っているだけなのでファンとかマニアとかではない。

さて、本書は伝説の名人から若手までの落語家53人を論評したものである。

これまで落語の論評というのは、いわゆる評論家が行っていたのであるが、この評論家は落語家出身ではない。
まあ、落語家は若くして引退ということはないので、生涯落語家である。

野球とかサッカーとか運動関係の評論は現役を引退した人が、つまりその運動を実際にしたことがある人が行っている、ということから落語家が落語家を評するということにした、というのが著者の弁である。

今まで読んだことのある落語家の評論は、一言でいうと「難しい」というものであった。
落語というのが芸術であるというのは認めるが、もうひとつ「娯楽」でもあるわけで、それを何もそんなに難しい考え方と言葉で表さなくてもいいのではないか、というのが感想であった。

しかし、落語が発展するというか、落語家の芸が向上するには「評論」というのは必要である。

落語家が落語家を評論するといっても、本書はそれほど難しいわけではない。

これを読んで聞いたみたい、見てみたいと思った落語家がいたし、ちょっと俺はこの落語家は「?}だなあと思った人もいた。
まあ、好き嫌いとか相性みたいなのがあるので、それは仕方ない。

で、どうしたらこの本で紹介されている落語家の噺を聞くことができるのだろう。
本来は寄席に通うのがいいのだろうけれど、それは無理なので、DVDとかCDしかないが・・・
わざわざ買うほどでもないので、TUTAYAあたりにないかなあと・・・

本書は、落語の評論ということであるが、落語の紹介という面のほうが大きいように思える。
したがって落語に少しでも興味を持っている人の入門書でもある。
興味のある人にはお勧めである。


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