すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【リオ五輪サッカー】OA枠での五輪出場は所属クラブにとってマイナスか?

2016-02-16 15:12:32 | サッカー日本代表
主力選手を取られて大迷惑?

 手倉森ジャパンがリオ五輪への切符をゲットし、「さてオーバーエイジ(OA)枠には誰を選ぶか?」であれこれ議論が巻き起こっている。そんななか、こんな記事が目に止まった。

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 Jリーグは8月の五輪期間中も中断されない。このため、Jクラブ側は事前合宿を含め1か月以上も主力選手を拘束されるOAに対し、拒否反応を示している(中略)。在京J1クラブ関係者は「Jリーグが普通にやっているなかで、簡単に(OA選手を)出せるところはあるんですかね」と疑問を投げかける。

■東スポWeb (2月16日) 『手倉森監督OA枠活用示唆も…Jクラブ拒否反応』

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 まあ海外のクラブが首をタテに振らないのはわかるが、Jリーグのクラブが上記の通り渋っているのだとしたら、えらく近視眼的だ。

 オリンピックとなれば当然、国民の注目度は高い。日本が勝ち進めば熱狂の渦になる。その渦の中に自チームの選手がいる、となればどうか?

 短期的には手駒を取られたとしても、長期的にはマーケティング的な利益は大きい。ましてや送り出した選手が劇的勝利につながる活躍でもすれば、クラブにとって宣伝効果は高い。広告を打つのと同じだ。

 それだけでなく代表チームがぐんぐん勝ち進んだりすれば、Jリーグ自体の観客動員数に火がつくのはまちがいない(あの五郎丸を見ろ)。そう考えれば、OAを送り出すクラブはもっと長い目で見られないのかねぇ? と不思議に思う。

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【セリエA第25節】本田、魂のランニング ~ミラン2-1ジェノア

2016-02-15 18:26:38 | その他の欧州サッカー
本田にしかできない粘りのプレイ

 前半5分、本田は右サイドでゴールラインを割りそうになるボールにダッシュで追いつき、FWバッカの1点目を生むクロスを入れた。

 あの出そうになるボールに食らいつく魂のランニングを、いったい本田以外の誰ができるだろうか?

 苦しくても泥のように粘る。

 必ず結果を出す。

 あの強いメンタルを日本代表の選手は目に焼き付けてほしい。

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【サッカー日本代表】ハーフナーは本田に自分を認めさせろ

2016-02-10 07:59:10 | サッカー日本代表
クロスが極端に少ないA代表の切り札に

 ハリルがオランダでプレイするFWハーフナー・マイク(28)と面会し、A代表に招集する可能性が高まっている。ハリルは以前から「高さと強さのあるFWがほしい」と公言していた。それを行動に移した形だ。

 確かにハーフナーのようなタイプは今の代表にはいないだけに、彼が招集されれば攻撃のバリエーションが飛躍的に増えるだろう。ただしハーフナーはその前に、やらなければならないことがある。仲間の信頼を勝ち取ることだ。

 象徴的なシーンがある。

 2013年、ザック・ジャパン時代のヨーロッパ遠征だ。ベラルーシ戦にリードされて迎えた後半41分。「飛び道具」としてハーフナーが投入された。残り時間と点差を考えれば、ハーフナー目がけてアーリークロスを入れまくるとか、CBからでもロングボールをハーフナーに当て、落としたボールを拾って二次攻撃を、という場面だ。なにせ時間がない。

 だが、そのとき我が日本代表は何をしたか? 

