工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

バンパイア練習機などにひとまず安住の地か

2021年02月23日 | 飛行機・飛行機の模型
 先月のブログで航空自衛隊浜松広報館に展示されていた8機の航空機が、広報館から隣接する浜松基地内の屋外で保管される、という話を書きました。あの話に進展がありまして、浜松広報館のホームページによると「展示格納庫から搬出した8機の航空機につきましては、再展示の準備が整うまでの間、基地内の格納庫内にて大切に保管します」というお知らせが出ておりました。このお知らせを目にしまして、広報館及び浜松基地関係者の皆様のご尽力に感謝いたしますとともに、大切な機体が雨ざらしにならずに済みそうですので、少し安心いたしました。
 先月この知らせを聞きました折には、様々な方が声をあげていらっしゃったのですが、声高に厳しいことを申し上げることが、かえって逆効果になる恐れもありましたので、言葉を選んで私なりの気持ちを申し上げたところでした。こういう折ですのですぐに再展示、ということが難しいとは思われますが、いつの日か広報館で展示される日があれば、その時はぜひ駆けつけたいと思います。浜松基地でしばらく保管ということですから、航空祭に合わせてこれらの機体も展示、とかお寺の秘仏の公開よろしく時期を決めて広報館前のエプロンで特別公開、ということになれば嬉しいのですが・・・。
 浜松広報館では3月にリニューアルが予定されており、リニューアル後はF-4EJ改やT-4(ブルーインパルス仕様)が新たに展示の予定となっています。理想を申し上げれば戦闘機、練習機、救難ヘリ、ブルーインパルスで一つずつ展示格納庫があって、となりましょうがすぐには難しいことでしょうから、将来そういった日が来ることをファンの一人として願う限りです。
 今回のように「安住の地」が得られるようになったのはとてもありがたいことですが、そうはならないケースも各地で起きており、それは飛行機に限らず、鉄道車輌や自動車でも同じ話であることは皆様もよくご存じでしょう。今までは教材や広報資料、あるいは記念物として主に内部の人間にのみ見せていたものが、施設として公開され、ひとたび多くの人々の目に触れるようになれば、文化財になるということを忘れないでほしいと思いますし、私たちもそのつもりで接したいと思います。お金(予算)が余ったから整備する、予算がなくなれば捨ててしまう、という発想はどうか止めていただきたいですし、それくらいのつもりなら初めから保存などしてほしくない、というのが本音でございます。新しい絵を買ったから古い絵を捨ててしまう、という美術館は聞いたことがないでしょう。児童公園などにあるSLも、きれいに保存されている事例を見ると嬉しくなりますが、中には残念なことになってしまったものもあり、文化財という気持ちと覚悟を以て保存されていたらと思うケースが多々あります。
 乗り物の保存についてはよく「海外ではきちんと保存され、動態展示までされているのに翻って日本では・・・」という話も聞きますが、実際には動態展示というのは大変難しいものでもあります。以前キットでご紹介した飛行可能なバンパイア練習機ですが、イギリスの保存団体では動態保存のために大変な労力をかけています。また、古いレーシングカーを走れるように維持することも大変難しく、フェラーリなどはそのために専門の人員を割いていると聞きます。もちろん、海外のコレクションもさまざまな事情で散逸することがあり、ファンを嘆かせていることもまた事実です。公的な博物館でも工夫しながら展示をしており、ロンドンの交通博物館のように本館はスペースが限られているため、別館を設けて時期を決めて公開している例もあります。保管の方法、公開の方法というのは、工夫次第でできることもあるのではないかと思います(日本でも所沢の航空発祥記念館が時期を決めて格納庫にあって普段展示できない航空機を公開していましたね)。
 今回はバンパイア練習機の話から、乗り物の保存展示の話にそれただけでなく、自分の勝手な思いも含めて申し上げましたが、どうかご容赦ください。次回はモータースポーツのオフに合わせたもう少しやわらかい話をしましょう。

 

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