れいわ新選組は衆院選で国民民主に入れた「新規の客」を取れたはずだ
先日の衆議院選挙で大躍進しキャスティングボートを握った国民民主党は、新規のお客さんをごっそり取った。
だが本当なら国民民主に今回、新しく投票した非正規雇用や派遣社員などワーキングプア層の経済的な欲求を満たすのは、大胆な財政政策を掲げる「れいわ新選組」だったはずだ。
おそらく本来なられいわの山本太郎代表は彼らの支持を得て、今の国民民主の地位を取りたかっただろう。だから今回の選挙に勝ったとはいえ、太郎氏は悔しそうだった。
ではなぜれいわはそれを成し遂げられず、国民民主に次ぐ2番手になり下がったのか?
まずいえるのは、国民民主の玉木代表が「我々は与党の延命に協力しますよ」というスタンスを取り、いわゆる「ゆ党」のそぶりをしながら自民側と交渉したのが大きかった。
おそらく本来なられいわの山本太郎代表は彼らの支持を得て、今の国民民主の地位を取りたかっただろう。だから今回の選挙に勝ったとはいえ、太郎氏は悔しそうだった。
ではなぜれいわはそれを成し遂げられず、国民民主に次ぐ2番手になり下がったのか?
まずいえるのは、国民民主の玉木代表が「我々は与党の延命に協力しますよ」というスタンスを取り、いわゆる「ゆ党」のそぶりをしながら自民側と交渉したのが大きかった。
これなら確かに有権者の目から見て、いかにも国民民主の政策が実現しそうに見える。与党に反発し、ひたすら声を荒げて突っ張るれいわ・山本代表とは好対照だ。
第二に大きいのは、れいわの政治的な見た目がいかにも「人権を重視しそう」な左派の典型に見える点だ。
一方、衆院選で国民民主党へ大量に雪崩れ込んだ有権者層は、18歳以上〜30代の「Z世代」である。
第二に大きいのは、れいわの政治的な見た目がいかにも「人権を重視しそう」な左派の典型に見える点だ。
一方、衆院選で国民民主党へ大量に雪崩れ込んだ有権者層は、18歳以上〜30代の「Z世代」である。
彼らは生まれたときから世の中に、ほぼ右派しかなかった世代だ。その意味では生まれついての意識せざる生粋の右派ともいえる。
そんな彼らのなかには衆院選で国民民主党の「手取りを増やす」のキャッチフレーズを見て、今回まったく初めて選挙へ行った人も多い。
そんな彼らのなかには衆院選で国民民主党の「手取りを増やす」のキャッチフレーズを見て、今回まったく初めて選挙へ行った人も多い。
つまり彼らは、有権者全体のパイを新たに掘り起こす役目を担ったわけだ。
「z世代」が固着していた票のバランスを破壊する
彼らの多くはいままで投票を棄権してきた人々だ。ゆえに今後の政権交代を起こすに当たり、重要な役割を担う層になる。
「z世代」が固着していた票のバランスを破壊する
彼らの多くはいままで投票を棄権してきた人々だ。ゆえに今後の政権交代を起こすに当たり、重要な役割を担う層になる。
というのも今までの選挙では自民・公明が(投票された票のうち)過半数の票を取り、あとは野党で四分五裂に分け合っていたからだ。
そして残りの有権者全体の50%近くを占める大半は、選挙へまったく行かない棄権者層になる。彼ら「z世代」は、今までずっと選挙を棄権し続けていた。
かくてこれまでは票の配分が完全に固着し、自公政権がすっかり定着して動かなかった。だが選挙へ行かなかった「z世代」の多くの票がまったく新たに加わることで、票の配分バランスが大きく変わった。
かくてこれまでは票の配分が完全に固着し、自公政権がすっかり定着して動かなかった。だが選挙へ行かなかった「z世代」の多くの票がまったく新たに加わることで、票の配分バランスが大きく変わった。
これで自公以外の第三勢力にも、政権奪取の可能性が大きく生まれる。
つまり今まで棄権していた彼らが新しく政治参加すれば、従来の完全に固定化していた各党間の得票バランスがまるで変わる。で、政権交代が起こる。
彼ら「Z世代」が生まれた時には、実は左右の対立なんてとっくに終わっていた。ほぼもう、右派しかいなかった。だから彼らが右派になるのも、水が上から下に流れるように自然だった。
つまり今まで棄権していた彼らが新しく政治参加すれば、従来の完全に固定化していた各党間の得票バランスがまるで変わる。で、政権交代が起こる。
彼ら「Z世代」が生まれた時には、実は左右の対立なんてとっくに終わっていた。ほぼもう、右派しかいなかった。だから彼らが右派になるのも、水が上から下に流れるように自然だった。
ゆえに「Z世代」は自分が右派であることにさえ、さほど自覚的じゃない。それだけ自分が右派なのが、自然で当たり前の時代に生まれたわけだ。
