酩酊状態のお二人さん…(赤井&加藤です)
声を潜(ひそ)めて赤井係長がそっと話し出します。
「え~!?」
聞こえないよ…(困)
う…ん(苦笑)
「あまり大っぴらには言えないから…」
「どう?」
「武田工場長が部長代理時代の逸話だよ… 」
「ほ~」
無骨で無愛想、おまけに口数が少ない…典型的な旧来の男のタイプです。
そう言えば…加藤は元より工場で武田工場長の過去を知っている者は皆無でしょうね♪
情報は関東から来た技術の転勤者から訊いた話でした。
「武田さんが、鬼塚専務からここの工場長に抜擢された時に部長代理から部長に昇格の話があったんだってさ…」
武田さんは鬼塚専務
の秘蔵子の一人でした。
「それで…」
「人事部がさぁ、工場長にされるのは構いませんが、部長の昇格は今は無理だ…と」
「?」
「つまりマイナス査定の前歴がある人なんだってさ…」
「マイナス?なんだいそれは?」
「へへ♪…」赤井は天井を見上げて一人笑い出しました。
可笑しなやつだなぁ…訝(いぶか)る加藤を尻目に赤井は話を続けます。
「何だと思う?マイナス査定って…」
加藤の顔をマジマジと見詰めながら顔は笑っていました(笑)
「う~ん(笑)」腕組みして考える加藤…
暫くして
「わかった!」
武田工場長の事だから…!
「会社の役員でもぶん殴った!!」
「ははは♪」
違うね~ 赤井は笑いました。
確かに男らしい武勇伝です(笑)
「じゃあ、生意気な部下をぶん殴った!!?」「ははは♪どうも加藤はだいぶ武田さんを買い被っているね(笑)」そうかなぁ~
加藤は訝(いぶか)しげに首を傾げます。
「どうやら出尽くしたみたいだし…」
ニヤけた顔でビールを飲みました。
「じゃあ、何だよ…(怒)」アルコールの廻った頭です、思考回路が短絡的になっています(笑)
「あのなぁ…武田さんは東京で飲み屋の女に入れあげて会社まで乗り込まれたのよ」
「え゛~」驚く加藤に「しかも女がロシアらしいよ♪」
「フェ~!?」
英雄色を好む…と昔から申しましたが、まさかあの苦虫を噛み潰したような武田工場長が…
唖然とする加藤に赤井は
「他にもあるらしいけど…どちらにしても会社まで来られたら…」
「うん、まずいはなぁ…」
「だろ♪」
それが元で武田部長代理(当時)の査定(人事考課)はマイナスになったそうです。
当時ツケや借りた金やなんじゃかんじゃの金は会社が一時的に立て替えて始末したそうです。
…こんなスキャンダルを一流企業は嫌いましたから、それにつけこんだ相手が悪かったのでしょうが…
「そうなんだ!!」
加藤は納得していました。
そう言えば武田工場長と飲みに行くと妙に飲み屋の女の子に引っ掛かりますね♪
「おかしいなぁ、と思っていたがこれが原因だったのか!」
その思いは赤井にもありました。
「しかし…」
今度は加藤がニヤついていました(笑)
「?」
「あれで女の子に持てると思ったのだろうか…」
なるほど加藤のいうことも一理あります(笑)
「なっ?武田さんらしいだろ(笑)」
「うん、らしいな!!」「首にならないだけマシだよな♪」
「たぶん専務のフォローがあったのだろう」「う~ん(苦笑)」
あの照れ屋の武田工場長以外な武勇伝があったのでした(笑)
二人は無言になりました。
それぞれ思うことがあるのでしょうが…
その内にテーブルの上はすっかりきれいに片付いていました(笑)
「はぁ~」
「…」
加藤が大きく欠伸をしたときでした。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか…と言い出そうとした時に例の男が横を通りました。」
…例の男とは…そう!赤井が気にしたグレーのカーディガンを着た女の子の連れですね(笑)
「おい赤井、帰るみたいだぜ!!」
赤井はすっかり酔っていました(笑)
むくっと顔を上げると「お、買えるか!」
「そうじゃあないよ…」加藤が顎で指しました。
「あ…」
柄の悪い男の後ろから女の子がついてきました。
「あれ~加藤さん!!」先に声を掛けたのは彼女でした。
生産管理にいる松田さん です。
「あら♪」加藤を見つけた松田さんは隣の赤井を見て一瞬息を飲みました。
「おう!赤井と飲んでいるんだよ♪」
咄嗟に赤井の名前をだしましたが、松田さんは堅い表情になっていました。
「私連れがいますので…」赤井の方は見向きもしません。
会釈して立ち去りかけます。
「おい、いいのか!!」加藤は赤井に言います。
「いいのか…って?」この二人はやっぱりなんかあったんだな!
