爆発！武田工場長…(８)

ところで…
赤井係長は只野課長の悩み事を相談すべく飲み屋に誘った手前又友達としても放っておく訳にはいきません。

おずおずと武田工場長に
「やっぱり話を聞いて頂けませんか」
直談判にでました。
…友達とはいいものですな(笑)
「…」
「工場長！只野は悩んでいるのです!!」
「…」
「工場長！」「…」赤井係長がいくら言っても武田工場長はダンマリを決め込んでいらっしゃいます…
「はぁ～(溜め息)」
やっぱり、このおっさん…アカン！
赤井係長は訊いた噂を思い出していました。
「赤井…」
振り替えると加藤です♪「お前今夜これと飲みにいくんだって…」「ああ」
加藤が親指を立てていました。
「どうしたんだ？」
「ああ、」
赤井さ加藤にどう答えようか迷いました。
加藤は赤井と同じく工場の現地採用からのつき合いでした。
「いや～どういう風の吹き回しかな…と思ってな…」
赤井係長は加藤に相談したらよかったかなーと思いました。
入社いらい２０年近く一緒に働いてきて気心も知れていましたから… 去年、工場の拡張からそれぞれ離れた職場になりました。

「実はな…」言いかけて赤井は言葉に詰まりました。

赤井にしろ加藤にしても現地採用者は固い絆みたいなものがありました。
とくに外敵？ 大卒技術系には敵対心があります。
…この加藤は只野を知らなかったなぁ…
これが心の隅に引っ掛かっていて、つい言葉が止まったのでした。 話せばわかってくれる、と思っても時間がありません。
そうでなくとも、工場の現場で「赤井はいったいどっちの味方なんだ～」
と揶揄されているのを耳に入っていましたから…
「いや～コミュニケーションを図ろうとしつなぁ…」
差し障りのない言い回しに長年付き合っている加藤はピンときました。
「そうかい」
「けど時間のムダになるぜ」
「…」
加藤は静かに笑っています。
「ああ赤井～又ゆったりと飲まないか」
加藤はそう言うと職場に戻っていきました。