すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【カタールW杯】コスタリカになぜ負けたのか?【敗因分析】

2022-11-28 08:59:34 | サッカー日本代表
「選手まかせ」が生む森保ジャパンの無責任体制

 日本はなぜコスタリカに負けたのか?

 これにはさまざまな要素があるが、根底にあるものは大きく2つに分かれると考えられる。

 ひとつは、グループリーグの第2節。5-4-1の守備的布陣を敷いてきた「前へ出てこない」コスタリカに対し、日本はどう対応するのか中途半端だった点だ。

 例えば第1節のドイツ戦で望外の勝ち点3が取れた時点で、勝ち点をコスタリカ戦で「6」に積み上げ、一気にグループリーグ勝ち抜けを狙うのか?(それができる可能性があった)。

 それともグループリーグを3試合トータルで考え、勝点を1つでも上げて有利を稼ぐのか?

 そこの見極めだ。

 こうした戦い方のコンセプトは大会を勝ち抜くための根幹に当たるが、巷間、選手のコメントなどから「チームはそこの意思統一ができていなかった」ことがうかがわれる。これは致命的な問題だ。

 つまり選手によって考えが違ったのだ。

 ゆえにコスタリカ戦を勝ちに行くのか? 勝ち点1でもよしとするのか? ここのコンセプトが不明確だった。

 当然、森保監督はこのゲームプランを徹底しておくべきだったはずだ。アジア予選の頃からずっとそうだが、「選手まかせ」の森保体制はこういうところが甘くなる。

状況と方針が変わったのなら徹底すべき

 そのためコスタリカ戦では、「行く」のか「ステイする」のかがあいまいになり、チーム全体として何をめざすのか? 焦点がボケた。

 コスタリカ戦があの締りのない、何をやりたいのかハッキリしない中途半端なゲームになったのは、この点が大きいと思われる。

 もちろんあえて監督のためにエクスキューズすれば、当初は初戦の強豪ドイツ戦でなんとか「勝ち点1」をもぎ取り、第二戦のコスタリカ戦で「勝ち点3」をめざす、というプランだったのならば、ドイツに勝った時点で用意していたシナリオが崩れることになる。

 森保ジャパンはここが崩れたまま、コスタリカ戦になだれ込んだ感じがする。

 そうではなく、状況が変わったならばその時点でシナリオをすみやかに修正し、新しいシナリオを選手に徹底しておくべきだった。

 あのコスタリカ戦が、何をやりたいのか戦い方が不明確でぼんやりしていたのは、この点が大きいと推察する。

 森保監督の「選手まかせ」の弊害だ。

「コスタリカは前から来る」という空想

 一方、上にあげた問題と同根だが……戦前、スペインに0-7で大敗したコスタリカは最終ラインを上げて前から総攻撃をかけてくると考えていた選手と、そう考えてない選手が混在していたようだ。

 試合後の選手のコメントなどからそう推察できる。

 元来、コスタリカは5-4-1の堅陣を敷き、堅守速攻をゲームモデルにするチームだ。

 ところが初戦のスペイン戦で0-7の大敗をしたためプランが狂った。そこで失地回復するため彼らは前から激しく仕掛けてくるに違いないーーそう考えた選手たちがいた。

 これなども監督はミーティングで選手に徹底して意思統一しておくべきだった。そして敵が前から来た場合はこんなゲームモデルで行く。

 あるいは前からこない場合はこのゲームモデルで対応する、というふうに対策をあらかじめ練り選手に注入しておくべきだった。

 この点でも「選手まかせ」の森保監督の短所が出たといえる。

 いうまでもなくこの問題はチーム立ち上げ時からずっと一貫して森保ジャパンが抱える「病巣」だ。それが図らずもカタールW杯のド本番で出た、という感じがする。

 アジア予選のときから本ブログではずっとこの欠陥を指摘してきたが、監督がここを修正する気がないなら選手はそれなりにやるしかない。

 そんなあいまいな調子でド本番まで来たわけだが、森保監督はこの問題をいったいどう考えるのだろうか?