 それまでと変わらず、なんとバックラインで優雅にパスを回し、味方GKにボールをバックパスしたりしている。いったい、そんな時間がどこにあるのか? あの局面ではブラジル代表でもFW目がけてロングボールを入れるだろう。

 つまりハーフナーが投入されたと同時に監督の意図を読み取り、残り時間と点差、ハーフナーの特徴を考えて自動的にハイボール狙いに切り替える、という戦術変更ができなかった。

 理由はざっくり2つある。ひとつ目は、彼らは当時、グラウンダーのショートパスをひたすら繋ぐバルセロナの劣化バージョンを志向していたことだ。つまり彼らにはロングボールやハイクロスなど、浮き球を使って攻める発想自体なかったことがひとつ。

 第二には、恐らく仲間がハーフナーを信頼してなかったのではないか。

 サッカーでは、信頼されてない選手にはまったくパスが出ない、という現象がふつうにある。例えば一部報道️によれば、以下のようなエピソードが漏れてくる。

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 2013年9月のグアテマラ戦後、1トップの理想像について語った本田は「今までの代表(1トップ)は両極端だった。『デカくて足元がうまくないタイプ』とか」と、誰が聞いてもハーフナーと分かる言い回しで同僚批判を展開し、大きな波紋を呼んだ(中略)。

 欧州で結果を出している選手を“下手くそ”扱いでヤリ玉に挙げたのだから、当然ハーフナーの心中も穏やかではない。2人がその後“和解”する場もなく、微妙な関係が続いている。

 ■東スポWeb(2015年10月03日) 「ハリル 長身ストライカー招集見送りの裏に本田」

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 もし報道の通りギスギスした関係があるなら、まずハーフナーがやるべきは点を取ることだ。それだけでなく「ボールの収まりが悪い」といわれる足元の技術をつけ、ポストになって前線に攻めの起点を作る。また相手ボールになればファースト・ディフェンダーとして相手CBにプレスをかけ、パスコースを限定するーー。

 それだけの働きをすれば、仲間も彼を認めざるをえない。サッカー選手はプレイで認めさせるものだ。ハーフナーは変なウワサに耳をかさず、黙々とその作業を続けてほしい。

 またハリルは指揮官として代表メンバーとよく話し合い、「ハーフナーの使い方」について納得と共通理解を取ってほしい。

 クロスを使ったフィニッシュが極端に少ないA代表にとって、ハーフナーの高さを生かすか殺すかは生死を分ける問題だ。クロスを多用し、リオ五輪出場を勝ち取ったU-23日本代表の躍進を見よ。ロシアW杯の成否はハーフナーの使い方にかかっている、といっても過言ではない。

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【サッカー日本代表】ハーフナーの頭を狙え ~クロス攻撃の確立を

2016-02-09 06:49:31 | サッカー日本代表
U-23日本代表のクロスを見習え

 オランダ1部デン・ハーグでプレイするFWハーフナー・マイクが、早ければ3月のW杯2次予選(24日・アフガニスタン戦、29日・シリア戦)にもA代表に招集される可能性があるらしい。

 もし彼が入ったら、サイドからクロスを入れるフィニッシュの形を徹底して確立させてほしい。とにかくA代表はクロスが極端に少なすぎる。

 リオ五輪最終予選を戦ったU-23日本代表は、サイドからのクロスを武器にしていた。彼らの出した劇的な結果を見てもわかるように、クロス攻撃はフィニッシャーにさえ合えば一発で勝負が決まる。

 毎度おなじみの決定力不足に悩むA代表にとっては、クロスは過去の停滞を打ち破る大きな武器だ。チーム全体の了解事項として、もしハーフナーが出場したら、彼を生かす徹底したクロス攻撃をすることを肝に銘じてほしい。

 もしこの新パターンが確立したら、例えば1点リードされて残り時間5分のとき、ハーフナーめがけて縦にハイボールを放り込むような攻めも利く。これは今までのA代表にはなかった試合運びであり、大きな武器になるだろう。

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【サッカー日本代表】サッカーの6割はメンタルで決まる

2016-02-08 08:22:57 | サッカー日本代表
強い「心」が勝負強さを生む

 リオ五輪最終予選を戦ったU-23日本代表が「ここぞ」の場面で劇的なシュートをバシバシ決めまくるのを見て、「サッカーの6割はメンタルで決まるんだなぁ」と思い知らされた。

 ターンオーバーでいつ外されるかわからない。競争の激しいU-23日本代表は「出場チャンスをくれたらやってやる!」の思いが強い。それが堅固なメンタルの醸造につながった。

