この映画見る前は聖人君子・霍元甲
(フォー・ユエンジャ)が西欧列強の代表の武術家を
倒し中国人の威信を守った、みたいなのを想像して
いました。
すいません全然違いました。
この映画はジェット・リーの求道映画です。
教えであり精神論でもあります。
中国では自殺者が年間28万人もいるそう
でジェット・リーは 「若者よがんばれ」
なメッセージを込めてこの映画を作ったそうです。
霍元甲はブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」
でも有名な実在の人物で、霍元甲の仇をとる為に
ブルース・リーが日本の武術家と戦います。
冒頭は主人公・霍元甲(ジェット・リー)が
異種格闘技戦で四人の西洋格闘家、
ボクサー、槍使い、サーベル剣士を次々に倒し
最後に日本の田中安野(中村獅童)と戦うという
ところで回想に入ります。
ところは天津。
霍元甲の幼少時代、彼の父親は、強いのですが試合
で相手にとどめをささなかったりする(それで
霍元甲は馬鹿にされたりする)のを内心よく思って
いませんでした。
小さい時の霍元甲は厳しい父親に文の写生をしろ
と言われても親友の農剄孫に代筆をさせるような
ちゃっかり屋さんで隠れて武術の練習をしてもい
ます。
このころはまだまだ聖人君子とはほど遠いです。
そして青年時代、強くなった霍元甲には娘もでき
強敵を次々と倒し自分の名声を高めていきます。
ハイスピードで天津の武術家たちを倒していく
アクションシーンは見ていて楽しい事は楽しいです
戦い方が相手の指をへし折ったりとややダーティ
ですが。
中国の映画や小説では武術の試合があっても嫁さん
を手に入れる、とか優秀な人材を手に入れるとか
ばかりです。
金庸も、
「武術で相手を倒すというのには興味がない」
と言ってました。
もしかして優勝して「一番」てのに興味ない?
このスピリットの試合も相手を倒して自分が
有名になるのが目的ではないのです。
ちょっと最近のジャンプで見習った方が良い
考えかもしれません。
さてタイトルの「スピリット」は精神、そして
酒という意味もあります。
ますます強くなり名声も上がった霍元甲
の元には連日おしかけ弟子がワラワラと来ます。
霍元甲を心配してくれる親友・農剄孫
(小さい頃代筆してくれた子)
は酒場というか酒家楼を経営していて
霍元甲のツケが溜まりに溜まっていますが
「酒で親友を選ぶな」
と利益を度外視した助言をしてくれる本当の親友
です。でも霍元甲は聞く耳持ちません。
そして、その酒で選んだ弟子が問題を起こ
しました。
その問題の相手は武道家・秦で彼を倒せば天津
ではもう相手はいない、というほどの達人です。
しかし秦を勢い誤って殺してしまい今度は
秦の息子に母親と娘を殺され霍元甲は家族を
失います。
放心状態の霍元甲はさまよった末、ある村へ
辿りつきます。
その村で四季を過ごし月慈という目の不自由
な女性と暮らしますが田植えなどを通して、
中国お得意の哲学的なもって回った言い方、
美しい自然と森羅万象と人は共にあるみたいな
キレイな映像が延々延延と続きます。
霍元甲の心身の再生の話なのでしょう。
ある日新聞を見た霍元甲は中国人が外国の
レスラー(ネイサン・ジョーンズ)に連敗して
いるのを知りますが中国の威信を取り戻せ、
みたいな展開にはなりませんでした。
相手のレスラーとは正々堂々戦い最後握手
までしますもん。
時代背景はとりあえずこういう時代に生まれ
ました程度にしか描かれていないように
思えます。
実際「世相の描写に深みがない」という意見
もありました。
ジェット・リーは求道や道徳を教える事に
しか興味はないようです。
霍元甲は精武門を設立し多くの弟子を取り
「敵は己自身の中にいる。己に打ち克て」
「努力し自分を向上し武術を排外に用いるな」
「武術を使えば流派を越えて結ばれる」
「戦わずして勝つ」
などの素晴らしい精神論を教えます。
藤岡弘も「刀を使うことなく収めるすべを学べ」
「己の精神を鍛えろ」
なんて似たような事を言ってましたが、
格闘家が極めると行きつく先は同じ論理なので
しょうか?