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【カタールW杯】気のない凡戦で手痛い負け(星取表付き) ~日本 0-1 コスタリカ

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【カタールW杯】気のない凡戦で手痛い負け(星取表付き) ~日本 0-1 コスタリカ

2022-11-28 08:59:34 | サッカー日本代表
時間だけが淡々と経過した

 日本は必勝が予想されたコスタリカ戦にぼんやりと入り、両者無得点で時間ばかりが経過する試合展開になった。

 日本はゆったりしたポゼッション・スタイルで、どこかガムシャラさがない。淡々と相手にお付き合いしているような感じだ。

 こうして時間が過ぎた。

 かくて後半36分。日本はちょっとした連携ミスからボールを奪われ、ループシュートを食らって失点。そのまま0-1で日本が負けた。

試合への入り方はどうだったのか?

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが権田修一。最終ラインは右から山根視来、板倉滉、吉田麻也、長友佑都。

 CMFはケガから復帰した守田英正と、遠藤航。トップ下は鎌田大地。右SHは堂安律、左SHは相馬勇紀。FWは上田綺世である。

 一方、コスタリカのフォーメーションは5-4-1。3バックでビルドアップしてくる。

 試合は小競り合いが続いたが、日本はなかなかペースを握れない。むずかしい。相手とリズムが合ってしまっている。

 このままゆったりと何事もなく90分間が過ぎてしまいそうだ。「今日は楽勝だ」とでもいうかのよう。ドイツに勝ち、「自分たちは強いんだ」と勘違いしたまま試合に入ってしまったような印象だった。楽観し、エンジンが入らないのだろうか?

「コスタリカ相手ならいつでも点は取れる」とばかりに、日本はのんびりしたポゼッション・スタイルでひたすらパスをつないだ。

 いい意味で「無理をする」選手がいない。相馬と途中出場の三笘薫だけがドリブルで気を吐くくらい。その他の選手は「ただやってるだけ」という感じだった。

 かくて魔の後半36分。日本はちょっとしたミスからボールを奪われ、失点して負けた。

 この試合はあまり分析しても意味がない。では気になる星取表を見てみよう。

日本がGL突破できるパターンは?

 さて気になる星取表だが、現状、E組はスペインが勝ち点4、得失点差7で1位だ。続いて日本が勝ち点3、得失点差0の2位。3位は勝ち点3、得失点差-6のコスタリカ。4位は勝ち点1、得失点差-1のドイツである。

 では第3節の結果がどうなれば日本はグループリーグ突破できるのか? まず日本がスペインに勝てば勝ち点6で文句なしだ。他試合の結果にかかわらず決勝トーナメント進出できる。逆に負ければ敗退だ。

 ただし日本がスペインに引き分けた場合でも、他会場の結果次第で可能性は残る。これには得失点差が絡んでくる。現状、得失点差を整理するとスペイン7、日本0、コスタリカ-6、ドイツは-1だ。

 さて、これでもし日本とスペインが引き分ければ、順位は以下のようになる。

(1)まずドイツがコスタリカに勝てば、勝ち点5のスペインは首位突破。勝ち点4の日本とドイツが並び、得失点差で順位が決まる。ちなみにドイツが1点差でコスタリカに勝てば、日本とドイツは得失点差でも並び、総得点の争いになる。

(2)次にドイツとコスタリカが引き分けた場合、勝ち点5のスペインは同じく首位突破。日本とコスタリカが勝ち点4で並び、両者の得失点差で順位が決まる。この場合は得失点差で勝る日本が2位でGL突破だ。

(3)最後にコスタリカがドイツに勝った場合は、勝ち点6のコスタリカと勝ち点5のスペインが決勝トーナメントに進出する。日本は敗退である。

 となれば日本は最低でもスペインに引き分け、かつドイツ・コスタリカ戦が(1)か(2)のパターンになる必要がある。

 日本はコスタリカより得失点差で大きく有利なのでパターン(2)になれば突破の可能性は高いが……。もしパターン(1)になればドイツとは「鼻の差」になる。

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【カタールW杯】自作自演のドイツ戦逆転勝利で「森保名将論」の愚

2022-11-26 07:37:21 | サッカー日本代表
彼は名将だから勝ったのか?

