年賀欠礼のはがきをようやく出し終えた。
と入れ違いに訃報が届いた。
大学をでて最初に就職した設計事務所で、私が秘書をやった専務だった。
98歳というご高齢だから、大往生かもしれないが、やはりさびしい。
2年に1度開催される、OB会にも、去年はいらっしゃらなかったけれど、その前まではお元気で参加されていた。
秘書といっても、そういう専門コースを出たわけではないので、本当に言われたことしかできなかったので、OB会のときに、ご迷惑をおかけしたのではないかと、今頃になってお詫びをしたほどだった。
タバコが好きで、飄々とした感じの方だった。
毎年年賀状をいただくが、去年に限って、ご自分で書かれた文字のようで、小さく震えた文字だった。
今まではパソコンでどなたかが(ご自分かも)宛名を印刷されていたものだったけれど、去年だけはちがった。
たぶん直筆だろう。
仕事のことで一番よく覚えているのは、リストラを行った時だった。
世間がそういう風潮で、組合こそあったけれど、会社には逆らえず、年齢のいった方から、本当に肩たたきをしたのだ。
そして、その人を呼びに行くのが私の仕事だった。
専務室で話し合いが行われている間は、私は部屋の中に入らず、休憩室で待っていた。
嫌な役目だった。もちろん告げるほうは、もっと嫌だったことだろう。
そんな思い出もあり、こんな私を働かせてくれた会社の上司だということで、やはり私には忘れがたい方の訃報だった。
合掌