再び冒頭に戻ります。
日本の格闘家・田中安野と正々堂々と戦い、
その戦いを見守る観客の中には親友・農剄孫
そして、その手にかけてしまった秦の家族が
いました。
霍元甲は日本軍に毒殺されたという説があるそう
ですが実際は喀血病の悪化だそうです。映画の
スタッフは霍元甲は小さい頃から喘息持ち、
という設定にしているので真実はわかっている
とは思います。
映画では日本人高官の三田が霍元甲に毒を盛るの
ですが、三田を演じるのは原田眞人氏で本人も
「ラストサムライの大村の延長みたいな役」
と言っており「またか~?」と思う事うけあい
です。
田中安野が三田に「お前は日本人の恥だ」のセリフ
で日本人が悪いではなく、恐ろしいのは真剣勝負に
セコイ陰謀を持ちこむ悪党の精神性だ、と言いたい
のでしょう。たぶん。
映画で霍元甲が設立する「精武門」ですが
ブルース・リーの怒りの鉄拳の原題でもあります。
ブルース・リーもジャッキーもジェット・リーも
ドニー・イェンも全員「精武門」に出演したことが
あるそうです。
谷垣健治さんがドニー・イェン版「精武門」に参加
している時とある日本人記者が谷垣さんに
「あなたは日本人ですが、中国人が日本人を倒す
映画をどう思いますか?」と質問をしました。
谷垣さんは「仕事ですから」と答え記者さんは
キョトンとしたそうです。
谷垣さんは「あの人の頭には書く記事が決まってる
んだろう。もう少しカンフーの事が好きな人を送って
欲しい。互いにイヤな気分になるし、あの記者さん
だってかわいそうじゃないか」と。
まったくです。その記者さんも
そういう人種的な議論はして結構ですが場所をわきま
えて欲しいものです。
あなたのハートには何が残りましたか?
ああっ今回あまりギャグがない!!
(フォー・ユエンジャ)が西欧列強の代表の武術家を
倒し中国人の威信を守った、みたいなのを想像して
いました。
すいません全然違いました。
この映画はジェット・リーの求道映画です。
教えであり精神論でもあります。
中国では自殺者が年間28万人もいるそう
でジェット・リーは 「若者よがんばれ」
なメッセージを込めてこの映画を作ったそうです。
霍元甲はブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」
でも有名な実在の人物で、霍元甲の仇をとる為に
ブルース・リーが日本の武術家と戦います。
冒頭は主人公・霍元甲(ジェット・リー)が
異種格闘技戦で四人の西洋格闘家、
ボクサー、槍使い、サーベル剣士を次々に倒し
最後に日本の田中安野(中村獅童)と戦うという
ところで回想に入ります。
ところは天津。
霍元甲の幼少時代、彼の父親は、強いのですが試合
で相手にとどめをささなかったりする(それで
霍元甲は馬鹿にされたりする)のを内心よく思って
いませんでした。
小さい時の霍元甲は厳しい父親に文の写生をしろ
と言われても親友の農剄孫に代筆をさせるような
ちゃっかり屋さんで隠れて武術の練習をしてもい
ます。
このころはまだまだ聖人君子とはほど遠いです。
そして青年時代、強くなった霍元甲には娘もでき
強敵を次々と倒し自分の名声を高めていきます。
ハイスピードで天津の武術家たちを倒していく
アクションシーンは見ていて楽しい事は楽しいです
戦い方が相手の指をへし折ったりとややダーティ
ですが。
中国の映画や小説では武術の試合があっても嫁さん
を手に入れる、とか優秀な人材を手に入れるとか
ばかりです。
金庸も、
「武術で相手を倒すというのには興味がない」
と言ってました。
もしかして優勝して「一番」てのに興味ない?
