昨日は、「第34回京の夏の旅」文化財特別公開中の東福寺の塔頭「龍吟庵(りょうぎんあん)」へ行ってきました。室町初期に立てられた日本に現存する最古の方丈建築で、昭和の作庭家、重森三玲氏が手掛けた庭が見所です。東福寺の方丈【前ぶろぐ】の右手奥の道を歩いたところにあります。通常は公開されていません。途中、通天橋、臥雲橋とともに東福寺三橋のひとつの「偃月橋(えんげつきょう)」を渡ります。
この偃月橋は、豊臣秀吉の妻のねねが、龍吟庵を参拝されるために作られたもので、重要文化財に指定されています。橋のかかっていない時代は、谷を登り降りして、参拝していたそうです。東福寺三橋のうち、創建時(1603年)のままで残っているのはこの偃月橋のみで、橋の屋根の内側に供えられた守り札に、年代が記されています。ぜひ、上を向いて渡ってみましょう!
橋を渡ると「龍吟庵」(写真右下)があります。その手前には、塔頭のひとつ「即宗院」があります。(通常公開はしていません)即宗院は、島津家の菩提のために創建され、境内奥には西郷隆盛が倒幕の密議をかわした茶室跡や島津藩士の顕彰碑があります。以前特別公開の時にご紹介しています。【前ぶろぐ】
龍吟庵の方丈は、室町時代に建てられた日本に現存する最古の禅宗方丈建築で、書院造と寝殿造りの名残(蔀戸など)をとどめ、国宝に指定されています。東福寺の3世の住持「大明国師(だいみんこくし)」の住居跡です。正面入り口には、足利義満の筆と伝えられる扁額(へんがく)が掲げられており、室内には大明国師の大きな肖像画が掛けられています。(室内の写真撮影はできません。)
方丈の周囲には、重森三玲氏作庭の3つの枯山水庭があります。方丈正面の南庭は、一木一草をも用いない簡素な白砂敷きの「無の庭」です。唯一の装飾は、西庭との仕切りの塀にある稲妻の模様です。
西庭「龍の庭」は、寺名の龍吟庵にちなみ、龍が海中から黒雲を得て昇天する姿を表現しています。
方丈の背後には、開山堂(写真右下)があります。堂内には、大明国師坐像が安置されています。
東庭「不離の庭」は、方丈と庫裡を結ぶ渡り廊下に面した長方形の小さな庭です。3歳の時に、伝染病にかかってしまったため、山に捨てられた大明国師を、どこから現れたのか2頭の犬が3日3晩、国師のそばを離れず、狼から守ったという故事に基づいて作庭されています。(中央の細長い石が国師を表しています。)おかげで国師は病も治り、13歳で得度、東福寺の3世住持(住職)となります。その後、南禅寺の開山として迎えられますが、ほどなく病になってしまったため東福寺に帰山し、80歳で亡くなっておられます。ちなみに、現在の東福寺の住持は303世だそうです。(@Д@;)
東福寺:龍吟庵 特別公開 7月18日~9月30日まで 10:00~16:00
大人:600円 小人:300円 (係員が詳しく説明してくれます。30分程度)
おまけ:通常公開されていない東福寺の法堂(本堂)が、予約団体さん?のために公開されていて、窓が開いていました。法堂は昭和9年の再建の新しい建物です。堂本印象氏がわずか17日で描いたという天井の雲龍図をちらっと覗くことができました。(みなさん写真を撮られてたんで便乗して撮りましたが・・・)なお、この龍は「京の龍めぐり」というツアーでも見れるみたいです。
東福寺は25の塔頭があります。機会があるたびに出かけています。【東福寺周辺:カテゴリ】