人狼 JIN-ROH
バックスヤポニカ
『高い城の男』という作品をご存知でしょうか?
if(もしも)のお話で
「ドイツと日本が勝利しアメリカを統治している」
という内容です。
(ブレードランナーのリドリー・スコットが映像化)
『人狼 JIN-ROH』も、
「ドイツに占領統治されている日本」
が舞台で『高い城の男』と同じif(もしも)の
物語で架空の世界が舞台です。
架空の日本を舞台にした物語を押井守は
『バックスヤポニカ』と命名しています。
押井守にとって『人狼 JIN-ROH』は架空の日本
を描いた「バックスヤポニカ」なのでしょう。
『人狼 JIN-ROH』といっても栗田ジンロウ
とは何の関係もありません。
赤ずきん・阿川七生
『人狼 JIN-ROH』に出てくる警察は
『首都圏治安警察機構』通称パトレイバー…
ではなく【首都警】です。
アバンで【首都警】と民衆のデモ隊とセクトの
交戦が映る中1人の少女が登場します。
セクトの兵站部隊のメンバー・赤ずきん
の【阿川七生】
阿川七生は何者だったの
でしょう?
阿川七生は主人公を導く存在だと思います。
『不思議の国のアリス』の白うさぎのような。
押井守の作品『アヴァロン』『紅い眼鏡』等には
主人公を導く謎の少女が出ることがありますし。
私は阿川七生や雨宮圭にヒドイ事をした連中や
彼女たちに降りかかった過酷な運命が許せません。
新撰組のような話
『人狼 JIN-ROH』は主人公・伏一貴と雨宮圭の
ラブストーリーです。
それが中心なのは間違いありません。
少し背徳感も混じっていますが(^_^;)
押井守は、こういう大人の静かなラブコメ
が好きですよね☆
例えばパトレイバー2の柘植行人と南雲しのぶ
そこへ伏一貴の唯一の親友・辺見が絡んできます。
どう絡むかというと、かつての親友同士の
伏一貴と辺見が対決するのです。
(そして辺見は雨宮圭を利用している…怒)
押井守は『人狼 JIN-ROH』を「新選組のような話」
と言いましたが確かに似ています。
伏一貴は首都警の警備部の特機隊(ケルベロス部隊)
に所属しています。
辺見は首都警の公安部に所属しています。
伏と辺見の対決は同じ組織にいるもの同士が争う
「内輪もめ」な訳なのです。
首都警の特機隊と公安部の争い、
ですから。
新選組の戦いもほとんど隊内の芹沢鴨や
伊東甲子太郎と争っていた「内輪もめ」なので、
押井守が『人狼 JIN-ROH』を「新選組のような話」
と言ってもある面では合っています(^_^;)
派閥図は↓
首都警・ケルベロス部隊は 半田元、塔部八郎、伏一貴
雨宮圭
首都警・公安部が 室戸文明、辺見
中心にヒロインの雨宮圭が存在するのです。
ちなみに雨宮圭役の武藤寿美さんは、
この作品が縁で監督の沖浦啓之と結婚!
半田元は土方歳三的なポジションですが
実は主人公とあまり絡みません。
室戸文明は創設者の1人ですが、この人も
あまり絡みません。
室戸文明という名前は押井守作品では
ときどき出てきます。
『御先祖様万々歳』とか。
塔部八郎は伏一貴と辺見の師匠です、出番は
そこそこあります。
『人狼 JIN-ROH』というタイトルは半田元が
作った粛清部隊の名前なのですが…
首都警・創設者の巽志郎や室戸文明ですら
その実態を把握していない組織内組織『人狼 JIN-ROH』
っていったい・・・?(^_^;)
■ケルベロス三部作
『紅い眼鏡』『ケルベロス 地獄の番犬』
そして『人狼 JIN-ROH』の3つを『ケルベロス三部作』
と言います。
3つの作品について、ここで多くは書きません。
『紅い眼鏡』の主人公の
都々目紅一(トドメのこういち)や
『ケルベロス 地獄の番犬』の乾(いぬい)
の2人の属性は『犬』なのに対して、
『人狼 JIN-ROH』の主人公・伏一貴の属性は
『狼』という違いがあります。
あくまで例えです。
犬の皮を被った人間が都々目紅一と乾です。
仕える主人を探す『犬』が紅一なら、
ご主人様の後を追いかける『犬』が乾です
しかし人の皮を被った『狼』が『人狼 JIN-ROH』
の伏一貴なのです。
紅一と乾は犬、伏は狼でちがうのです。
『人狼 JIN-ROH』は伏一貴と雨宮圭のラブストーリー
ですが「赤ずきんと狼」の話でもあります。
伏一貴の狼という属性と赤いずきんを被った雨宮圭
は、それをよく表しています・・・。
途中、何度も何度も「赤ずきんと狼」を連想する
ような映像やおとぎ話が挿入されます。
そして伏一貴と雨宮圭の2人の最後を連想させるような
カットも幾つも幾つも挿入されます。
割とよく目にする意見ですが伏一貴と雨宮圭がキスを
する時の目線もこだわっていますが『人狼 JIN-ROH』は
けっこう目線に凝っている作品です。
そして監督の沖浦啓之は、後に
『ももへの手紙』を手がけることに
なります。
このところ、ちょっと色気や百合のない記事
ばかりですいません(^_^;)
次が『聖剣の刀鍛冶』で、その次に百合
作品の記事を書こうと思っています(^_^)
いえいえ、どの記事も楽しく読ませて頂いてますよ
人狼は、かなり前に見たのですが、あまり覚えてなくて(^-^ゞ
この記事読んで再見しようかどうと悩んでいます(^-^ゞ
プライベートライアンは、見た事がないので、興味深く読ませて頂きました
ラストがちょっとやるせない感じなんですねぇ
なかなかお返事出来てないですけど、記事はちゃんと全部楽しく読んでいますよ~