ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

メディアとしてのYouTube

2009年03月11日 | コンテンツビジネス
英国でYouTube上の音楽ビデオへのアクセスが遮断されるとのこと。理由は英国の著作権料徴収団体RPSとのライセンス料で合意ができなかったため、とのこと。RPSは言うなれば英国版JASRAC。つまりJASRACの料率が高いんなら、配信なんかしてやるものかというのがYouTube側の言い分だ。

YouTube、英国で音楽ビデオへのアクセスを遮断へ:ニュース - CNET Japan

もちろんRPS側の言い分もある。「Googleは、YouTubeの視聴件数が大きく増えているにもかかわらず、サービスの要である音楽の作者に支払う金額を大幅に減らしたがっている」というのだ。

まぁ、どっちがどうだかはわからないものの、今回の件から2つのことが言えると思う。

1)YouTubeが既に巨大メディアとなっており、交渉のイニシアティブが必ずしも権利者側にあるわけではない

2)それだけのメディアに成長したにもかかわらず、いまだビジネスとしては厳しい状態である

普通に考えれば、(合法的な配信を行うためには)権利者側の許諾を得る必要があり、こうしたインターネット上の動画配信では配信側よりも権利者側・コンテンツホルダー側が優位に立ちやすい。しかしGoogleのこの対応は、既にYouTubeが多数のユーザーを抱えており巨大メディアとして成長してしまっており、権利者側にとっても(プロモーションの場として)YouTubeで配信されることの方がされないことよりもメリットが大きくなっていることを示している。

力関係が逆転してしまっているのだ。

しかしこれでYouTubeがTV局のような存在になったかというとそうではない。まずそもそもビジネスとしてはまだまだ厳しい状況なのだろう。

Googleは「法外なライセンス料」と「透明性の欠如」を問題視している。いずれもこれは契約内容・交渉内容を見てみないとわからないが、YouTubeそのものが非合法にアップされたコンテンツをもとに成長してきたことを考えるとちょっとその言い分はどうなんだろう。

先日のJASRACに対する公取の排除命令はもとより、権利処理窓口の一本化など著作権使用料の問題は日本国内でも課題が存在しているし、レーベル側が配信許諾を認めない独占禁止法違反の問題など、まだまだ音楽業界・権利者団体とネットの関係はいびつなのだろう




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