中川恵一「がんの練習帳」
これは素晴らしい本です。
受験、恋愛、就職にハウツー本があるように、本書はがんのハウツー本です。
2人に1人ががんになる時代なので、がんについて予習しておくことは役に立つことだと思います。
①働き盛りに肺がんと告知された男性
②切除か温存かに葛藤する乳がんの女性
③男性機能障害に直面する前立腺がんになった63歳の男性
といった事実をもとにした6つの物語から、患者の気持ち、家族の気持ち、医師との関係などなどがリアルに描かれています。
もし自分ががんと告知されたら、家族ががんと告知されたら、
どんな治療法を選ぶのだろう、どんな心境になるのだろうと考えておくまさに、練習ができます。
私自身、医療用麻薬、モルヒネって聞くと、副作用がきつくあまりよくないものだと思っていましたが、
本書を読み考え方が変わりました。
がん治療には激痛が当たり前だと思っていましたが、
痛みを我慢するのではなく、医療用麻薬を使って痛みを緩和する治療が当たり前の医療になって欲しいなと思いました。
長崎では長崎在宅ドクターネットというネットワークがあり、そこで緩和治療について取り組まれています。
長崎から全国へ緩和ケアという概念が広がっていくと嬉しいです。