工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

1995年パシフィックGP 初めて見に行ったF1道中記 2

2018年10月30日 | 自動車、モータースポーツ
 私たちのツアーは岡山に到着。寝過ごした人もなく、全員無事に下車しました。夜が明けていない中、このあとはパスに乗り込んでサーキットを目指します。車中で熟睡していたのでどういう道をたどって着いたのかも覚えておりませんが、到着した時にはようやく朝陽が差し込み、山の澄んだ空気が出迎えてくれました。
 まずはスタンドに向かい、自分の座席を探します。ピットロードの出口近く、ホームストレートエンドに近いグランドスタンドの座席でした。座席には朝露が残っていました。ツアーは日曜朝と夜の食事、昼の割引券つきで、朝食はお弁当を引き換えるようになっていました。
 当時は午前中にF1のウォームアップ走行というのがあり、ここで初めて動くF1を見ました。
 戦闘機の爆音とは全く違う種類の爆音とともに、カラフルなマシンが駆け抜けていきます。テレビで聴く音とはボリュームが段違いに大きく、とても驚きました。山の中のサーキットに、文字通りエキゾーストノートがこだましています。いつもテレビで見ているマシンが(真っ赤なフェラーリも、マイルドセブンカラーのベネトンやティレルも、そしていつも後ろを走っている黄色いフォルティ・コルセでさえも)とてもかっこよく見えました。
 実はこのパシフィックGP、レースイベントはF1だけで、この週末は他のカテゴリーのレースは行われませんでした。翌週の鈴鹿ではF1以外にもシビックのレースや下位カテゴリーのフォーミュラカーのレースがありましたし、国によってはそれこそ朝から夕方までレースが組まれているところもありますので、観戦経験の豊富な方でしたら物足りなく感じたかもしれませんが、私はF1が見られただけで大満足でした。
 ということで空いた時間はお土産屋さんをのぞいたり、スタンドでプログラムを広げたりしていたのだと思います。もともと小さなサーキットの上に観衆もそれほど多くないこともあって、お土産屋さんもあまり混んでいなかった記憶があります。お昼ご飯は事前に配られた割引券は使わず、屋台でカレーを食べました(地元のお弁当屋さんの弁当は美味しかったのですがずっとお弁当ばかりではさすがに飽きてしまいます)。当時の写真を見てみると、人が集まるようなエリアに実車が展示されていたのですが、展示用のマシンは1年落ちのものだけでなく、2年落ちのものもあって、なんでここに置いてあるんだろう?という感じでした。
 鈴鹿と同じようにクラシックカーを使ったドライバーのパレードがあって、決勝は14:00スタートでした。ベネトン・ルノーに在籍していたミハエル・シューマッハ選手が、給油とタイヤ交換を巧みに利用した走りで逆転優勝し、2年連続のタイトルを手にしました。当時は今と違い、レース中の給油も認められており、ピット戦略も勝利の鍵となっていたのですが、シューマッハとベネトンチームはそのあたりがライバルより秀でていました。レース途中の猛烈な追い上げぶりはスタンドで見ていてもライバルとの差を1周ごとに縮めていく様子が分かり、生で見る楽しさを知った日となりました(家でテレビ中継を見ていた家族はそのあたりまではテレビでは分からず、見ていて面白いレースではないと言ってました)。
 日本人は3人のドライバーが出場。レギュラー組の片山、井上の両選手のほかに、鈴木亜久里選手もスポットで参戦しました。亜久里選手は翌週の日本GPの予選中にけがをしてしまい、そのままF1から引退しました。結果的にこのレースが最後のF1決勝出走となったのです。このシーズンは3人のドライバーとも決して恵まれたマシンに乗っていたわけではなかったので、片山選手の14位が最高で、他の二人はリタイアに終わりました。日本人が3人も出場するというのはとても珍しいことだったのですが・・・。
 このレースでデビューしたのはマクラーレンのヤン・マグヌッセン選手で、エースのミカ・ハッキネン選手が入院して来日できず、急遽デビューが決まりました。期待の若手、という位置づけの選手でしたが、F1では最高位が6位一回というキャリアでした。今では子息のケビン・マグヌッセン選手がF1デビューを果たし、お父さんをしのぐ活躍ぶりです。
 こうしてレースが終わり、あとは帰路につくことなりますが、ここからがまた興味深い旅となりました。結局3回シリーズになってしまいましたが、次回で完結です。

レースプログラムと片山選手のティレル・ヤマハ023(タミヤ1/20) 
レースプログラムは奥付を見ると扶桑社が編集に携わっており、作りが日本GPのプログラムによく似ています。
ティレルのマシン、青い色はミスターカラーのスージーブルーを吹き、マイルドセブンの水色の部分はスカイブルーに少量の白と鉄道カラー青22号を少量混ぜています。マーキングはサードパーティー製のデカールです。
 

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