ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

キュレーションの時代と新たなるメディアの本質

2011年05月04日 | 読書
ここ数年、トラヒックの流れが変わったといわれている。以前であれば、SEO対策の成否がそのサイトのトラヒックを決めていたのだろうが、それだけではなく、TwitterやSNSといったソーシャルメディアでの「話題」になることが大きな影響力を持つようになった。 しかしインターネットの登場によってコンテンツは玉石混淆、無数に生成されており、自分の求めるコンテンツと出会うことが難しくなっている。そんな中でそ . . . 本文を読む

【書評】アフリカ―資本主義最後のフロンティア― / NHKスペシャル取材班

2011年02月26日 | 読書
中国やインドといった超人口大国の経済成長によって世界経済の構図は大きく変化した。これまでは欧米や日本といった先進国にこそ「需要」があり、そのその一定の市場の中でいかに消費を高めるか、新たなる需要を掘り起こすかが中心だった。中国(13.5億人)やインド(12億人)らは人口が多いといっても、その大半は低所得者~貧困層であったり、経済制度の関係で「市場」としては小さいものだった。それが両国の経済成長にと . . . 本文を読む

2010年に1番印象に残った本は「これからの「正義」の話をしよう」

2011年01月10日 | 読書
2010年、読書メーターに登録した本が40冊あった。その中には漫画や新刊本以外もある。そんな中で去年1番印象に残った本はというと、昨年末に読んだマイケル・サンデル著の「これからの『正義』の話をしよう――いまを生き延びるための哲学」だ。 NHKの「ハーバード白熱授業」で話題になったこともあって、この手の本にしては異例の発行部数を誇ったというのだけど、やはりこの時代だからこそ読む価値があるだろう。1 . . . 本文を読む

【書評】これからの「正義」の話をしよう / マイケル・サンデル

2010年12月18日 | 読書
もう半月ほど今年も残っているが、間違いなく、今年、2010年に読んだ本の中でNo.1といっていいのが、マイケル・サンデルの「これからの『正義』の話をしよう」だ。硬質で、さすがに疲れている時は全然頭に入らなかったりしたのだけど、間違いなく僕らの価値観に揺さぶりをかける。1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?――その問いに答えることは簡単ではない。 これからの . . . 本文を読む

【書評】成熟日本への進路――「成長論」から「分配論」へ / 波頭亮

2010年09月05日 | 読書
自民党から民主党に政権交代があり、中国が日本に取って代わってGDP第二位の経済大国になることが確実となり、人口減少と高齢化社会が目前に迫り…改めて現在の日本社会の課題を整理したいと思って手に取った一冊。基本的にはサブタイトルの『「成長論」から「分配論」へ』に示されているように、リベラル・社会民主主義路線に近い。高齢化社会・人口減少社会をむかえるにあたり日本はどうあるべきなのか。 . . . 本文を読む

【書評】ぼくらが夢見た未来都市 / 五十嵐太郎、磯達雄

2010年08月01日 | 読書
何気に建築物とか都市設計のようなものが好きなので、ちょっと興味を引かれて手に取った一冊。五十嵐さんの著書では以前、「過防備都市」を読んだことがある。建築物、例えばオフィスビル1つとってもそこには設計者の様々なコンセプトが注入されている。「せんだいメディアテーク」のコンペにおいても磯崎新の落選案のもつ設計思想についても、現在の過防備という観点からその斬新さについて非常に評価されていた。 本作は、五 . . . 本文を読む

【書評】〈私〉時代のデモクラシー / 宇野 重規

2010年07月11日 | 読書
「2ちゃんねる」を見ていても執拗な「公務員」バッシングがあったり、大企業や放送局やこれまでの「既得権益」をもっているものに対してのバッシングがあったりと、そこには妙な「格差意識」が感じられる。つまり自分たちの境遇からみて同じように働いているのに「優遇されている」と感じる人々に対して、正当な批判というよりは「ルサンチマン」による批判・やっかみ・ねたみが蔓延しているように思えるのだ。 そうした現在の . . . 本文を読む

レディ・ジョーカー / 高村 薫:グリコ森永事件をモチーフにした傑作

2010年06月03日 | 読書
高村薫が「グリコ森永事件」をモチーフに描いた傑作小説「レディ・ジョーカー」を読了。いやー、面白いの一言に過ぎるんだけど、読み終わった後に残る何ともいえない後味の悪さはなんだろう。不快というのとは違うすっきりとしなささ、結局、僕らは望むと望まないとに関わらずこの社会にスポイルされていかざろうえないのかという絶望を垣間見たような感覚… そうなのだ。この物語ではレディ・ジョーカーとそれを追う警察の物語 . . . 本文を読む

