まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

ルーツへの旅 (その4) ・ ホタル狩り

2010-06-17 14:07:18 | グローバル・エシックス
せっかく嬉野温泉に来たのですから、嬉野温泉に泊まっていきたいところですが、
2日目は有田に行く予定ですので、初日のうちに少しでも有田に近づいておきたいところです。
残念ながら有田には宿泊施設がありませんので、
JRで有田から2駅のところにある武雄温泉に泊まることにしました。
武雄温泉の宿に関しては、
北海道在住で小学1年生を抱えているため今回は不参加だった妹が、
手配しておいてくれました。

妹は、あらかじめ詳細な 「旅のしおり」 を作成して届けてくれていましたので、
その指示通り、法要会食のあと嬉野から武雄までバスで移動しました。
武雄のバス停に着いたら、やはり 「旅のしおり」 の指示にしたがって宿に電話をし、
クルマで迎えに来てもらいます。
やってきたのはご覧いただいているようなクラシックカーでした。
トヨタの初号機のレプリカだそうです。
このクルマで送っていただいた先が今日の宿 「大正浪漫の宿 京都屋」 さんです。
宿の名前についてもお尋ねしてみたところ、
初代の創設者が京都からこの地に渡ってきて作ったためにこの名前になったのだそうです。
「大正浪漫の宿」 を名乗るだけあって、ロビーや喫茶コーナーには、
アンティークな家具が数多く陳列されています。
またアンティークオルゴールもいたるところに置かれていて、
コーヒーを頼んだり、何かの折りにはオルゴールの演奏も聞かせてもらえます。

しかし、そうしたサービスよりももっと感激したのは、
夕食終了後、十分に暗くなった夜の8時半からホタル狩りに連れて行ってもらえたことです。
ホタルはこのあたりからも長いこと姿を消していたのだそうですが、
最近では環境整備の取り組みを進めて、
野生のホタルが還ってこられるような環境を人工的に整えていき、
とうとう野生のホタルが繁殖するようになったのだそうです。
野生と人工とが入り交じっていてややこしいですが、
ホタルというのは完全なる大自然のなかにはあまり生息せず、
人里離れていない、田園風景のなかの小川や用水路のほとりとかが好きなのだそうです。
しかし、田畑で農薬が大量に使われるようになって姿を消していたのだとか。
そこで、小川をきれいに清掃し、近隣での農薬の使用を控えるなどして、
ホタルの里を復活させつつあるのだそうです。

行きたい人は8時半にロビーに集合してくださいとのことでしたが、
参加者は意外なことに私たちを含めてたったの5名でした (うちは3名)。
この5名が、これもレトロなバスに乗せられて、
およそ5分強、住宅地からもそんなに離れていない小高い田園地帯に運ばれました。
それ用に駐車場も作られていて、多くのクルマがやってきていますが、あたりは真っ暗です。
蛍光灯をもっている人が何人か立っていて、うっすらと足下を照らしてくれるだけで、
基本的には眼を凝らしながら川べり (用水路?) の舗装された道をゆっくり歩いていきます。
歩き始めてすぐに、あれっ? なんか光ったかな? と思っているうちに、
薄緑の光が点々と見えてきました。
ホタルなんて見たのは何年ぶり、いや何十年ぶりでしょうか。
この弱々しい光はまさに 「儚い」 という形容詞がふさわしいですね。
あいにく小雨が降り始めたところでしたので、それほど大量にいたわけではありませんが、
むしろこれくらいの数のほうが興趣にかなっていたといえるでしょう。

当然のことながら、写メには何も写りませんでした。
最新式のカメラをもっていたらこの光景を写すことができたのかもしれませんが、
最近なんでも写メに撮って記録を残すことばかりに気を取られがちなところ、
こうして目に焼き付けるしかない美しい光景に接することもたまには必要なのでしょう。
自然と人工の微妙なバランスの上に成り立つこの儚い風景、
まったく期待していなかっただけに、
この旅でこんなステキな出会いができて、とても嬉しくなりました。

P.S.
なお、いちおう補足しておきますが、「ホタル狩り」 といっても、
ホタルを捕るわけでも、ましてや食べるわけでもありません。
ただホタルを見るだけです。
「モミジ狩り」 と同じ用法ですね。