
一昨年の暮れに熊本県八代郡氷川上流域に分布する上部ペルム系の球磨層を十数年ぶりに訪れてみた。


当時は道路整備によって法面が掘削されたおかけでサンゴやウミユリなどの化石を多く含む石灰岩が河川沿いに転石として存在したのですが、今では谷底を流れる水流の働きで見られなくなってしまった。
※探せば多少の石灰岩は見つけられるものの肝心の化石はいうと…
と、言うのも、これら石灰岩の供給源であった道路脇の露頭は既にコンクリートを吹き付けられていて川底の転石は在庫限りの処分セール(笑

)みたいな感じだったんですよね。

そこで、一昨年の暮れに壊れかけた脳みそと足を使って、法面にあった石灰岩の続きを探して廻り砂岩や頁岩に挟まれた石灰岩の露頭を見つけた。
それが、これ!(

)
だけど、その時は、この露頭を見つけた事に満足して、直ぐに別のチェックポイントへと移動したのでした。

で、昨日はこの石灰岩を割って中に含まれる化石を見たのですが大抵がウミユリなどの細かい破砕物ばかりで、見応えのあるサンゴのような化石は全くナシ!

距離からしても、そんなに離れてないの何なの、この違いは…
でも、その昔、川底で見られた、あのワーゲノフィルム(サンゴ)を含む石灰岩は何処かにあるはず!。
いや、絶対にある!

で、移動しながら、あっち行ってホリホリ!こっち行ってホリホリ!
すると山の奥の方に、それらしい露頭を発見。
この時期だから明るくて見つけられたけど、これが温かい時期だと木々がうっそうと茂って薄暗くて気付かなかったと思う。
ところが…
このタイミングで再び、あの苦しみが襲ってきた!

ここで来るのぉ…
いやぁ、こんなシチュエーションでのお迎えは嫌だなぁ… でも、これって自業自得だな

。
ニトロを口に放り込んで、待つ…
只管、待つ…
でも、一向に治まらない。
で、二つ目を出そうとメディカルカプセルに手を伸ばそうとした時に痛みが少し薄らいできた。
よし!このまま安静にして…
完全に治まったら帰る?
いや、斜面を登った!

そして、その石灰岩の表面にある風化面を観察するまでもなく、あるものが目に飛び込んでくる。
それが、これ!(

)
1cm近い丸いモノが広い範囲に密集している。
おっ!これは、もしかしてヤイベイナみたいな大型フズリナかぁ?
ん…
ジジイ眼鏡(老眼鏡とも言う)をかけて見ても分からない。
ならばルーペを使って…
ん?
ん…
おーい!、持って来て無いじゃん。(焦

こうなれば奥の手で接写レンズで撮影し、更にモニター拡大で確認ですね。

すると、そこにはワーゲノフィルムが…
そう、あの石灰岩の表面に見られた丸い密集物はサンゴ(ワーゲノフィルム)の断面だったのです

。
分かるかなぁ?
ん…
何処がぁ?なーんて人は下(

)の画像を見てね。

はーい、サンゴ(ワーゲノフィルム)の断面を円で囲ってみましたぁ。
まだ割ったばかりのナチュラルな断面なので分かり難いと思うけど、この面を研磨すると見事な化石へと化けるのだ。
そして…
この密集した部分を割って持ち帰ろうとも思ったけど止めた。
だって、ここで思い切って割ってたら、自分自身が昇天して化石化しそうだったから…
手術が終わったらフル装備でカチ割に来るから、それまで、そこで待ってろ!