 カタールW杯のドイツ戦後、どうも巷では、サッカー日本代表の「森保監督は稀代の名将だ」ってことになってるらしい。いままではアンチがしきりに「戦術がない」と叩いていたのに、降ってわいたこの名声。なんだかおかしな社会現象だ。

 そして客観的に見ればこの現象は「勝った相手が強豪ドイツだったこと」と、「逆転勝ちだったこと」による人々の興奮によって引き起こされているように見える。

 ではこの現象の要素をひとつひとつ見て行こう。

 まずこの試合はなぜ劇的な「逆転勝ち」になったのか? それはGK権田が慌てることなどないのに敵を倒してPKを取られたからだ。

 こうして試合は「0-1」とドイツにリードされた。だから逆転勝ちが生まれたのだ。

 つまり言ってみればあの劇的な逆転勝ちは、GK権田のファウルといういわば「自作自演」が生み出したものである。

 そして逆転勝ちとは劇的なものであり、ゆえにその興奮によって「森保監督は名将だ」との強い錯覚が生み出される。こういう仕掛けになっている。

システムを変えたから名将?

 もう一点、「森保名将論」を煽り盛り立てている要素がある。それは、リードされたドイツ戦の後半から、森保監督がシステムを4-2-3-1から3-4-2-1に変えて戦ったからだ。

「すごい! 意表を突く戦術変更だ。彼は名将だ」ってわけである。

 さらにおかしいなぁと思うのは、「森保監督は3-4-2-1を隠していた」などという贔屓の引き倒しまである点だ。

 いやそんなもの、3-4-2-1なんて森保ジャパンは以前からテストマッチでちょこちょこ使っていたし、現に3バックは最後のテストマッチになったカナダ戦でもやっている。

 だいいち、そもそも森保監督がサンフレッチェ広島の監督時代に一時代を築いたのは、その3-4-2-1によってだった。ゆえに私は彼が代表監督に就任した時、てっきり「日本代表は3-4-2-1をやるんだな」と思ったくらいだ。

 それくらいだから当然、今回のカタールW杯でも使うのだろうと思っていた。

 それを「まさかドイツ戦の土壇場で3-4-2-1で逆転するなんて! 魔法使いのようだ」みたいに人々が口々に誉めそやすのは、ひとつは(繰り返しになるが)相手が強豪ドイツだったこと。そして逆転勝ちしたことによる興奮からである。

 裏を返せば、ここでも対戦相手がはるか格上の強豪だった点、またそれによる興奮という人々の激しい心理状態が「現状認知」に大きく影響を与えている。で、「名将だ」となるのである。

交代選手が点を取ったから?

 これだけでは納得しない人もいるだろう。試合の強い興奮と陶酔ゆえだ。ではもう少し考察してみよう。

「ドイツ戦で点を取ったのは、森保監督が途中出場させた堂安律と浅野拓磨だ。起用がドンピシャじゃないか?」

 そんな主張は当然考えられる。ではその点を分析してみよう。

 試合は敵にリードされている。そんなとき、選手交代を行うのは極めて自然な行為である。

 しかもスタメンで出られなかった選手というのは、「途中出場したらやってやろう!」と強くメンタルが補強される。堂安が「やるのは俺しかいない、と思っていました」とコメントしているが、この言葉などは控え選手ならではの特異なモチベーションを示している。

 また浅野を起用した点については、サンフレッチェ広島出身の彼が「森保監督の申し子」だからだ。いざとなったら、申し子を使う。人間として極めて自然なメンタリティである。

 こんなふうに森保監督はあのドイツ戦で、人間心理にとても素直に反応している。

 つまり「名将のロジカルな采配だったから」というより、「条件反射」に近い人間心理に基づいて森保監督は采配した。その結果があの劇的なドイツ戦逆転勝利だった、といえるのではないだろうか?