いくら勘が鈍い加藤でもこのぎこちない空気はわかりました。
「今ならチャンスじゃあないか!!」
加藤は何がチャンスがわかりませんでしたが、直感的にここを逃せば又遠退く!と思いました。
「バカなこと言うなよ!」
赤井は加藤を叱りつけます。
「あっちはこれがいるんだぜ!」
親指を突き立てています。
「う~ん」男はいるなぁ…確かに大したやつじゅあないみたいだけど…
加藤は考えました。
松田さんと男は勘定をしている姿が見えます。
「?」
松田さんがバッグを取り出して中をゴソゴソしています。
「!」
「俺ちょっと言ってくるわ」
加藤は立ち上がりました。
「?」
赤井は不貞腐れてビールを飲んでいましたが加藤がいきなり立ち入ったのを見てビックリしました。
「おい、どこに行くんだよ」
声をかけますが加藤はズンズン歩いていきます。
そして勘定をしている中へ割り込んでいきました。
男と加藤が何かを話しています。
「おいおい、」
赤井も後を追います。
あいつ!いらんことしやがって!!
赤井は舌打ちしました。
「ちょっと!!」
赤井は加藤の肩に手をかけると「やめろよ!」止めに入りました。
「何だよ…お前」
柄の悪そうな男が赤井を見ました。
金髪の髪にピアスが鈍く光っています。
やや猫背で赤ら顔の下の方に品の悪い髯がありました。みるからに遊び人風の格好が松田さんのお嬢さんカラーと不釣り合いなのは誰が見ても一目です。
「お前ら関係ないじゃあないか!!」
男は似合わない甲高い声を上げています。
「うちの会社の子だぞ」
加藤も負けていません。
会社の?
赤井は一瞬考えました。
「だから何なんだよ、会社なんか終わったら関係ないだろ」
男は関係ないを連発しています。
確かに加藤はどう言ったかわからないけど会社はもう関係ないよなぁ… 赤井はこんな時でも冷静になれました。
「何だと!!」加藤の声が一段とヒートアップしています。
「なんだよ!」
男も加藤を睨み付けています。
「おいおい」
慌てるのは赤井でした。
一体何を…
赤井にはわかりませんでした。
「待てよ加藤!!」
加藤を男から引き離さないとほんとに喧嘩になりそうです。
しかもと加藤の方が難癖をつけているは確かでした。
「止めて!!」
赤井のよこから松田さんが割って入るようにして叫びました。
男と加藤は睨みあったままです。
レジの女の子もタジタジとしていましたか争いを聞き付けた店長らしき人が出てくるや「あんたら喧嘩するなら警察を呼ぶで」
怒鳴り付けてきます。 「何を…」「何だよ…」
先に殴れば悪くなかるのわかっているのか二人は手までは出していません…
がなにかのきっかけで殴り合いになるのは必定でした。
「加藤!!」声を枯らして赤井は止めていますが加藤は引きません。
男も同じでした。
やがてお互いの胸ぐらを掴んで揉み合いになりました。「加藤!!」赤井は必死に加藤にしがみつきます。
「止めろ!!」
二人の息が荒くなりだして靴が床を軋むような音を出しています。
「このやろう!!」
「何だよ!!」
「表に出てくれ、」
店長が二人の間に入りってきますが、荒い息遣いにつかみ合いは続きます。
声を潜(ひそ)めて赤井係長がそっと話し出します。
「え~!?」
聞こえないよ…(困)
う…ん(苦笑)
「あまり大っぴらには言えないから…」
「どう?」
「武田工場長が部長代理時代の逸話だよ… 」
「ほ~」
無骨で無愛想、おまけに口数が少ない…典型的な旧来の男のタイプです。
そう言えば…加藤は元より工場で武田工場長の過去を知っている者は皆無でしょうね♪
情報は関東から来た技術の転勤者から訊いた話でした。
「武田さんが、鬼塚専務からここの工場長に抜擢された時に部長代理から部長に昇格の話があったんだってさ…」
武田さんは鬼塚専務
の秘蔵子の一人でした。