フリー <無料>からお金を生みだす新戦略 / クリス・アンダーソン

2010年05月07日 | 読書
WIRED誌(そういえば日本ではいつの間になくなったのだろう…)編集長クリス・アンダーソンが描いたベストセラー。ネットの世界で仕事をしていれば、書かれている内容そのものは決して真新しいものではないのだけれど、だからこそこの新しい状況に対してアトム文化で育ってきた人は考え方を変えなければならないのだと訴えてくる。つまりビットの世界で「フリー」を否定しても仕方がなく、どのようにこのフリーの世界に適応し . . . 本文を読む

日本辺境論 / 内田 樹

2010年02月28日 | 読書
内田樹さんの秀逸の日本文化論。日本人の特性と「学ぶ力」の必要性が説かれている。感想でも述べるが「総合的な学習」がうまく機能していない理由もこの論に即して考えてみると面白いかもしれない。 日本辺境論 (新潮新書) / 内田樹 【要約】 日本人ほど「日本文化論(自国文化論)」が好きな国民はいないという。何年かに一度は「日本文化論」が流行り、次の「日本文化論」が出ると先のものはすっかり忘れ、新し . . . 本文を読む

さよならサリンジャー、さよならシーモア、グラース家の人々

2010年01月30日 | 読書
J.D.サリンジャーがなくなったという。 訃報:サリンジャーさん91歳=「ライ麦畑でつかまえて」 - 毎日jp(毎日新聞) サリンジャーは大好きな作家の1人。野崎孝さんが訳した短編集「ナイン・ストーリー」の作品は何度読み直したことだろう。その中でも、特に好きだったのが、「バナナフィッシュにうってつけの日」。その後の作品でも登場するグラース家の長兄・シーモアの最期の1日を描いたものだ。 その凄 . . . 本文を読む

2009年で一番印象に残った本は…「クラウド化する世界」

2010年01月20日 | 読書
読書メーターで、2009年分の読書した本を一覧させる機能があったので、とりあえずためしに貼り付けてみる。多少の漏れはあってもだいたいこんな感じか。 僕が昨年読んだ本で中で一番印象的だったのはこれ。 クラウド化する世界 / ニコラス・G・カー,Nicholas Carr 技術的な話はあまりないんだけど、「クラウド」というものが社会にもたらすインパクトを、非常にわかりやすい例をもちいて読者に . . . 本文を読む

インドの衝撃/NHKスペシャル取材班・編

2009年12月13日 | 読書
「坂の上の雲」の時代というのは日本もこういう感じだったのだろうか――。この本を読んでいると、日本の衰退とインドの台頭というのは避けがたいことなのだろうと感じてしまう。「頭脳立国」でありそのパワーを国家の発展のために活かしたいという「志」、そして様々な問題も抱えつつも広がりつつある巨大市場。それは「草食系」などと呼ばれる日本の学生や人口縮小社会へと突入する日本とは真逆だ。2007年に放送されたNHK . . . 本文を読む

海辺のカフカ/村上春樹

2009年11月22日 | 読書
先日、「ノルウェイの森」を読み直し、あぁ、こんな小説だったっけ…などと改めて思う。中学、高校、大学にかけて、村上春樹の初期三部作(「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」)を馬鹿みたいに繰り返し読み、でもそれは村上春樹の作品を読むというよりは、僕自身の痛みや感情を見つけ出す作業といってもよかったと思う。だからこそ、その当時、あるいはそれ以降も、自分自身を重ねあわせにくかった作品 . . . 本文を読む

日本のブルー・オーシャン戦略 10年続く優位性を築く / 安部義彦、池上重輔

2009年09月25日 | 読書
W・チャン・キムさんの「ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する」が売り切りていたので、ちょっと迷ったけれど購入。アマゾンのレビュー欄を見ると、オリジナルよりもわかりやすい、実践的といったコメントがあったのだけど、うん、まさにその通り。逆に実践的過ぎ・わかりやすすぎるくらい。やはりオリジナルもあわせて読むほうがいいのだろう。 とりあえず内容のまとめ。感想というか、反省というかそれは別途ま . . . 本文を読む