放送大学で、学んでいます

大学を出ているので、編入で全科生になりました。心理学を中心に学びまして、今は、再入学により、再び学びを始めました。

森田療法 日本で生まれた独自の心理療法

2012年11月20日 | 臨床心理学

「森田療法」とは、森田正馬により創始された心理療法である。

1.狭義の意味での森田療法は、森田療法家のもとに入院して、決められた順序で行われる。

2.広い意味では、森田療法家が、週に一度程度面接し、課題を与え指導を行う外来森田療法も含まれる。

 

しかし、その本質を会得するには、1.の入院森田療法に依らないといけない。

それは、なぜか。

イ) まず、入院療法の第1期臥褥期は、外界との接触を断ち「生の欲望」を生きるために、苦悩で疲れた頭を休め、

第2期への準備期間であると同時に、「森田療法適性」を判別する過程でもあるからである。

この「森田療法適性」が判別されることにより、クライエントは、「森田神経質」となる。

「森田神経質」と分かると、森田正馬が、「森田神経質」は病人として取り扱ってはならないといっているように

病人として取り扱わなくなる。ここが、重要なポイントである。

ロ)この第1期臥褥期を、日常生活では、体験するのは、ほぼ不可能である。可能であるなら、神経症などには

ならないと考えてもよい。

ハ)また、第2期で、多くの場合、森田療法の本質を体験することになるから、最も効果が出るように

第1期の日数を調整する必要があるからである。

 

ところで、人格は、そう簡単に変わらないから、森田療法を受けたからといって、「症状」と呼んでいるものが

霧散してしまうということもない。特に、重篤な神経症的苦悩を抱え続けてきた場合には、急に、そういうものが

なくなってしまうと、これはこれで、空虚感を覚えたりすることになるから、なくならなくてもよい。

 

しばしば、問題になるのは、症状のことを口にしなくなったり、出てきたら出てきたままでいることがあっても、

それはそれとして、生活しておれば、それが他ならぬ全治の姿なのに、それが全治と言われることへの違和感かもしれない。

 

人間は、こころの悩みを言語化したり、それを何かでなくそうとかしなければ、悩みは悩みのまま存在し、

なくなりそうでなくならないものなのである。

 

たとえば、森田療法施行前に、怖いと思っていた上司が、全く怖くなくなることはない。怖いものは、怖いとして

それに対して言語的に関わらない、つまり、上司が父と似ているからといった特徴を探ったりする必要もなく

現実の仕事でのつきあいややりとりの中で、自分なりに判断して、対応していけばよいのである。

 

言語は、行動と結びついており、Aと会う約束したら、その約束をはたさないと、後ろめたい気分などを惹起するように

できている。また、約束を守って会ったのに、不用意なことを言ってしまって怒られることもあろう。そういうときは

落ち込むのであるが、神経質の人は、そういう落ち込む自分に嫌悪したりしてしまう。

 

そのようなときに、そういったいやな気分とつきあうのではなく、つぎにやるべきことをすればよいのである。

 

ただ、残念なことに、世の中は、普通の人でも、失敗すると、それを悔やんだりするので、その様子を見て

それをまねてしまうことがある。

 

ムード一致効果がバウアーなどによって研究されているが、そういう現象を学習しておいて、その状態から

逃れるようにすることは、それも、ひとつの仕事なのである。