「それで…」
「人事部がさぁ、工場長にされるのは構いませんが、部長の昇格は今は無理だ…と」
「?」
「つまりマイナス査定の前歴がある人なんだってさ…」
「マイナス?なんだいそれは?」
「へへ♪…」赤井は天井を見上げて一人笑い出しました。
可笑しなやつだなぁ…訝(いぶか)る加藤を尻目に赤井は話を続けます。
「何だと思う?マイナス査定って…」
加藤の顔をマジマジと見詰めながら顔は笑っていました(笑)
「う~ん(笑)」腕組みして考える加藤…
暫くして
「わかった!」
武田工場長の事だから…!
「会社の役員でもぶん殴った!!」
「ははは♪」
違うね~ 赤井は笑いました。
確かに男らしい武勇伝です(笑)
「じゃあ、生意気な部下をぶん殴った!!?」「ははは♪どうも加藤はだいぶ武田さんを買い被っているね(笑)」そうかなぁ~
加藤は訝(いぶか)しげに首を傾げます。
「どうやら出尽くしたみたいだし…」
ニヤけた顔でビールを飲みました。
「じゃあ、何だよ…(怒)」アルコールの廻った頭です、思考回路が短絡的になっています(笑)
「あのなぁ…武田さんは東京で飲み屋の女に入れあげて会社まで乗り込まれたのよ」
「え゛~」驚く加藤に「しかも女がロシアらしいよ♪」
「フェ~!?」
英雄色を好む…と昔から申しましたが、まさかあの苦虫を噛み潰したような武田工場長が…
唖然とする加藤に赤井は
「他にもあるらしいけど…どちらにしても会社まで来られたら…」
「うん、まずいはなぁ…」
「だろ♪」
それが元で武田部長代理(当時)の査定(人事考課)はマイナスになったそうです。
当時ツケや借りた金やなんじゃかんじゃの金は会社が一時的に立て替えて始末したそうです。
…こんなスキャンダルを一流企業は嫌いましたから、それにつけこんだ相手が悪かったのでしょうが…
「そうなんだ!!」
加藤は納得していました。
そう言えば武田工場長と飲みに行くと妙に飲み屋の女の子に引っ掛かりますね♪
「おかしいなぁ、と思っていたがこれが原因だったのか!」
その思いは赤井にもありました。
「しかし…」
今度は加藤がニヤついていました(笑)
「?」
「あれで女の子に持てると思ったのだろうか…」
なるほど加藤のいうことも一理あります(笑)
「なっ?武田さんらしいだろ(笑)」
「うん、らしいな!!」「首にならないだけマシだよな♪」
「たぶん専務のフォローがあったのだろう」「う~ん(苦笑)」
あの照れ屋の武田工場長以外な武勇伝があったのでした(笑)
二人は無言になりました。
それぞれ思うことがあるのでしょうが…
その内にテーブルの上はすっかりきれいに片付いていました(笑)
「はぁ~」
「…」
加藤が大きく欠伸をしたときでした。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか…と言い出そうとした時に例の男が横を通りました。」
…例の男とは…そう!赤井が気にしたグレーのカーディガンを着た女の子の連れですね(笑)
「おい赤井、帰るみたいだぜ!!」
赤井はすっかり酔っていました(笑)
むくっと顔を上げると「お、買えるか!」
「そうじゃあないよ…」加藤が顎で指しました。
「あ…」
柄の悪い男の後ろから女の子がついてきました。
「あれ~加藤さん!!」先に声を掛けたのは彼女でした。
生産管理にいる松田さん です。
「あら♪」加藤を見つけた松田さんは隣の赤井を見て一瞬息を飲みました。
「おう!赤井と飲んでいるんだよ♪」
咄嗟に赤井の名前をだしましたが、松田さんは堅い表情になっていました。
「私連れがいますので…」赤井の方は見向きもしません。
会釈して立ち去りかけます。
「おい、いいのか!!」加藤は赤井に言います。
「いいのか…って?」この二人はやっぱりなんかあったんだな!