だから雰囲気・左派のれいわ新選組と噛み合わない。ここが致命的なマイナスポイントになる。これを今後どう、解決するかだ。
おいしい「Z世代」にリーチするにはれいわは左派色を抜け
だが実は山本代表は「左」など意図すらしていない。
実際、彼はこれからの政治は左右対立ではなく「上下の戦い」、つまり上流階級 vs 下層階級の戦いになると読んでいる。
おいしい「Z世代」にリーチするにはれいわは左派色を抜け
だが実は山本代表は「左」など意図すらしていない。
実際、彼はこれからの政治は左右対立ではなく「上下の戦い」、つまり上流階級 vs 下層階級の戦いになると読んでいる。
これは「既得権益層」と「持たざる者たち」という対立軸であり、「抑圧者(支配層) vs 非抑圧者(被支配層)」の対決でもある。すなわちこの記事でも解説した「1% vs 99%」のせめぎ合いだ。
だがそれならなおのこと、れいわの今の「見た目」は大いに改善の余地があるといえる。
いかんせん、彼らは見かけが明らかに「左」なのだ。だから依然として、れいわ新選組は誤解され続ける。
いかんせん、彼らは見かけが明らかに「左」なのだ。だから依然として、れいわ新選組は誤解され続ける。
だからあの国民民主党を見て政治に初めて新規参入した「Z世代」というおいしい右派層にも、リーチできなかった。
しかし実は経済政策的には、むしろワープアが多い彼ら「Z世代」のニーズを本当の意味で満たすのは国民民主党じゃなくれいわ新選組だ。
しかし実は経済政策的には、むしろワープアが多い彼ら「Z世代」のニーズを本当の意味で満たすのは国民民主党じゃなくれいわ新選組だ。
例えばもしれいわが仮に右派で、あの「z世代」という階層を丸ごと取れていればどうなるか? 下手すれば今ごろ政権交代(とまでは行かずとも大規模な政界再編くらいは)起きていたかもしれない。
結論として最近では、右寄りだからこそそれに近いことができたのが、(1)衆院選で躍進した玉木代表の国民民主、(2)兵庫県知事選挙で斎藤知事を当選させた立花孝志氏、(3)都知事選で大旋風を起こした石丸伸二氏ーーだったわけだ。
一方、れいわ新選組が小異を捨てて大同につき、政治的な左右を合流させるのは永続的には無理かもしれない。
ならば彼らがあくまで経済財政政策だけをメインの旗印にした場合、先行きはどうか?
結論として最近では、右寄りだからこそそれに近いことができたのが、(1)衆院選で躍進した玉木代表の国民民主、(2)兵庫県知事選挙で斎藤知事を当選させた立花孝志氏、(3)都知事選で大旋風を起こした石丸伸二氏ーーだったわけだ。
一方、れいわ新選組が小異を捨てて大同につき、政治的な左右を合流させるのは永続的には無理かもしれない。
ならば彼らがあくまで経済財政政策だけをメインの旗印にした場合、先行きはどうか?
これで世界からすっかり取り残された日本経済を再生するため、一時的な救国政権を作る。そういう国民的な時限的プロジェクトを組むには、マッチするかもしれない。
あるいはもっと長く政権を取り続けるには、あの小泉改革みたいなシングルイシュー戦略しかない。徹底的に「積極財政」オンリーで政策を絞り、選挙に臨むのだ。
勝負はいかに「1% vs 99%」の戦いに引きずり込むか?
繰り返しになるがれいわ新選組にとって勝負すべき土俵は、旧来から政治的なイデオロギーとして根付いている左右対決のような古い舞台じゃない。
いかに「1% vs 99%」の戦いに持ち込むか? 「エリート富裕層などの既得権益層」 vs 「持たざる貧しく抑圧された99%を占める庶民層の戦い」へ持っていくかだろう。
決して左右でなく、上流と下流がせめぎ合う「上下の戦い」にどう持ち込むかの勝負だ。
それには生まれた時からネットがあった初めての世代である10〜30代の「Z世代」をSNS戦略で取り込むような、いくつかの方策が考えられる。
生まれた時から右寄りの彼らが納得するような、左右の古い価値観にこだわらない政策を取ることが肝心だ。
それにはれいわは現状のように、障害者を3人も立てて話題作りする策を取ってはダメかもしれない。あるいは地震が起きれば率先して能登に行くのも、イメージ的にいかにも左派色を印象付けてしまう。
あるいはもっと長く政権を取り続けるには、あの小泉改革みたいなシングルイシュー戦略しかない。徹底的に「積極財政」オンリーで政策を絞り、選挙に臨むのだ。
勝負はいかに「1% vs 99%」の戦いに引きずり込むか?
