爆発！武田火山…(１８)

居酒屋で喧嘩になりそうになりました。原因は 赤井の元の彼女らしいのですが、加藤はちょっとやり過ぎ(苦笑)でしょうか♪

「警察に電話して！」店長がレジの女の子に耳打ちしました。

レジの前で加藤と男が揉み合っています。そこに赤井が止めに入っていますが二人を引き離せず、争う場所が少しづつ広がってきました。店内の御客も総立ちになって見ています。
その時でした。入り口のドアが開きましたが喧嘩に気を取られて誰も気がつきません。

入ってきた男はズングリした体つきでいきなり目の前で揉み合っている光景をチラッと眺めると直ぐにドアに手をかけていました。
そりゃあ店先で喧嘩をしているところを見れば入ってこないでしょう普通は…(笑)
男がドアに手をかけたまま後ろからついてきた女の子と何か話しています。
たぶん、他に行こう…なんて話でしょう～

ところが女の子が男の背中越しに覗いています。
喧嘩に興味があったのでしょうか♪
いえ、どうも違うみたいで、 女の子は加藤を指差して連れの男に何か話している様子。
男はビックリした風に振り返って揉み合っている二人をいや赤井を混ぜた三人を見ました。
「おう！加藤やないか!!」
ズングリした男は喧嘩をしている加藤に声をかけました。
「はぁ？」
加藤は喧嘩に夢中です。 赤井が気づいて声の主をみて驚き桃の木山椒の木(笑) ！
「工場長…」
「なんだ、赤井もいたのか!?」
武田工場長でした。

どうして…!?
赤井は加藤を止めていた手を思わず離してしまいました。
「おいおい、こんなところでダメじゃあないか!!」
悠長な声に揉み合っていた二人も手を止めて武田工場長を見ました。
「おい加藤、早く帰ったと思ったらこんなところで喧嘩してたのか！」
「あ…」「あ…」
加藤が驚いたのは当然ですが、喧嘩の相手側も武田工場長をみて驚いていました。
「ど、どうして…」
二人が声を揃えていますが、武田工場長は意に介さず
「なにを揉めていたんや!?話を聞こうか!?」
割って入りました。
「はぁ…」
「武田さん！どうしてここに!?」
柄の悪い男は武田工場長の顔見知りなのでしょうか不思議そうな顔で訊いています。
「まあまあ…お前ら」場を納めた武田工場長はニヤリと笑うと
「何があったか知らんがここはわしの顔を立ててくれんか」
二人を見比べ穏和な笑みを浮かべていました。
「こっちがいきなり言い掛かりをつけてきたんだよ！」
男は興奮冷めやらぬ様子で捲(まく)し立てました。 「そうか」頷くと
「おい加藤、岩田がこう言うとるが、そうなのか？」
武田工場長が加藤に問いただします。
「ええ…まぁ…」
酔いはもう醒めていた加藤は口をモゴモゴさせているだけです。
未だに武田工場長がここにいるのが理解できていません(笑)
「どうなんや！お前何を言ったんだ？」
武田工場長は加藤に迫ります。
「はぁ…実はこの男が松田さんといっしょだったんでつい…」
「松田さん…？」
武田工場長はちょっとびっくりした様子でしたが、直ぐに取り直して 「松田さん…？」「ええ…技術の事務の松田さんです」「ほ～」「それで…？」
加藤に続きを話すように促しました。
「ええ…どんな関係だと…」
「うん…」
「訊いたのですよ…」「岩田にか？」
「ええ…」
岩田と呼ばれた男は乱れた金髪を撫でながら 「こいつ、いきなり肩をつかんできたんですよ♪」
唇を尖らせて武田工場長に抗議します。

「おい赤井」
「は、はい…」
今度は赤井を呼びました。
「この男の言う通りなのか？」
加藤の言い分もあるだろうが、そばにいた赤井に問いただしてきました。
「はぁ…」どういっていいのか…赤井は迷いました。
加藤は親友だし、悪く言いたくないけど、相手側の言う通りだもんなぁ…(困)
「どうなんだ？加藤がいきなり肩に手をかけたんか!?」
武田工場長の声が少しキツくなりました。
「はぁ…」
「はあ、じゃあわからんだろう！」
まったく…やれやれの表情をした武田工場長はそばの椅子にドカッと座りました。