ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

「Yahoo!BB 光」と「無線TVパック」はどうつながるのか

2004年10月06日 | コンテンツビジネス
「CNET Japan」の記事だけだともう1つ掴みにくかったのだけれど、「ITmedia」の記事をあわせて読むと、この「無線TVパック」ひ「Yahoo!BB 光」のイメージがつかめてくる。う~ん、さすが孫正義、思わずうなってしまった。


ソフトバンクがFTTHサービス「Yahoo! BB 光」開始を正式発表

ITmediaニュース:地上アナログ放送をPCにワイヤレス伝送――「Yahoo!BB 光」専用サービス

ITmediaニュース:「Yahoo!BB 光」スタートへ 1Gbpsを共有


以前「VODサービスの可能性について」の中で、VODサービス普及の条件として、CS/BS、レンタルビデオなど様々なコンテンツ配送システムがある以上、VOD単体での普及というのは難しく、CATV同様に地上波の再送信は必要だ、と書いたのだけれど、そうか、何も「光ケーブル」を利用して再送信する必要はない。だったら通信機器にTVチューナーを付けてしまえ、と。

よく考えてみると、この発想、何も目新しいものではない。

SONYのエアボードなど、まさにこの発想だし、BUFFALOの「LinkTheater」シリーズなどもある。また携帯電話に目を移せば、ボーダーフォンからは既に「FM付き携帯」「TV付き携帯」が発売されている。個々の要素は既に存在し、それを組み合わせ、派手な宣伝を仕掛けたことで、これだけのインパクトをもったのだ。


ロケーションフリーテレビ「エアボード」

BUFFALO 株式会社バッファロー「LinkTheater」

ボーダフォン、テレビ付き携帯電話端末を12月に発売 (MYCOM PC WEB)


まず、これはPCを対象としたサービスだ。家庭にテレビが一台ならば、TVを直接端子につなげばいい。TVではないところで、30cmメディアであるPCに対して提供するものである。この時点では通信事業者である「YahooBB」が「無線TVパック」を提供する必要はない。テレビ端子からの信号を宅内で無線LANで飛ばすだけであるならば、むしろエアボードやLinkTheaterのように、「チューナー」→「MPEG変換」→「無線LAN」への機能をルータやSTBにつければいいだけである。通信事業者の役割とは全く別のものなのだ。これがSTEP1。

それじゃぁ、このユーザーが映画を見たいときはどうするのか?

レンタルビデオでDVDを借りてきてPCで再生させる?もちろんそれもありだろう。しかし今日の多くのPCがネットに接続されうる存在である以上、だったらネット経由で配信すればいい。今やISPやポータルで多くの映像コンテンツが配信されているのだから。ADSLが不安定なら「光」にすればいいし、実行速度が遅いというのなら、回線帯域を太くすればいい。各家庭まで1Gだ…これで初めて通信事業者が「無線TVパック」を提供する意味をもつ。TVは放送の宅内再送信で、PC向けVODはYahoo!BBが便利ですよ、と。

しかし今やISP内で閉じた映像配信というのは必ずしも多くない。インターネットにおいてはISPと同一ドメイン内のサイトだろうが、他ドメインのサイトだろうが対等に扱われる以上、ISPへの加入促進の「きっかけ」としての効果はあっても、「無線TVパック」の提供で完全無比の「電子レンタルビデオ」になれるわけではない。

そしてSTEP3。

基本的に映画を見るならTVがいいに決まっている。権利処理も簡単だし、TVとつながればより長くユーザーに利用してもらえるだろう。何よりもISP会員にそのままTV用ポータルを提供すれば、TV用VODはもちろん、TVショッピングにも対応できる「家庭用課金プラットフォーム」が提供できるではないか。これが今のTVに一番足りないものだ。

i-modeが個人用の課金プラットフォームなら、YahooTVは家庭用課金プラットフォームを目指す、という感じなのだろうか。

確かに携帯用コンテンツビジネスに比べて、インターネット用コンテンツビジネスが伸びきれない理由として、課金に対する「不安」というのは大きかったと思う。様々なサイトに対してクレジットカードを登録する、というのはやはり抵抗がある。となると、家庭を直結するTV用ポータルというのは、インターネットのような分散型というよりは、i-modeのように統合された課金機能を提供する方がいいだろう。

これだけを見越した上での戦略だとしたら、う~ん、孫正義恐るべし。


コメントを投稿