ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

古きよき「Yahoo!」とPCをTVに近づける「GyaO」

2006年08月11日 | コンテンツビジネス
ADSLの普及期以来、「動画」がブロードバンドのキラーサービスといわれて久しいわけだけれど、現実はようやく…といったところだろう。このcnetの記事でも書かれているが、テレビとPC、そしてモバイルでの「距離感」というものは以前から問われてきたことであり、現在もそれは明確な答えがあるというよりは、「模索中」あるいか「変化の途上」というところだろう。

ブロードバンド放送に懸けるヤフーとUSENの違い - CNET Japan

物理的な観点からいくと、テレビはリビングにおかれみんなでくつろぎながら見る「1メートル」メディア、PCはパーソナルで利用する「30センチ」メディア、モバイルはさらにパーソナル度が親密になった「15センチ」メディアといったところ。この「みんな」「パーソナル」という違い、「1メートル」「30センチ」「15センチ」という物理的な距離の違いは、実際にはどのようなコンテンツを提供するか、どのような提供方法をとるか、ナビゲーション、サービスとの連携などさまざまな要素に影響する。

で、ここで面白かったのは、PC利用者を知り尽くしているYahooの松本氏が「GyaOさんが集めているコンテンツはテレビの距離に向いているものが多い」と指摘している点。おそらく松本氏の感覚からいえば、「パーソナル」メディアであるPCでは、個人の趣味志向に基づいたコアニッチなコンテンツやショートムービーのような短時間で「暇を潰せる」「目的を満足させられる」コンテンツこそがPCには合うのだろうということなのだろう。

これに対し、ネットTVを自認するGyaO加茂氏は、ネットならではのニッチコンテンツも用意しているとは言っているものの、あきらかに現状のGyaOのラインナップというのは、旧来からのネットに携わるものの感覚では「TV」に近い。そして事実、ユーザーの平均利用時間が30分前後と、SNSと並んでこれまでのネットサービスに比べて利用時間が長いGyaOは、これまでの「使い方」とは異なっているのだろう。

確かに最近のPCはテレビ視聴可能なものも多いし、液晶モニター自体も非常にきれいになってきている。また1人1台とまでは言わないまでも1家庭に複数台のPCがあることも当たり前となり、そして何よりも、光ファイバを中心としたブロードバンド環境の普及は、1Mbps~3Mbpsといった非常に高画質の映像配信を安定的に実現することを可能にした。

そうした変化のさなか、PCでの動画配信がよりテレビに近くなったとしてもおかしくはない。

また技術的な面では、これまでは動画配信といえばwmvが当たり前であったけれど、FlashストリーミングやDivX Stage6といったWebサイトと連動しながら高品質な動画をオンデマンドで提供することにむいているものも登場してきたし、iTuneに搭載されVideocastにも利用できるよりH.264といったものもある。

 DivX Stage6 -

 DivX Stage6が変える動画配信プラットフォーム

またより放送型に近いモデルとしては、「goo Video Receiver」という取り組みも始まっている。

 goo、ミュージックビデオをスクリーンセーバーにするソフトをトライアル提供 - CNET Japan

 goo Video Receiver ミュージックビデオをダウンロードしてスクリーンセーバーに!

これらは「テレビ」向けかこれまでの「PC」向けか、あるいはCGMかという違いとは別に、それぞれの在り方を支える技術基盤が充実してきたことをしめしてり、いずれにしろこれまでの「TV」とは異なるターゲット層、異なる特性をもって進化していくのだろう。

そして3G/3.5G/4G/WIMAXと、よりIP化・ブロードバンド化を果たしていくモバイルについては、今後、「動画」というものにより注目が集まっていくことになるだろうが、これらはまた違う「距離感」、異なる特性をもって進化していくのだろう。


 動画配信が成り立つための分岐点





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