お順は、勝海舟の妹である。
勝海舟は、私の尊敬するというか好きな人である。
高校3年生の時、NHKの大河ドラマは勝海舟であった。
子母澤寛の原作は何回も繰り返して読んだし、氷川清話も読んだ、ともかく勝海舟という文字が目につけば読むことにしている。
さて、そのNHKのドラマで、お順を演じていたのは大谷直子である。
それ以来、お順のイメージは大谷直子で、非常にキツイ女の人というのが私の頭の中で定着してしまった。
で、今回、この物語を読むと、そのイメージが大きく変わったのである。
父・勝小吉、母・信、兄・麟太郎(海舟)、姉・はな
貧乏な家で生まれ育った、お順。
しかし、父・小吉や兄・麟太郎の破天荒な生き方の中で多くの人たちを見ることとなり、貧乏に負けて卑屈にはならず一流の男に憧れるようになる。
父・小吉の生き様は、破天荒そのもので、破天荒ゆえに出世ができず、若くして隠居する。
そのような父を、お順は理解する。
つまりやっぱりお順は「キツイ」女なのである。
しかし、諸田玲子が描くお順は、キツイだけでなく「可愛い」女でもある。
彼女の初恋は、麟太郎の剣術の師匠・島田虎之助である。
しかし、お順は8歳、虎之助は30歳。
それでも、お順は虎之助に嫁ぐこととなる。
しかし、嫁ぐ前に虎之助は亡くなってしまう。
次にお順の前に現れたのは、佐久間象山である。
この場合は、象山がお順に惚れる。
お順は、象山に惚れることはなかったが、一流の男ということが決め手となって結婚する。
そして、象山の妻としての生き甲斐を感じ始めた頃、象山は暗殺される。
勝家に戻ったお順は、幕府瓦解の始末に奔走する海舟をみて、いろいろと思う。
そして、勝家に来た、無頼の浪人・村上俊五郎と恋仲になる。
この村上にはその後ずっと迷惑をかけられながら生きることになる。
こういう一代記を読むと、人間の幸福とは何か、ということを考える。
そして、幸福とは何だろうかと思う。
充実した人生とは何だろうかと思う。
それにしても、この物語に登場する勝海舟は、やっぱりカッコイイ。
著者は、こう表現している。
「麟太郎は明朗闊達で、ややもすればお調子者のホラ吹きと見られるが、実は努力と忍耐の人だった。物事を理路整然と組み立てて、一歩一歩前進する。情にほだされて道を踏み外すことは決してない」
そんな麟太郎がお順にこう言う。
「お順坊、おめえは子供の頃から利かぬ子だった。このおれをあたふたさえるのは、昔も今もおめえだけサ」
お順は、父小吉・と兄・麟太郎に大きな影響を受け、それを抜け出せないまま人生を過ごしたのではないだろうか?
それが幸福か不幸かは誰もわからない。
久しぶりに一気に読んだ物語であった。
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勝海舟は、私の尊敬するというか好きな人である。
高校3年生の時、NHKの大河ドラマは勝海舟であった。
子母澤寛の原作は何回も繰り返して読んだし、氷川清話も読んだ、ともかく勝海舟という文字が目につけば読むことにしている。
さて、そのNHKのドラマで、お順を演じていたのは大谷直子である。
それ以来、お順のイメージは大谷直子で、非常にキツイ女の人というのが私の頭の中で定着してしまった。
で、今回、この物語を読むと、そのイメージが大きく変わったのである。
父・勝小吉、母・信、兄・麟太郎(海舟)、姉・はな
貧乏な家で生まれ育った、お順。
しかし、父・小吉や兄・麟太郎の破天荒な生き方の中で多くの人たちを見ることとなり、貧乏に負けて卑屈にはならず一流の男に憧れるようになる。
父・小吉の生き様は、破天荒そのもので、破天荒ゆえに出世ができず、若くして隠居する。
そのような父を、お順は理解する。
つまりやっぱりお順は「キツイ」女なのである。
しかし、諸田玲子が描くお順は、キツイだけでなく「可愛い」女でもある。
彼女の初恋は、麟太郎の剣術の師匠・島田虎之助である。
しかし、お順は8歳、虎之助は30歳。
それでも、お順は虎之助に嫁ぐこととなる。
しかし、嫁ぐ前に虎之助は亡くなってしまう。
次にお順の前に現れたのは、佐久間象山である。
この場合は、象山がお順に惚れる。
お順は、象山に惚れることはなかったが、一流の男ということが決め手となって結婚する。
そして、象山の妻としての生き甲斐を感じ始めた頃、象山は暗殺される。
勝家に戻ったお順は、幕府瓦解の始末に奔走する海舟をみて、いろいろと思う。
そして、勝家に来た、無頼の浪人・村上俊五郎と恋仲になる。
この村上にはその後ずっと迷惑をかけられながら生きることになる。
こういう一代記を読むと、人間の幸福とは何か、ということを考える。
そして、幸福とは何だろうかと思う。
充実した人生とは何だろうかと思う。
それにしても、この物語に登場する勝海舟は、やっぱりカッコイイ。
著者は、こう表現している。
「麟太郎は明朗闊達で、ややもすればお調子者のホラ吹きと見られるが、実は努力と忍耐の人だった。物事を理路整然と組み立てて、一歩一歩前進する。情にほだされて道を踏み外すことは決してない」
そんな麟太郎がお順にこう言う。
「お順坊、おめえは子供の頃から利かぬ子だった。このおれをあたふたさえるのは、昔も今もおめえだけサ」
お順は、父小吉・と兄・麟太郎に大きな影響を受け、それを抜け出せないまま人生を過ごしたのではないだろうか?
それが幸福か不幸かは誰もわからない。
久しぶりに一気に読んだ物語であった。
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