もののけ姫
■アシタカ
「明日か?」と書いて
「アシタカ?」と読むのと
「アスカ?」と読むギャグがありましたね(=^・^=)
アシタカのモデルは日本書紀で初代天皇
神武天皇に退治された長脛彦(ナガスネヒコ)
だそうです。
長い脛(すね=足)だからアシタカ(足高?)
(ちなみに神武天皇を案内したのが
サッカー日本代表のシンボルで有名な
ヤタガラスです)
宮崎駿監督曰く
「アシタカは大和朝廷と故郷に二度裏切られた事になる」
そうです。
宮崎駿監督の言うには、
「アシタカの村はかつて大和朝廷によって
討伐され東北に逃れた民族の末裔」
だそうです。
そしてその村からアシタカは追放されたのです
だから二度裏切られた、という訳でしょうか。
大和朝廷から追われて東北に逃げたのが一度目。
故郷から追放されたのが二度目。
■Q1 何故最初の舞台が東北なのか?
A アイヌ、エミシなど坂上田村麻呂に制圧され
た民族に興味があった、とユリイカの
インタビューに答えていました。
実際ジコ坊もアシタカに、
「古の民エミシを見ているようだ」
と言います。
「八世紀ごろの東北にしかない刀の型があった」
と監督は言ってましたが、それがあの、
アシタカの刀になったかは知りません。
登場シーンは少ないですがあのアシタカの
住んでいた集落は塹壕のような通路、
高い物見やぐらなど防衛面で
優れていそうですね。
あと紋様がアイヌっぽいですよね。
ところでカヤってかわいいですよね♪
宮崎駿の言うエミシを説明します。
エミシとは中央の政府に従わない民族のことを
エミシ(エゾ)というのであり、
北海道だけを指すのではありません。
(北海道は昔エゾといいました)
このころ(室町)はまだ東北をエミシと
呼んでいたハズです。
(まだ北海道はほとんど人跡未踏の地)
あと、もののけ姫の時代は室町時代です。
宮崎駿「室町時代に興味があり創ってみたい」
BY黒澤明監督と宮崎駿監督の対談より
(^_^;)↑確かこう言っていたような?
■Q2 もののけ姫が仮面ライダー響鬼の一話に似てるような?
A どちらも屋久島を取材したから似てるのですw
■Q3 アシタカとカヤの別れのシーンの感情が淡白では?
A 宮崎駿監督がアシタカとカヤの別れを、
わざとひきずらないように演出しているから
淡白になっているそうです。
ちなみにそのひきずらないように演出した理由は
まだ不明です。
アシタカの村のじいたちが、
「国を追われて数百年、国もかつての勢いは
ないが我等も。村を治めるべき若者が村を
出るのは宿命か」
と言っていましたが運命をすんなり受け入れら
れる人が村には多いのでしょうか?
あるいはアシタカは自らの業や宿命を受け入れ
たのでしょうか?
池波作品の
「いつでも死ぬ覚悟はできている」
という生き様のように。
■Q4 タタラ場とは?
A 製鉄集団(鉄でいろいろ創ること)
だから鉄砲も創っています。
タタラとは製鉄をする時に何人かの人が
ふんで空気を送る大型のふいごです。
作中でも女たちやアシタカが
ふんでいましたよね。
製鉄は火を使うので空気を送って
火力を強くしなければなりませんから
ふいごが必要です。
2005年の映画『妖怪大戦争』でも
いっぽんダタラという妖怪がふいごを
ふんで刀を作っていたでしょう?
鉄を作るから名前にタタラの字があるのです。
『おまもりひまり』の沙砂もいっぽんダタラ
なので刀の安綱を治す力があったのです。
そして『もののけ姫』に出てくる巨人ダイダラボッチ
はタタラという言葉が転化したものらしい?
という伝説もありますし。
神武天皇の奥方の母親の名前にもタタラ
の文字がありますし。
「八世紀ごろの東北にしかない刀の型があった」
と宮崎駿監督は言ってますので
『もののけ姫』は製鉄=タタラといろいろ関係
があると言ってもいいでしょう。
中国のタタール人も製鉄に優れて
いたそうですが関係あるのでしょうか?
タタラ場は遊女、馬飼い、らい病患者、海賊
(エボシ御前とゴンザは元海賊)など弱者で
構成されているユートピア。
ジゴ坊が持ってきた天朝様の書きつけを
エボシが見てもあまり驚きませんでした。
天朝様(帝)の権威もなんのその。
(ただ知らないだけかも)
これもジゴ坊の「やれやれ馬鹿には勝てん」
につながるのでしょう。
■『もののけ姫』と網野善彦
ちょっと関係ないこと書いて長くなります(^_^;)
『もののけ姫』には網野善彦史観の影響がある、
と言われますが・・・。
実際、網野善彦と宮崎駿は対談しました。
網野善彦は『もののけ姫』は見たようで、
網野善彦「エボシ御前は遊女なのだろう」
と言ったみたいです?
