シルヴァスタイン作、倉橋由美子訳、
「ぼくを探しに」 THA MISSING PIECE(原題)
この本を読まれた事のある方も多いかと思う。
「ぼく」という、欠けた部分をもった、まるい登場人物(キャラクター?)が、白い画面に、1本の単純な線で書かれた、
独特の世界をもつ、どちらかというと、大人のための絵本だ。
シンプルな絵と、簡単な文章で書かれているので、子供でも楽しめるとは思うが、
やはり大人がふと手にしたくなる本だと思う。
「ぼく」は、かけら(欠けた部分)をさがしに旅をする。
かんかん照りの日もあれば、雨の日も、雪の日も、ぽかぽかの日も、歌を歌いながら旅を続ける。
かけらを見つけたと思ったら、拒絶されたり、しっかりくわえなかったから、落してしまったり、
しっかりくわえ過ぎて壊してしまったり・・・
ある日、ぴったりのかけらを見つける。
完璧なまるになった「ぼく」は、すごいスピードで進む事が出来るようになる。
でも、歌う事も、花の香りをかぐ事も出来ない。
考えた末、そっとかけらをおいて、またもとの「ぼく」になって、旅を続けてゆく。
そんな話だ。
この本の初めに、だめな人と、だめでない人の為に・・・と書かれている。
さしずめ私は前者であろう。
欠けた部分があるからこそ、見つけたり、感じたりできる事もあるのかもしれない。
かけた部分が何であろうと、読み手の想像に任せればよい。
しっかりくわえなかったから落としてしまったり、くわえ過ぎて壊してしまったり・・・恋人関係のようでもあるし。。。
「ぼく」は、あえてかけらをおいて、欠けた部分がある事を選んだ。
そうしてゆっくり、歌を歌ったり、花の香りをかいだり、時々ちょうちょがとまったり、そんな風に旅を続ける。
欠けた部分があることで、楽しくないと思っていたのに、欠けた部分がある事を選び、
またそれをさがしに、旅を続ける。
大なり小なり、それが生きるということで、人間とはそういう存在なのかもしれない。
生き続ける限り、何かをさがし旅を続けるのだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます