ビールを飲みながら考えてみた…

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USENの決算発表!GyaOは生き残れるのか?!(2006年8月期USEN中間決算)

2006年04月22日 | コンテンツビジネス
急速に会員を伸ばすGyaOの好調振りが聞こえたり、ライブドアの子会社化を進めたりと、イケメン社長・宇野康秀率いるUSENグループだけれど、2006年8月期 中間決算短信の結果を見る限り、そのイケイケ振りに比べて業績は非常に厳しいようだ。詳細は分からないけれど、GyaOが予想以上にUSEN全体の脚を引っ張っていると見て間違いはないだろう。

 FujiSankei Business i 産業/ギャオ 営業赤字40億円 USEN06年2月中間 無料ネット放送苦戦2006422
 asahicom:USENの中間決算、赤字に転落-ビジネス
 株式会社 USEN IR情報

始めに僕の立場をはっきりしておくならば、「GyaOは成功しないだろう」と考えている。但しこれは無料配信モデル全体がうまくいかないとか、動画配信自体がうまくいかないといった立場ではない。これまでも書いてきたように、GyaOのような編成型・無料広告・ストリーミング型は構造的に大きな課題を抱えている。編成型である以上、コンテンツ調達コストを押さえることはできないし、広告モデルである以上、継続的にユーザーに来てもらい見てもらう仕掛けが必要となる。またストリーミング型である以上、利用されればされるほどネットワークコストが増大するといった矛盾も抱え込まねばならない。それは、「ネット向け動画広告の黎明期なので、広告が集まりにくい」といった言い訳とは別次元の課題なのだ。

無料配信モデルあるいは動画配信が成功するためには、これらの構造的な課題を克服する必要があり、それがアーカイブ・投稿型のGoogleVIDEOやYouTubeなのか、あるいはRSSのようなPUSH型のビデオポッドキャストなのか、それ以外の新しいモデルなのかはわからない。また同じようなGyaOのような「編成型・無料広告・ストリーミング」モデルであったとしても、例えばコンテンツ調達コストやネットワークコストを劇的に削減できるスキーム・視聴者を定期的に集めるための仕掛けができれば成功するかもしれない。そこにこそ動画配信の成功のポイントはあるのだろう。

以前、「FujiSankei Business i」によると、『インターネット放送「ギャオ」の二〇〇六年八月期の広告収入が五十億円未満となる見通しを示した。当初の予想は最低でも百五十億円としていた』とある。今回の平成18年8月期中間決算短信(連結)を見ていると、「映像・コンテンツ事業」として、

営業売上:10,487百万円
営業損失:△4,903百万

とある。

最高益を上げたエイベックスが含まれていないとして、売上105億のうち、ギャガが96億を占める。ショウタイムの会員数を20~30万人とすると4~7億はあるだろうから、何のことはないGya0の広告収入は2~3億しかないのではないか。

これに対して営業損失については、ギャガが△172百万円の損失。ショウタイムや他の子会社分が見えないとしても差分の△4,732百万の多くがGyaO関係と見るべきだろう。

そんなこんなもあって(実力以上に)知名度の高く、ブログサービスではそれなりのポジションを占める「ライブドア」と連携を図りたいというところだろうが、これについては大前研一氏もかなり否定的。そもそも検索やブログといったネット的な「ひまつぶし」と動画やゲームといった「はまり系」の「ひまつぶし」は性質が違う。足してすぐ効果が現れるようなシナジー効果などないのだ。

 大前研一のニュースの視点:USENがライブドア支援へ~疑問が残る株取得とシナジー効果の誤算

本業の放送事業が64億円、カラオケ事業でも28億円の収益を生み出しているにもかかわらず、ブロードバンド事業で25億、映像・コンテンツ事業で49億の損益を計上したUSEN。確かにネット向け動画広告モデルの先駆者として、なかなかクライアントや広告代理店からの理解が得られないという側面があるかもしれないが、これだけの損益を生み出しつづけるとしたらGyaOの見直しなども検討していかねばならないのだろう。既に「完パケ」中心から「オリジナル」へ、ネットTVからポータルへの接近へと路線変更を進めつつあるが、「存続」を含めての検討が始まっても仕方がない状況となったといえるだろう。


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