ちなみにジブリの氏家斉一郎プロデューサーと
網野善彦は学生時代の親友です。
(あと巨人のオーナー・ナベツネと西武の堤清二も親友)
網野善彦というと日本の海路について言ったり
「百姓と農民はちがう」「バサラ」と言ったりしました。
だから網野善彦に影響を受けた北方謙三は海賊を
書いたりしている訳ですが(笑)
『鉄道員(ぽっぽや)』や『壬生義士伝』の浅田次郎も
網野善彦に影響を受けたそうです。
『花の慶次』『影武者徳川家康』で有名な隆慶一郎も
網野善彦史観と関係があるらしいです。
流民的な「道々の者」や「かぶき者」の設定などが
そうらしいです。
かぶき者=バサラでしょうか。
こう書くと『カムイ外伝』も網野善彦と関係がある?
とか話がそれがちですが(^_^;)
一期『鋼の錬金術師』のメインライターで
有名な会川昇ですが『影武者徳川家康』の原作を
手がけたこともあります。
会川昇は隆慶一郎が好きらしいですが
「道々の者」みたいな故郷を持たない流民を
『ヒヲウ戦記』で描きました。
また『鋼の錬金術師』のロゼがジプシーという
設定なのはジプシー=流民?だからかもしれません
???
うわぁ、長くなっちゃってすいません(^_^;)
■Q5 何故サンが口うつしで干し肉を食べさせて
くれた時、アシタカは泣いたのか?
A 美少女とはいえ、イヤ美少女だからこそ、
こんな干し肉くさいファーストキスはいやだ、
とアシタカは思ったのでしょう(笑)
サンはあの荒々しい可愛ゆさがいいのよ♪
屋根をかけるすばやい動き、野生児で
アシタカにかみつくところもカワイイ♪
耳飾がキラーンて音がするのオシャレです♪
犬が「あれ食べてもいーい?」
サンが「あれは食べちゃだめ」と言うのが
何故かカワイイです♪
やっぱりしぐさが犬♪
鼻づらをなぜられて喜ぶもんね。
舞-HiMEの命も最初は殺伐としたキャラ
になる予定だったそうですが、サンみたい
だったのかな?
サンとアシタカがケガレに飲まれた時、
どうもエヴァとかエウレカを想像してしまい
まふ。
次回はもっとみなさんがこの作品に持ってる
疑問に答えられる、かもしんないっす。
カユイところに手がとどく、
を目指します。
PS(2010年1月11日)
◆アバターと宮崎駿
今公開している映画『アバター』もそうですが
アメリカの映画は「木を伐った奴は悪」という方程式があります。
実際アバターでも大木が倒れる時悲しい
音楽が流れます。
アバターと宮崎駿を似ている、と書く人は
多いです。
確かに似ているところもありますが実は
けっこう違うんですね(^_^;)
まず宮崎駿は、
「木を伐った奴が悪、木を植えた奴が善
という作品は創りたくない」
と言っています。
実際『もののけ姫』でも木を植えている
猩々(しょうじょう)を
「木を植える、人間殺して食う」
と不気味に描いています。
『平成たぬき合戦ぽんぽこ』でもラストに
たぬきサンに
「たぬきが森を追われているって、
あれ止めてもらえませんか?」
とわざわざ言わせていますしね。
◆宮崎駿と指輪物語
宮崎駿はロード・オブ・ザ・リングスの原作
『指輪物語』にいろいろ思うところが多いようです。
『指輪物語』のアイゼンガルドのサルマンも
木を伐り、その火で製鉄をしてます。
しかし「木を伐った奴は悪」と描いています。
ですが『もののけ姫』のタタラ場は木を伐り
製鉄をするのを肯定的に良く描いています。
「木を伐った奴が悪、木を植えた奴が善
という作品は創りたくない」
BY宮崎駿
文明をただ否定するのではなく受け入れている
のが宮崎駿です。
『もののけ姫』『平成たぬき合戦ぽんぽこ』
もそうです。
それからアバターには大佐というものすごく
わかりやすい悪者が登場します。
ターミネーターみたいに半分不死身で
「オレを倒せばすっきり終わる」な
キャラです。
しかし、
「悪者を倒して終わり、な
作品は創りたくない」
BY宮崎駿
です(^_^;)
例えば『ハウルの動く城』はそうですよね?
『もののけ姫』『千と千尋』もそうです。
『カリオストロの城』『天空の城ラピュタ』は?
と聞かれるかもしれませんが主人公が手を下して
はいません。
(だから吾郎氏が『ゲド戦記』でクモを倒したのは
納得がいきませんし。原作者も、そこに怒った訳
です)
パトレイバー2、宮崎駿と押井守の対談で、
宮崎駿「あの荒川(竹中直人が演じたキャラ)って
どうして出したの?」
押井守「ああ、あれは話を終わりやすくする為に
出しました・・・」
宮崎駿「やっぱり、なんか」
この後に「わかりやすい」「つまんなかったね」
「単純だったね」
とか言った気がするのですが曖昧ですいません
(^_^;)
ちょっと否定的なニュアンスだったような?
ただ宮崎駿はアバターの大佐みたいな
「わかりやすく終わらせるための悪者」
な人物をジブリ作品で出す事は
なさそうですよね(^_^;)
一言、宮崎駿と押井守。
この2人否定される事も多々ありますが
これではしょうがないですよね(^_^;)