地域のみなさんに「困りごと支援事業」のお知らせをしていく中で、前はご夫婦で暮らしていたはずだけど、いつの間にか施設に入って一人暮らしになっていたなどとちょっとした間に家庭の様子が変わっているお宅が多くあるなと感じています。
前に書いた学童保育の活動を一緒に行い、30年余の付き合いがあるお宅にうかがった時もそんなことを感じました。
ご主人から、妻が認知症と診断されたと打ち明けられました。
短期記憶がかなり低下して、何分か前のことを忘れてしまうことが多くなったとお話しされていました。
ご主人が家事は何でもできるので、今すぐ困ることもないようですが、町内会の役員はそろそろできないかなともらしていました。
ご主人が、自分が介護するという気持ちを強く持っているので安心していられますが、介護者が倒れては困るので、無理しないで利用できるサービスは使ってくださいとお伝えしました。
高齢化率35%を超えている地域ですから、高齢者が多く、介護保険の利用者も増えてきています。
介護保険利用者のうち、半数以上は認知症との診断を併せ持っているといわれていますから、認知症をかかえながら生活を続けている家庭も増えています。
数年前に試算した時、小学生の数と認知症の方の推定値が同数に近づいていましたが、今は小学生よりも認知症の方が確実に多くなっています。
「困りごと支援」は、そんな地域事情を反映して、お互い様で助け合いましょうと創設されました。
これからは、「認知症カフェ」という取り組みがありますが、それも視野に入れた認知症とその家族が集える新たな取り組みを考えていく必要がありそうです。
先ほどのお宅のすぐ近くに、こちらも30年来のお付き合いの目が不自由な一人暮らしの方がいます。
年齢は50代ですが、ご両親が亡くなって今は一人で暮らしています。
戸建ての家を相続して暮らしていますが、「困りごと支援」の案内を持っていくと、こういう仕組みがあると安心できますとお話しされていました。
今まで、庭木の手入れを叔父さんがやってくれたけど、80過ぎてできなくなったので、どうしたものかと考えていたとのこと。
数本の庭木ならお手伝いできますよと伝えると、安心した様子でした。
高齢者や障害者が一緒に暮らしている地域社会。
そこで助け合っていく仕組み作りが、みなさんの安心を広げていることを実感しました。
(当地の定点観測地 五月晴れのさわやかな日)