いくら勘が鈍い加藤でもこのぎこちない空気はわかりました。
「今ならチャンスじゃあないか!!」
加藤は何がチャンスがわかりませんでしたが、直感的にここを逃せば又遠退く!と思いました。
「バカなこと言うなよ!」
赤井は加藤を叱りつけます。
「あっちはこれがいるんだぜ!」
親指を突き立てています。
「う~ん」男はいるなぁ…確かに大したやつじゅあないみたいだけど…
加藤は考えました。
松田さんと男は勘定をしている姿が見えます。
「?」
松田さんがバッグを取り出して中をゴソゴソしています。
「!」
「俺ちょっと言ってくるわ」
加藤は立ち上がりました。
「?」
赤井は不貞腐れてビールを飲んでいましたが加藤がいきなり立ち入ったのを見てビックリしました。
「おい、どこに行くんだよ」
声をかけますが加藤はズンズン歩いていきます。
そして勘定をしている中へ割り込んでいきました。
男と加藤が何かを話しています。
「おいおい、」
赤井も後を追います。
あいつ!いらんことしやがって!!
赤井は舌打ちしました。
「ちょっと!!」
赤井は加藤の肩に手をかけると「やめろよ!」止めに入りました。
「何だよ…お前」
柄の悪そうな男が赤井を見ました。
金髪の髪にピアスが鈍く光っています。
やや猫背で赤ら顔の下の方に品の悪い髯がありました。みるからに遊び人風の格好が松田さんのお嬢さんカラーと不釣り合いなのは誰が見ても一目です。
「お前ら関係ないじゃあないか!!」
男は似合わない甲高い声を上げています。
「うちの会社の子だぞ」
加藤も負けていません。
会社の?
赤井は一瞬考えました。
「だから何なんだよ、会社なんか終わったら関係ないだろ」
男は関係ないを連発しています。
確かに加藤はどう言ったかわからないけど会社はもう関係ないよなぁ… 赤井はこんな時でも冷静になれました。
「何だと!!」加藤の声が一段とヒートアップしています。
「なんだよ!」
男も加藤を睨み付けています。
「おいおい」
慌てるのは赤井でした。
一体何を…
赤井にはわかりませんでした。
「待てよ加藤!!」
加藤を男から引き離さないとほんとに喧嘩になりそうです。
しかもと加藤の方が難癖をつけているは確かでした。
「止めて!!」
赤井のよこから松田さんが割って入るようにして叫びました。
男と加藤は睨みあったままです。
レジの女の子もタジタジとしていましたか争いを聞き付けた店長らしき人が出てくるや「あんたら喧嘩するなら警察を呼ぶで」
怒鳴り付けてきます。 「何を…」「何だよ…」
先に殴れば悪くなかるのわかっているのか二人は手までは出していません…
がなにかのきっかけで殴り合いになるのは必定でした。
「加藤!!」声を枯らして赤井は止めていますが加藤は引きません。
男も同じでした。
やがてお互いの胸ぐらを掴んで揉み合いになりました。「加藤!!」赤井は必死に加藤にしがみつきます。
「止めろ!!」
二人の息が荒くなりだして靴が床を軋むような音を出しています。
「このやろう!!」
「何だよ!!」
「表に出てくれ、」
店長が二人の間に入りってきますが、荒い息遣いにつかみ合いは続きます。