MA by So Shi Te 

南青山のインテリアショップ MA by So Shi Te のブログです!
毎日の出来事を綴らせていただきます。

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2014-09-17 15:02:16 | Personal
弊店には様々な方達が来てくださり、
 様々な出会いがある。

人は一生のうちにどれだけの人と知り合えるのだろう。
 一瞬の出会いでも
 その一瞬の時間を共有すると考えると、
  それまた何とも不思議な体験の連続。

道端ですれ違うだけの人でも、
 一瞬その人と同じ光景、
 そして同じ場所で同じ時間を共有する。
 それの連続。

多くの方とは、
 お話もせず本当の一瞬の出会いに終わるけれど、
 中には親しくなる方もいる。

小さなお店なのに
 何度も通ってくださる方々のおかげで
 今のお店がある。
  何ともありがたいこと。

窓の外に目をやると、
 交わることのない人々が通り過ぎる。
 
多くの方がこの辺にお勤めの方だったり、
 友人同士だったり、
 一人でお散歩をされている方だったりする。

若いカップルは肩を並べて仲良く話しながら通り過ぎる。
 それは普通のこと。

しかしご年配のご夫婦になると
 この肩を並べて歩くという行為が、
 割と珍しくなってくる。

どちらか一方が先に歩き、
 そして片割れの方が後ろを歩くということをよく目にする。

日本の女性は
 男性の一歩後ろを歩くなんて古風な光景ではなく、 
 多くの場合は 
  女性が先に歩き、
   その後ろを旦那がついて歩く的な光景も良く見受ける。

足が不自由であったり、
 歩くのが遅かったり。
 理由は様々だろう。

この一緒に歩くという行為は意外と面白いもので、
 心の距離をも表すと思う。

まれに100m位い離れて歩くご夫婦を見かける。
 旦那さんが足が不自由なので歩くのが遅く、
 奥さんの方がスタスタと先を歩いてしまうため
  それだけの距離ができてしまう。
 
それは極端な話で、
 距離があると言っても
 普通は数十センチのずれ。 
 でもそれは相手への関心が薄れていることにもつながると思う。

先日ある年配のご夫婦が寄ってくださった。
 弊店には移転前の旧店舗に来てくださり、
 今回は新店舗にお二人で寄ってくださった。

お年は80過ぎ。
 お二人とも朗らかで、
 前回いらしてくださったときにも
  お二人で店内をじっくり楽しそうに会話をしながら見て歩く。

ねぇねぇ、
 これ見てあんた、
 これ面白いわねぇ。

おい、こっちみてよ、
 これ可愛いだろう!

そんなお二人のやり取りを見ていると、
 なんだかとっても心が和む。

もう先が短くて
 明日この世からいなくなってもいいくらいだから
 あまり買えなくてごめんなさいねぇ、
 なんて言いながら結局二人であれやこれやと選んで
  沢山買ってくださる。

明日死ぬことを本気で考えたら
 こんなに買い物はしないと思う。
 死ぬ気が無いからいろいろ買えるのだと思う。
  だから長生きもできるのだと思う。

生きている今を楽しみたい。
 今一緒の時間を楽しみたい、
 そんな感じが伝わってくる。

旦那さんに仲が良いですね、
 ご結婚されてどのくらいになられるのですか?
 と聞いてみる。

ちょっと考える素振りをして
 う~ん、もう忘れちゃったなぁ。
 あははっ、と笑顔で答える。
 多分奥さんは覚えているだろう。
 でも要らぬ口出しはしない。

お会計が済むと、
 生きていたらまた寄るわね、
 と笑いながら出口へと向かう。

外に出て一言、
 「頑張ってね」。
 と気遣ってくださる言葉が嬉しい。

年を重ねると
 人は割と内向きになり
 他人への思いやりの気持ちが薄れてくることが多い。

それは当然のことで、
 体が不自由になり、
 内向きになって自分を気遣わなければ
  日常を送りにくくなることからだと思う。

さようなら、
 またお会いできるのを楽しみにしています、
 とお店の中に入るふりをして、
 そっと外に出てお二人の背中を追ってみる。



お二人が楽しげに肩を並べて駅に向かって帰っていく姿が見えた。

折角の短い人生、
 楽しく朗らかであったらどんなに良いことか。
 自分が満たされていると、
  他人へも優しくなれる。
  そんな気がした。



 
コメント
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