ヒストリエ
『寄生獣』の岩明均が描く歴史マンガ。
アレキサンダー大王に書記官としてつかえた
エウメネスの生涯を描く、『記録する者』の物語
私は「ヒストリエ」を読んでアリストテレスや
アンティゴノスが登場したので、
「ヒストリエにアレキサンダー大王が出てくるんだ」
と思いました。
なぜならアリストテレスはアレキサンダー大王の
家庭教師でアンティゴノスはアレキサンダーの側近の
1人だからです。
『ヒストリエ』はギリシアの歴史をよく調べていると
思います。
兵隊が「アラララライッ!!」と叫んだりしてます。
(意味は「軍神アレスの加護あれ!」)
スキタイ人が強いです。
これはマラソンの語源になったマラトンの戦いを連想します
「オデッセイ」ヘロドトスの「歴史」などの書物を引用して
ますし。
『ヒストリエ』の数少ないキレイどころの
バルシネさんです☆♪
『ヒストリエ』は女性が少ないので(^-^;)
■主人公エウメネス(歴史オタク)
ただ主人公のエウメネスの性格が嫌なんですよ(^-^;)
どこが嫌いかというと…
『ヒストリエ』の主人公エウメネスは読書好きで
パピルスをよく読んでいます…
だから頭が良いというか博識なんですが…
なんと言いますかそれが頭でっかちっぽいんですよ(^-^;)
エウメネスはただの歴史オタクに見えます。
で、エウメネスは時々『オデッセイ』の英雄オデュッセウスに
自分を重ねているんですよ。
トロイの木馬作戦を考えたオデュッセウスと。
それが、
エウメネス「ボクはトロイの木馬作戦を考えた
オデュッセウスみたいに頭が良いんだよぉ~」
とエウメネスが思っているみたいでイヤ(^-^;)
エウメネスのそういう態度が思い上がりというか
自分に酔っている様に見えてしまいます。
子供の頃も何か生意気そうな子供に見えますので
落ちぶれてもイマイチ同情が沸いてきません(^-^;)
村長の娘サテュラへの別れ際の態度がエウメネスの
性格を一番よく表していると思います。
ある意味エウメネスの判断は正しいとは思いますが
感情がない、というか冷たいというか
エウメネスはまるで設計図でも書いてるように淡々と
サテュラへの言葉を出しているように見えます。
(『イリアス』を引用するのも歴史オタクぶりを
気どっているようでイヤ)
そしてエウメネスは強い人をバカにしているようにも
見えます(ダイマコスやゲラダスへの態度から)
エウメネス「ボクって一応強いけど、ヘラクレスみたいに
強い人より、やっぱ頭が良い人の方がボクのキャラに合って
そうじゃん。だからボク頭が良い人になるね」
とか思ってそうでイヤ!
エウメネス、その性格が命取りですよ?
ヘラクレスやアキレス、レオニダスのように
強い者が尊敬されるギリシャの社会では
エウメネスのような頭脳派の人は苦労すると
思います。
ましてエウメネスは無一文同然、おまけに奴隷上がりで
父親をコロしたと思われています(冤罪ですが)
エウメネスはフィリッポス2世(アレキサンダーの父親)
に気に入られスカウトされ、これで出世できた…
と思ったら大間違いです。
エウメネスは無一文同然ですがアレキサンダーの側近たち
は王族の子弟なので、このハンデは大きいと思います。
(昔から仕えている家臣がいる)
エウメネスはアレキサンダー大王を記録する人間に
なる訳ですが、「記録する者」から「記録される者」に
なった時、つまり王様になったらエウメネスは
転落しそうな人物ですね(^-^;)
(何でも自分1人でやってしまいそうで王様に向いていない)
■アレキサンダー大王
これは『ヴィンランド・サガ』でも感じること
なんですが…
『ヒストリエ』のアレキサンダー
『ヴィンランド・サガ』のクヌートに、
「英雄は、そういうもんでしょ?」
な思い込みや前提がある気がします
「英雄は悪いこともする」
↓
「だから父親をコロす」
↓
「だから報いを受けて悲惨な最期」
『ヒストリエ』のアレキサンダー、
『ヴィンランド・サガ』のクヌートが
↑上のような思い込みや前提で描かれている
気がします
(アレキサンダーもクヌートも歴史では父親を
コロしてはいないんですが…)
作者がわざと悲惨な最期の英雄を見つけて
描いて、滅びの美学(?)とかに酔っている
気もします
悪くいうとワンパターン
クヌートとアレキサンダーは、
「女性的な外見で細く強そうには見えない
けれど、実は強い」
という描き方も似てますかね
『ヒストリエ』は、中国の歴史が好きな人みたいな
描き方ですね
例えばエウメネスが補給について長々と語るシーンは
『銀河英雄伝説』の田中芳樹先生みたいですし
岩明均先生は中国の歴史も好きなんですかね?
■『ヒストリエ』の武人蔑視?
岩明均先生は『ヒストリエ』だけでなく
『寄生獣』でも強い人をバカにしてるように
見えます
『寄生獣』のシンイチと後藤は
「シンイチが動けない後藤にトドメをさした」
という微妙な決着でした…
『寄生獣』の自衛隊の山岸はシンイチから
「銃の選択」のアドバイスを受けながら
聞かずに後藤と戦いシにました
これは、
「山岸はシンイチの忠告を聞かなかったから
後藤と戦ってシんだ」
という岩明均先生の演出にも見えます
そして『寄生獣』の山岸と『ヒストリエ』の
ダイマコスとネオプトレモスは顔が似ています
岩明均先生はダイマコスとネオプトレモスを
バカに描いているように見えます
ダイマコスはあの最後を見ればバカにしてると
わかるでしょう…
後にディアドゴイ戦争でエウメネスと縁がある
ネオプトレモスを出番が短いながら岩明均先生は
バカに描いています
6巻の終わりの方で「ネオプトレモスは見張りで
ありながら、金貨に目がくらんで見張りを忘れ
オリュンピアスに誘われるまま性交におよんだ」
とかなりの悪意を感じる描き方をしています…
他にも剣の達人メナンドロスも
「ヘカタオイスに簡単にバレる演技」
と少しアホに描いています…
『ヒストリエ』のゲラダスは、
「エウメネスの背後から不意討をしながら負けた」
と『JOJO』のディオや『ガンダム00』の
アリー・サーシェス並に情けない最後に描いています
やはり岩明均先生は強い人をかなりバカにしてるように
見えます