工作台の休日

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近鉄12200系の引退

2021年02月17日 | 鉄道・鉄道模型
 先日のニュースで、近鉄12200系が定期運用から退いたという話を聞きました。近鉄の特急車輌の中でも一番の大所帯で、最初のグループが登場してから50年の長きにわたって定期運用についていました。
 12200系はスナックカーという別名を持っていました。近鉄には昭和42年に登場した12000系というグループがあり、名阪ノンストップ特急において軽食・喫茶のシートサービスに対応するため、スナックコーナー(近鉄系列の都ホテルが運営していたので「みやこコーナー」と呼ばれていたそうです)が乗務員室後位に設けられておりました。12000系をスナックカーと呼び、昭和44年に登場した12200系を新スナックカーと呼ぶこともあります。
 12200系ではスナックコーナーが拡大され、大きな窓と「SNACK CAR」のステンレス切り抜き文字の表記が特徴でした。



(写真はいずれもグリーンマックス(GM)の完成品)
 私の子供時代は近鉄特急というとビスタカー(私の小学生時代は10100系と30000系)とスナックカーのイメージがあり、関東の私鉄特急とも違う姿は憧れの存在でした。
 大人になってから奈良にお寺や仏像を見に行くようになり、また鈴鹿のF1観戦の行き帰りなどで近鉄特急を使う機会が増えました。そんな時に乗車したり、駅で見かけるのは最大勢力を誇った12200系でした。近鉄特急が走るほとんどの路線で目にすることが出来た車輌ですので、飛行機に例えればさしずめ今日のエアバスA320のような存在でしょう。
 スナックカーは後に増備されたグループではスナックコーナーがはじめからありませんでしたし、スナックコーナーがあった車輌も更新・改造によりスナックコーナーはなくなりました。それでも12200系に乗れるとかつての名車に乗ることができた気分がしまして、楽しかった記憶があります。更新を受けているとはいえ、そこかしこに昭和40年代の香りのする車輌ではありまして、汎用特急車の後輩22000系と比べれば古さは否めないのですが、古き良き私鉄特急の風格のようなものが感じられました。

(写真はGMキットを組み立て、4連仕様・更新前の姿としたもの)
 余談になりますが仏像を見に行くようになったのは、いとうせいこう・みうらじゅん両氏の手による「見仏記」の影響が大きいのですが、1990年代後半などは今ほどお寺も混んでおらず、外国人の観光客も多くは見かけませんでした。特に冬場などは静かなお寺の中で自分と向き合う時間を作るためには好都合でした。仕事が忙しく、いろいろと生々しいこともしていましたので、どこかで日常と自分を切り離したかったのでしょう。お寺の板敷の床が冷たかったことや、奈良大和路フリーきっぷであちこちで歩いたこととともに、12200系に乗ったことも思い出します。さすがに後になくなりましたが、京都から奈良までの30分程度の乗車時間でもおしぼりのサービスや車内販売があったので驚いたものです。
 またF1観戦の際には名古屋と伊勢志摩、名阪間の特急で名古屋から白子、津から名古屋といった区間でよく乗りました。名阪間の特急については停車駅の少ない「甲特急」ではなく、いわゆる「乙特急」にあたるわけですが、観光だけでなく、ビジネス客や少し遠い距離を楽に移動したい旅客が多く利用しているという印象があります。これもまったくの余談ではありますが、近鉄が豊天商店とコラボした「乙特急」Tシャツなどというのもあって、私も購入しております。当然カラーはオレンジ地に紺色で「乙特急」と書かれています。
 
 私の思い出から戻りましょう。ビスタカーと並んで好きな車輌ですので、模型でも作ったり、買ったりしています。GMの板状キットの初期にもスナックカー2連というのがありました。こちらは屋根と車体の分割が張り上げた屋根ではなく、車体の肩のところになっていましたので、多くのモデラーが継ぎ目を上手に消すために苦労されたのではないかと思います(私もその昔手を出したけどうまく作れなかった)。
 その後、12400系、12200系をはじめ、組み方次第でさまざまな車輌が再現できるエコノミーキットが発売されました。今回の作例もだいぶ前に作ったものになります。

(切り継ぎでできる、ということで12000系・更新後の姿も作りました)
 パーツなどを共通化しているところもありますので、沿線在住のファンの皆様からすると物足りないところもあるのかもしれませんが、GMキットの醍醐味である作る楽しみをたっぷり味わいました。
 実物の写真にしても模型の写真にしても、このテーマで皆様たくさんアップされているでしょうから、それとは別のものをご紹介します。
 今でも(今のほうが、と言うのが適切でしょう)こういったグッズはあるわけですが、私が子供のころあった電車をかたどったボールペンです。

 先頭車がキャップになっておりました。

 先頭車を見ていただくとわかるとおり、しっかり「スナックカー」になっていました。

 この電車型ボールペン、他にも新幹線や私鉄特急などがあったほか、C62と客車といったものもありました。こうしたコレクションはまたどこかでご紹介しましょう。




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