 その強い気持ちがシュートの場面でも生きた。「俺が決めてやる」の思いがシュートコースを決してブレさせなかった。「もし外したらどうしよう?」などと弱気になり、それがため中途半端なキックになってシュートをふかした選手なんて1人もいなかった。

 決定的な局面で絶対に萎縮せず、伸び伸び思い切ってシュートが打てた。

 どう考えても「技術」ならA代表のほうが上だ。だが強いメンタルのおかげで、彼らはああいう結果を出せた。「ここ」という試合を決める重要な局面で、衝撃的なファイン・ゴールを彼らは叩き込み続けた。

デキが悪くても外されないA代表

 翻ってA代表はどうか? 例えば香川と宇佐美は、どんなにデキが悪くても絶対に代表を外されない。結果、彼らのメンタル状態は、すっかり「ナアナア」になっているだろう。

「俺はデキが悪くても外されないな。なら、競り合うべきところで、ちょっとラクをするか」

 こういう精神状態になってもちっとも不思議じゃない。その結果、ズルズルと悪い状態を引きずってしまい、泥沼から抜け出せなくなる。「外される」というショック療法で、立ち直りの機会を得られない。昨年の代表での彼らの不振が、そっくりそのままそこに表れているような感じがする。

 監督のメンタル・コントロールがいかに大事か?

 メンタルの強い選手がいかに頼りになるか?

 強く思い知らされた最終予選だった。

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【リオ五輪はこう勝て】OA枠でビルドアップ自在な攻めの形を

2016-02-06 09:12:27 | サッカー日本代表
まず組み立ての見直しが第一歩だ

 いまのサッカー五輪代表がやっている最終ラインからのビルドアップは、大きく2パターンに分けられる。DFの植田、岩波がアバウトなロングボールを前線に放り込み、FWやMFが競ってそのこぼれ球をなんとか拾う形がひとつ。そしてもうひとつは、SBかボランチを経由してSHにボールを預け、ここで必ず敵と競り合いになってしまい、そのこぼれを拾ってマイボールにするパターンだ。

 いずれにしろ相手といったん競り合いになり、ルーズボールを「うまく回収できれば形になる」というやり方である。つまり出たとこ勝負のギャンブルにすぎない。そこでオーバーエイジ枠により、この不確実なビルドアップをもっと計算できるものにしたい。

CB森重とMF青山がビルドアップの軸になる

 具体的には、中長距離の正確なパスが出せる森重をCBに使い、高さと強さはあるがフィード力のない植田と組み合わせる。また左右両サイドに正確なパスを振り分けられる広島の青山を、遠藤とセットでボランチに使う。これにより植田と両SBは、困ったら森重か青山にボールを預け、フィードを委託できる形にする。

 森重はフリーになる動きをするFWやMFに正確なロングパスが出せるし、青山は大きく開いたSH(中島や南野、矢島)に放射状のボールを出す展開力がある。彼らが組み立ての第一歩になれば、最終ラインからのビルドアップは飛躍的に計算できるものになる。

 特に中島はせっかくキープ力とシュート力があるのにパスが足元にしかこないため、後ろ向きにボールを受けることが多い。そのため敵に囲まれ潰されるケースが多かった。

 そうではなく中島が前のスペースへ走り込み、そのスペースへ青山から放射状のパスが出れば中島は前を向いてボールが持てるようになる。そうすればセカンドストライカーにもなれる彼のシュート力が生きるだろう。

FW大迫のポストプレイが前でポイントを作る

 一方、FWにはポストプレイのうまい大迫を、久保と組み合わせる。大迫は前に張る形にしてクサビのボールを受けさせ、その周りを久保が衛星的に動くからみ方をする。

 大迫は日本人選手のなかでは1、2を争う正確なポストプレイヤーだ。これで前に攻めのポイントができる。そして久保が彼をサポートすれば、大迫が落としたボールを拾って2次攻撃が可能になる。これにより久保は前を向いてボールが持てるようになり、彼の鋭いシュート力と前への推進力が生きる。また大迫の起用により2トップの役割分担が明確になり、「めざす形」がハッキリする。

 こんなふうにセンターラインに森重と青山、大迫を入れることでチームの芯ができ、攻撃パターンがスムーズで計算できるようになる。いままでは出たとこ勝負のギャンブルにすぎなかった攻めが、確実性の高く破壊力あるものになる。

