まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

老いの哲学

2011-10-05 08:10:16 | 生老病死の倫理学
白澤卓二 『老いの哲学』(主婦の友新書) という本を読みました。
タイトル通り 「老い」 に関する哲学が書いてあるのかと思って買ったのですが、
著者は抗加齢医学会で理事を務めるお医者さんで、
この本の副題 「なぜあの人は100歳になってもボケないのか」 のほうが内容をよく表しており、
哲学というよりは、老化現象について医学的、科学的に解明した上での、
長生きするためのハウトゥー本といった感じの本でした。
とはいえ、この著者は、アンチエイジングに関して医学的、科学的にアプローチしようとした、
日本におけるパイオニアの先生のようで、
最新の知見に基づく主張はたいへん参考になりました。

白澤氏の主張から 「老いの哲学」 と呼べる部分を抽出するとするならば、
ただ長生きすればよいのではなく 「健康寿命」 を伸ばすことが重要だ、
ということになるでしょうか。
ただ生きるのではなく、よく生きることが重要で、
寝たきりで人に介護されて長生きするのではなく、
最期まで活動的に行動し続ける健康を維持した上で長生きし、
最期は大した闘病期間も経ずにあっさり亡くなっていく、
「ピンピンコロリ」 の生き方 (逝き方) が理想的な人生であると述べています。

そのためには、ボケと足腰の衰弱を予防することが重要だ、
というのが本書の一番大きな主張になります。
アルツハイマー型認知症と骨粗鬆症が 「ピンピンコロリ」 の最大の敵で、
頭がしっかりしていて足腰もしっかりしていれば、
100歳になっても現役で働いていられるというのです。

そのためのハウトゥーとしていろいろなことが書かれていましたが、
ちょっとだけ抜粋しておきます。
・タバコは吸わない
・毎日、野菜ジュースを飲む
・噛む回数を増やす
・3~6ヶ月ごとに歯科検診を受ける
・目や耳の衰えを感じたら専門医に受診する
・20代のときの体重+5kgまでを保つ
・歩く
・料理をする
・冒険をする
などなど。
最近流行りの怪しいアンチエイジングとは異なり、
医学的データに基づいているのでなるほどと思いました。

特に、最新の知見として、「見た目に若い人は長生きする」 のだそうです。
100歳を超えて長生きしているような人たちは皆、
若い頃から見た目も若々しかったのだそうです。
染色体の末端部分にあるテロメアが老化に関わっているのですが、
見た目の若い人というのはテロメアが長いということがわかってきました。
しかも、これまでは歳を取れば誰でもテロメアは短くなるものだと思われていたのですが、
生活習慣によってテロメアの長さは変わってきて、
太っている人や喫煙者や運動不足の人はテロメアが短いのです。
そして例えば、双子の片方が喫煙し、片方がタバコを吸わなかったりする場合、
元の遺伝子は同じでも、見た目の若々しさが全然変わってきてしまうそうで、
外見上の若さをキープできるような生活をしていれば、長寿を達成することができるわけです。

私はわりと若く見られるほうですが、
それは生活習慣のおかげというよりは、持って生まれた遺伝的なものによるのでしょう。
そのことは両親やご先祖様たちに感謝しつつ、
若干生活習慣を改めて、「150歳ピンピンコロリ」 をめざしたいと思います。
そのためにはやっぱり体重と運動だなあ。