繰り返しになるがれいわ新選組にとって勝負すべき土俵は、旧来から政治的なイデオロギーとして根付いている左右対決のような古い舞台じゃない。
いかに「1% vs 99%」の戦いに持ち込むか? 「エリート富裕層などの既得権益層」 vs 「持たざる貧しく抑圧された99%を占める庶民層の戦い」へ持っていくかだろう。
決して左右でなく、上流と下流がせめぎ合う「上下の戦い」にどう持ち込むかの勝負だ。
それには生まれた時からネットがあった初めての世代である10〜30代の「Z世代」をSNS戦略で取り込むような、いくつかの方策が考えられる。
生まれた時から右寄りの彼らが納得するような、左右の古い価値観にこだわらない政策を取ることが肝心だ。
それにはれいわは現状のように、障害者を3人も立てて話題作りする策を取ってはダメかもしれない。あるいは地震が起きれば率先して能登に行くのも、イメージ的にいかにも左派色を印象付けてしまう。
これをやれば「ああ、あいつらは人権を重視する左派だな」と見える。
れいわが今後、本気で多数を占めて政権奪取を狙うなら、こうした抜本的なイメージ作りから考え直す必要があるかもしれない。
れいわが今後、本気で多数を占めて政権奪取を狙うなら、こうした抜本的なイメージ作りから考え直す必要があるかもしれない。
くれぐれも太郎氏は、「経済以外」の部分でややもすると何かしら左派的な色を出してしまうこだわりを捨て去ることだ。
でなければ曲解され、組織の分断や崩壊を招く。あくまで左右にこだらず、上下のみを押し出す姿勢を見せ続ける。そして小異を捨て、大同につく印象を打ち出すのが正しい。
ある種のこだわりが強い彼にもしこれができなければ、政権奪取は夢のまた夢。理想論は木っ端微塵に吹き飛び、政権を取る構想は実現しないかもしれない。
積極財政のインフルエンサーも揃って右派だ
こうして左派に見える要素を払拭できれば、あとはインフルエンサーを味方につけることができるかどうかも大きい。
でなければ曲解され、組織の分断や崩壊を招く。あくまで左右にこだらず、上下のみを押し出す姿勢を見せ続ける。そして小異を捨て、大同につく印象を打ち出すのが正しい。
ある種のこだわりが強い彼にもしこれができなければ、政権奪取は夢のまた夢。理想論は木っ端微塵に吹き飛び、政権を取る構想は実現しないかもしれない。
積極財政のインフルエンサーも揃って右派だ
こうして左派に見える要素を払拭できれば、あとはインフルエンサーを味方につけることができるかどうかも大きい。
というのも日本で積極財政を喧伝するインフルエンサーたちは、ほぼ揃って「右」なのだ。その意味でも、左派色を抜くことが重要になる。
例えば考えられる候補は、まず著作家の三橋貴明さん(YouTubeチャンネル「三橋TV」運営者)、中野剛志(評論家)さん、室伏謙一(室伏政策研究室・代表)さん、藤井聡さん(京大教授)、ジャーナリストの鮫島浩(元朝日新聞)さん、元明石市長の泉房穂さんあたり。
このほか議員としてなら小沢一郎さん(立憲民主党)や、須藤元気さん(元立憲民主党)か。
さらには立憲民主党に30〜40人ほどいる積極財政を唱える若手の「太郎シンパ」が揃って脱党してくれば、勢力としてはかなり有望になる。彼ら積極財政派を経済政策のワンイシューですべて糾合することが肝要だ。
例えば考えられる候補は、まず著作家の三橋貴明さん(YouTubeチャンネル「三橋TV」運営者)、中野剛志(評論家)さん、室伏謙一(室伏政策研究室・代表)さん、藤井聡さん(京大教授)、ジャーナリストの鮫島浩(元朝日新聞)さん、元明石市長の泉房穂さんあたり。
このほか議員としてなら小沢一郎さん(立憲民主党)や、須藤元気さん(元立憲民主党)か。
さらには立憲民主党に30〜40人ほどいる積極財政を唱える若手の「太郎シンパ」が揃って脱党してくれば、勢力としてはかなり有望になる。彼ら積極財政派を経済政策のワンイシューですべて糾合することが肝要だ。
「そろそろヘンなこだわりは捨て、ひとつにまとまろうよ」とでも呼びかければ、糾合できる可能性はある。
かつてなら、なりふり構わずこれができたのが立憲民主党の小沢一郎氏だった。だが今の彼にそれが可能だろうか?
かつてなら、なりふり構わずこれができたのが立憲民主党の小沢一郎氏だった。だが今の彼にそれが可能だろうか?
あるいは脱皮したニュー・山本太郎がやることになるか? いずれにしろ令和時代の新しい政界の仕掛け人が必要になりそうだ。