 もちろんミドルサードやアタッキングサードで相手と競り合いこぼれを拾ったり、パスカットしてショートカウンターを狙うこのチーム従来の形もそのまま生きる。別に極端なポゼッション・スタイルに変えるわけではないから、その点は心配ない。

持ち前の勝負強さと決定力を生かす「確実性」

 なお、めざましく進歩しているSB室屋に加え、山中もそのままで充分だろう。SBはA代表でも人材不足のポジションであり、長友が招集できれば別だが実現性はどうだろうか。

 また一部で本田案も取り沙汰されているが、彼が入るとまったく別のチームになるのでおすすめできない。FWに大久保を呼ぶ案も、タイプ的に久保や浅野と明確な線引きがしにくいためバランスを考えるとどうか。

 いずれにしろOA枠の活用で、このチームに足りない「確実性」を補えることは保証できる。持ち前の勝負強さと決定力、メンタルの強さに確率の高い攻めが加われば、かなりのチーム力アップになる。いまから本大会が楽しみだ。

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【リオ五輪代表】何から何までA代表と正反対だ

2016-02-05 14:47:21 | サッカー日本代表
「兄貴分」にはないメンタルの強さと爆発力

 いやはや、今回のリオ五輪代表チームは、何から何までA代表と正反対だ。共通点は「ポゼッション・スタイルではない」ことくらい。A代表がなかなか身につけられない、強いメンタルと爆発力、高い決定力を五輪代表はもっている。

 特に粘り強さと「ここぞ」の爆発力は、この記事でも書いたように旧西ドイツ代表チームの「ゲルマン魂」と似た勝負強さがある。

 これらの要素は養おうと思ってもなかなか身につかないものであるだけに、五輪本番を目指す上では心強い。あとは本大会までに、いま欠けている技術力と戦術力を少しでも蓄えることが目標になる。

 ことにこのチームはゾーンディフェンスの基本を再確認すべきだ。

 FW、MF、DFの3つのラインがコンパクトに等間隔でブロックを組み、「人」ではなく「ボール」に対しアプローチをかける。そしてボールホルダーにプレスをかけた選手を基準にし、他の選手がそれと連動してポジショニングを等間隔で決める。(ディアゴナーレとスカラトゥーラ)

 ボールを持っていない近くの敵がフリーランニングしようが、ボールに対しプレスがかかっていればそれに構わない。付いて行く必要はない。相手の動きは関係ない。そしてボールを奪った瞬間に速いカウンターを狙う。カウンター攻撃までがひとつのパッケージになっている。

 対して五輪代表は局所的にマンツーマン的な要素が混在し、どうもゾーンディフェンスの概念が薄い。一朝一夕では身につかないだろうが、彼らが将来もっと伸びるためには不可欠な要素になる。ぜひ取り組んでほしい。

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【リオ五輪予選・勝因分析】「最弱」と呼ばれた谷間の世代はなぜ勝てたのか?

2016-02-02 00:13:55 | サッカー日本代表
ターンオーバーと後半勝負のゲームプランが生きた

 今回のU-23サッカー日本代表世代は、「勝てない」、「最弱」と呼ばれてきた。

 例えば2012年11月のAFC U-19選手権や、14年1月のAFC U-22選手権、14年9月のアジア大会では準々決勝の壁を破れなかった。昨年も国内ではJ2京都とJ3町田に負け、福岡大とさえ引き分けた。

 また昨年12月の中東遠征でも、イエメン、ウズベキスタン相手に点が取れずスコアレスドローに終わっている。ではなぜ、そんな「弱い」はずの彼らがあれほど劇的な勝ち方をし、五輪出場を決め、優勝できたのか?