このスピリットの試合も相手を倒して自分が
有名になるのが目的ではないのです。
ちょっと最近のジャンプで見習った方が良い
考えかもしれません。
さてタイトルの「スピリット」は精神、そして
酒という意味もあります。
ますます強くなり名声も上がった霍元甲
の元には連日おしかけ弟子がワラワラと来ます。
霍元甲を心配してくれる親友・農剄孫
(小さい頃代筆してくれた子)
は酒場というか酒家楼を経営していて
霍元甲のツケが溜まりに溜まっていますが
「酒で親友を選ぶな」
と利益を度外視した助言をしてくれる本当の親友
です。でも霍元甲は聞く耳持ちません。
そして、その酒で選んだ弟子が問題を起こ
しました。
その問題の相手は武道家・秦で彼を倒せば天津
ではもう相手はいない、というほどの達人です。
しかし秦を勢い誤って殺してしまい今度は
秦の息子に母親と娘を殺され霍元甲は家族を
失います。
放心状態の霍元甲はさまよった末、ある村へ
辿りつきます。
その村で四季を過ごし月慈という目の不自由
な女性と暮らしますが田植えなどを通して、
中国お得意の哲学的なもって回った言い方、
美しい自然と森羅万象と人は共にあるみたいな
キレイな映像が延々延延と続きます。
霍元甲の心身の再生の話なのでしょう。
ある日新聞を見た霍元甲は中国人が外国の
レスラー(ネイサン・ジョーンズ)に連敗して
いるのを知りますが中国の威信を取り戻せ、
みたいな展開にはなりませんでした。
相手のレスラーとは正々堂々戦い最後握手
までしますもん。
時代背景はとりあえずこういう時代に生まれ
ました程度にしか描かれていないように
思えます。
実際「世相の描写に深みがない」という意見
もありました。
ジェット・リーは求道や道徳を教える事に
しか興味はないようです。
霍元甲は精武門を設立し多くの弟子を取り
「敵は己自身の中にいる。己に打ち克て」
「努力し自分を向上し武術を排外に用いるな」
「武術を使えば流派を越えて結ばれる」
「戦わずして勝つ」
などの素晴らしい精神論を教えます。
藤岡弘も「刀を使うことなく収めるすべを学べ」
「己の精神を鍛えろ」
なんて似たような事を言ってましたが、
格闘家が極めると行きつく先は同じ論理なので
しょうか?
再び冒頭に戻ります。
日本の格闘家・田中安野と正々堂々と戦い、
その戦いを見守る観客の中には親友・農剄孫
そして、その手にかけてしまった秦の家族が
いました。
霍元甲は日本軍に毒殺されたという説があるそう
ですが実際は喀血病の悪化だそうです。映画の
スタッフは霍元甲は小さい頃から喘息持ち、
という設定にしているので真実はわかっている
とは思います。
映画では日本人高官の三田が霍元甲に毒を盛るの
ですが、三田を演じるのは原田眞人氏で本人も
「ラストサムライの大村の延長みたいな役」
と言っており「またか~?」と思う事うけあい
です。
田中安野が三田に「お前は日本人の恥だ」のセリフ
で日本人が悪いではなく、恐ろしいのは真剣勝負に
セコイ陰謀を持ちこむ悪党の精神性だ、と言いたい
のでしょう。たぶん。
映画で霍元甲が設立する「精武門」ですが
ブルース・リーの怒りの鉄拳の原題でもあります。
ブルース・リーもジャッキーもジェット・リーも
ドニー・イェンも全員「精武門」に出演したことが
あるそうです。
谷垣健治さんがドニー・イェン版「精武門」に参加
している時とある日本人記者が谷垣さんに
「あなたは日本人ですが、中国人が日本人を倒す
映画をどう思いますか?」と質問をしました。
谷垣さんは「仕事ですから」と答え記者さんは
キョトンとしたそうです。
谷垣さんは「あの人の頭には書く記事が決まってる
んだろう。もう少しカンフーの事が好きな人を送って
欲しい。互いにイヤな気分になるし、あの記者さん
だってかわいそうじゃないか」と。
まったくです。その記者さんも
そういう人種的な議論はして結構ですが場所をわきま
えて欲しいものです。
あなたのハートには何が残りましたか?
ああっ今回あまりギャグがない!!