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【カタールW杯】ドーハの奇跡 ~日本 2-1 ドイツ

2022-11-24 00:54:09 | サッカー日本代表
日本が強者ドイツに逆転勝ち

 森保ジャパンが強豪ドイツに競り勝った。

 前半は内容なんてどうでもいいから、とにかく食らいつく、というゲームだった。

 前半33分、ギュンドアンのPKでドイツに1点先行されたが、日本は後半にブンデスリーガで活躍する2人の選手が2点をもぎ取り突き放した。

 後半30分に途中出場の堂安がガラ空きのゴールへ冷静にブチ込めば、後半38分にこれまた途中出場の浅野が完璧なボールコントロールから至近距離でノイアーの頭上を打ち抜いた。

 逆転勝ちである。

次節コスタリカ戦に勝てばGL突破も

 日本のスタメンはGKが権田修一。4バックは酒井宏樹、吉田麻也、板倉滉、長友佑都。2CMFは遠藤航と田中碧。右SHは伊東純也、左SHは久保建英。トップ下は鎌田大地、ワントップは前田大然だ。

 日本のシステムは4-2-3-1。
 ゲームモデルはハイプレス&ショートカウンター、をやりたかったができなかった。

 それにしても前半の日本は20年くらい退化したかのようなサッカーだった。ポゼッション率78%と、ドイツにひたすらゲームを支配された。

 4バックのドイツは3バックに可変しビルドアップしてくる。彼らはボールを失うと、素早いトランジションからゲーゲンプレスにくる。現代的なサッカーだ。

 対する日本はドイツにボールを持たせて前からプレスをかけるが、どうやってもかわされる。ワントップの前田はコースを限定しよくボールを追っていたが、ドイツのほうが1枚上だった。

 たとえ日本がボールを奪っても、バックパスに逃げるか、せいぜい前に蹴り込むだけ。

 GKの権田はアバウトなロングボールを放り込むだけで、まったくビルドアップできない。PKになったシーンでも、慌てることはないのに相手を倒してファウルを取られた。何度か窮地を救う好セーブもあったが痛し痒しだ。

 かくて前半の日本はブロックを敷いて守っているだけで、ドイツを怖がりプレイしなかった。

 後半、一転して日本はシステムを3バックに変え、攻撃的に敵を幻惑した。そしてドイツは初戦のスキを伏兵に突かれたような形で失点した。ドイツは圧倒的に優勢だった前半に加点し、勝負を決められなかったのが全てだった。

 だが、それにしてもこの勝ちはとてつもなくデカい。

 次に当たるコスタリカは、0-7でスペインに負けている。日本は次節の最弱コスタリカ戦に勝てば、勝点6でグループリーグ突破の可能性もある。

 あとはブチ抜くだけだ。

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【森保ジャパン】新機軸が見られた敗戦 ~日本 1-2 カナダ

2022-11-18 04:47:45 | サッカー日本代表
けが人だらけの苦しいテストマッチ

 サッカー日本代表は17日、カナダ代表と国際親善試合を行った。試合は接戦の末、1—2で敗戦した。

 カタールワールドカップまで、あとひとつ最後のテストマッチだ。

 日本代表は守田英正と遠藤航がケガで欠場のため、2人のCMFには柴崎岳と田中碧が出場。右SHに相馬勇紀、左に久保建英を入れ、4-2-3-1で試合に臨んだ。

次につながる希望の光は見えた

 カナダが日本を押し込みポゼッションし、日本はハイプレスからのカウンターで迎え撃つ展開だ。

 日本はけが人だらけの状態だったが、立ち上がりにペースをつかむ。

 前半8分、柴崎岳がロシアW杯で見せていたような敵のライン裏に落とすロングパスを入れ、それを相馬勇紀が押し込んでリードした。

 これで主導権を握った日本だったが、カナダもフィジカルを武器に応戦し、結局、2度のセットプレイを決められて敗戦した。

 だが負けた日本にも光るものはあった。柴崎が全盛期のような鋭いパスを見せ、久保は素晴らしいシュートと意表を突くパスを出していた。

 またCMFで途中出場した鎌田大地もすごかったし、ワントップで出た上田綺世もよかった。しかも最後には85分に吉田麻也を投入し、3バックも試せた。

 日本は敗戦に終わったが、次につながる光は見えた試合だった。

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