セントラル方式にハマった心と体のコンディショニング

 まず手倉森監督は、最終予選が一発勝負のセントラル方式(集中開催)であることに対応した。すなわち長丁場を見越し、特定の選手に疲労が偏らないターンオーバー制を取った。これにより疲労度が全選手、平均的になり、誰が出ても力を発揮できる陣容が作れた。

 そして1試合の戦い方も、コンディションによる勝負に賭けた。すなわち前半は、DFがボールを持つとセーフティ・ファーストで前線にロングボールを放り込む。この戦法で前半を守ってしのぎ、相手の疲労が蓄積する後半に勝負をかけた。

 つまり日本はターンオーバーで選手のコンディションが平均的にいいため、相手が疲れてくる後半勝負に持ち込めば有利なはずだ、という戦略だ。

 そしてスピードのあるFW浅野という終盤向きの飛び道具が、この戦い方にぴったりハマった。試合の後半、疲れで足が萎えた相手DFラインにすれば、ヤマ場で途中出場してくる浅野はやっかいな存在だ。

 彼がライン裏を狙うことで、仮に浅野自身が得点できなくても敵DFの注意力は分散する。浅野を追って走らされ、ますます疲労がたまって集中力が切れる。こうして後半に勝負をかけた戦略と、浅野という手駒のマッチングが相乗効果を生んだ。

「誰にでもチャンスがある」とモチベーションが高まった

 ターンオーバー制には、付帯効果もあった。スタメンが日替わりになるため、「誰にでもチャンスがあるんだ!」と選手のモチベーションがグンと上がった。これでチームに一体感ができ、「やってやる」というメンタル面の強化につながった。

 この強いメンタルが得体の知れない底力を生み、「ここぞ」の場面で爆発的な決定力となって結実した。そして最終予選は一発勝負のセントラル方式であるため、1戦1戦、勝つことによってチームにみるみる勢いがつき、勝負の流れが勝ちへ勝ちへと結びついて行った。

 一方、フィニッシュの形も大きく影響した。日本はアタッキングサードで、サイドからのクロスを多用した。クロス攻撃は、ボールが受け手にさえ合えば一発で勝負が決まる。これが当たった。

 中盤をどう構成するか? なんて彼らには関係ない。放り込みでもなんでも、とにかくボールをアタッキングサードにねじ込み、あとはクロスで勝負だ。たとえ一発で決まらなくても、セカンドボールを拾ってアタッキングサードで2次攻撃ができる。この攻め方が見事に決まった。

原始的だが「最弱」の身の丈に合った戦略だ

 まとめると、彼らの勝因は大きく分けて以下の3点だと分析できる。

(1)フィジカル対策としてのターンオーバー採用。それによる選手のコンディションのよさを生かし、堅い守備を前提に前半は守り抜き、相手がバテる後半勝負のゲームプランが奏功した。

(2)ターンオーバー制によりモチベーションが上がり、一体感がわいてメンタルが強固になった。最終予選の前にはさっぱり点が取れず勝てなかったチームが無類の勝負強さを見せ、ここぞの場面で鮮やかにシュートを決めまくったのも、大会中にぐんぐん強化されたメンタルが原因だろう。

(3)フィニッシュは効率的なクロスを多用した。そのこぼれ球を決めたシュートもあった。ひとつ提案だが、クロスによるフィニッシュが極端に少ないA代表は少しは彼らを見習ったらどうか?

サッカー協会はこの勝ち方をマニュアル化すべき

 さてここから、日本が世界で勝つためのシナリオが読み取れる。(1)の疲労対策は何もターンオーバーによらなくても、日頃の走り込みや筋トレを強化することで持久力、フィジカルの強さを身につければ用が足りる。

 そして(2)については、心理学に基づくメンタル・トレーニングとモチベーターとしての監督のチーム作りで代用できる。つまり手倉森監督以外の監督でも、このノウハウに習えば同じことができる。また今回のU-23メンバーでなくても(つまりA代表でも)、同様の勝負強さやメンタルの強さを身につけられるはずだ。

 いや、もちろん別にそっくり同じことをやれというわけではない。例えばメンタル面など、部分的にいいところを取り入れるのは意義あることだ。日本サッカー界は今大会の勝因をロジカルに分析し、勝ち方の「見習うべき部分」をマニュアル化することによって今後に生かすべきだろう。

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【リオ五輪への修正点】本大会までに直したい7つの悪いクセ

2016-02-01 08:59:35 | サッカー日本代表
優勝したが改善すべき課題は多い

 サッカーU-23日本代表は、リオ五輪最終予選を兼ねたU-23アジア選手権で優勝した。五輪の出場権を得ただけでなく、アジア王者を取れたことはメンタル面で大きなプラスになる。

 だが日本の試合ぶりを検証すると、本大会までに改善すべき点がかなり多いのも事実だ。以下、ざっと思いつく要素を並べてみた。修正点を見直し、本大会ではさらに躍動したい。

1. 守備時は4-4のラインを作れ

「日本は堅守だ」などと言われていたが、相手ボールのとき最終ラインと中盤で4-4のブロックを作れてない。中盤の両サイドのポジショニングが高すぎることがある。SHの守備の意識にムラがあるからだ(特に中島)。そのため2枚のボランチの両脇がガラ空きになるケースが散見された。もっとポジショニングを確認すべきだ。

 また自陣ゴール前の絶対にバウンドさせてはいけない場面でボールをバウンドさせてしまうなど、基本がごっそり抜け落ちている点が見受けられる。ボールをなんとなく浮かせたまま味方とやり取りしてしまう悪癖もある。局面によってはボールをしっかり抑えることも大切だ。

2. DFにフィード力がない

 日本の最終ラインは強さはあるが、相手の攻めをただ弾き返すだけ。奪ったボールを前につなぐフィード力がない。まるで日本リーグ時代のDFを見ているかのようだ。かなり時代遅れなスタイルである。いまどきDFがビルドアップの第一歩になるパスを出せないようでは話にならない。特に植田は、素材はいいのだから安易な前への放り込みを抑えてパスをつなぐプレイを意識してほしい。

3. ボールをアタッキングサードに運ぶためのビジョンのなさ

 堅い守備をベースにカウンター志向のチームを作りたいなら、それならそれでボールを奪ったあとのカウンター攻撃の仕掛け方についてはある程度オートマチックに確立させておくべきだろう。アバウトな放り込みに頼るなど、今のままでは出たとこ勝負の運まかせにすぎない。最終予選では「たまたまボールに好かれた」が、意図的に「それ」を起こすための詰めをしておきたい。

4. 組み立ての起点を作れ

 日本には組み立ての起点がない。とにかくボールをアタッキングサードにねじ込み、あとは決定力まかせになる。もちろんそれでゴールを決められればいいのだが、そのやり方では必然的にチャンスの数自体が少なくなる。もっとサイドに意識的にポイントを作るとか、FWにクサビを打って落としたところをワンツー、あるいはそのボールをいったんサイドに開くなど変化がほしい。特にFWがクサビのボールを弾いてしまい、簡単にロストボールする悪いクセは直したい。

5. ひとつひとつのプレイ精度を上げたい

 日本はすべてにおいてとにかく荒削りだ。まるで土の中に埋もれたダイヤモンドの原石を見るかのよう。ただそのぶん伸びしろは充分ある。もっと攻守ともに磨きをかけ、ひとつひとつのプレイ精度を上げたい。例えばパスひとつとってもブレずに正確に出せるかどうか? また単に「なんとなくその方向」に出すのでなく、マーカーから遠いほうの足を狙って出してやるなど、局面に応じたパス出しを考えたい。

6. ワンタッチコントロールを改善しよう

 日本の選手はファーストタッチでボールを処理できない。そのため1度ボールを弾いてしまい、2度3度と触っているうちにボールを取られる。もっとワンタッチコントロールの技術を身につけ、簡単にボールを失わないようにしたい。サッカーはポゼッション率がすべてではないが、パスを受けるたびにボールロストしていたのではお話にならない。

7. 2トップにボールが収まらない

 2トップにボールが収まらない。特にオナイウは守備面での貢献度は高いがボールをキープできない。クサビのボールを弾いてしまい、簡単に敵にかっさらわれている。加えてFWがクサビのボールを受けても周囲のサポートがない。そのため前線に攻めのポイントができない。例えばトップにボールが入ったときにはSHが絞ってサポートするなど、FWとMFの距離感を見直したい。

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