すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【プレミアリーグ 18/19 第6節】3強対策が進み首位争いは混沌 〜ウェストハム0-0チェルシー

2018-09-28 07:10:06 | イングランド・プレミアリーグ
チェルシー、6連勝ならず

「そうは問屋が卸さない」という言葉がある。

 今季、のっけからマンチェスター・シティとリバプール、チェルシーが連勝を続け、気の早い向きにはもはや優勝争いは3強に絞られたかのようなムードが漂った。

 だが、ことはそう簡単には行かない。他チームによる3強対策が進み、ついにチェルシーの連勝がストップした。しかも内容を見ると、ウェストハムの健闘はフロックでもなんでもない。明らかに研究の成果である。

 これで第6節を終え、リバプールが開幕6連勝の勝ち点18。それを5勝1分けのマンC、チェルシーが追っている。この時点で先を読むのは鬼が笑うが……リバプールはサラー、フィルミーノ、マネの強力3トップの破壊力とチームの勢いで勝つチームだけに、バイオリズムが下がると波ができそうだ。

 とすればこのままリバプールが勝ち続けるとも思えないし、そうなると勢いのリバプールより、システマチックな計算づくの勝ち方ができるマンC有利にも思える。また今節で連勝が止まったとはいえ、チェルシーがこのまま負け始めるとはとうてい思えない。

 はてさて、どうなるのか。

 まあ神のみぞ知る、ということでしばらくは首位争いを興味深く堪能するとしよう。

パスワークを寸断したウェストハムの守備

 さてゲームのレビューへ行こう。まずチェルシーのフォーメーションはいつもの4-1-2-3だ。スタメンはGKがケパ。4バックは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤3センターはアンカーがジョルジーニョ、右がカンテ、左がコバチッチ。3トップはウィリアンにジルー、エデン・アザールである。

 さてこの試合、チェルシーは前節に見せた流麗で美しいパスワークがまるで幻だったかのように沈黙した。中央を締めてスペースを消すウェストハムの粘り強い守備にあい、チェルシー側のボールの流れはすっかりブツ切りにされ、各駅停車にされていた。

 エデン・アザールは焦りからかボールを持ちすぎ、ボールを失うまでドリブルを続ける。味方を使わない。個人技の高い選手の典型的な自滅パターンだ。

 ウィリアンにもいつもの切れ味がなく、ジルーに至っては前節に披露した鮮やかなポストプレイがまるで嘘のようにゲームから消えていた。

 一方、ウェストハムはインテンシティの高い守備からボールを奪うと、サイドチェンジを絡めてうまく攻めた。だが残念ながらアタッキングサードで決め切る力がなく、ゴールが奪えない。

 結果、持ち前のパスワークが寸断されたチームと、守備は固いが決定力のないチームの噛み合わせになり、ゲームは0-0の引き分けに終わった。

 前節と今節では、敗れはしたがカーディフがチェルシーおよびマンチェスター・シティ攻略の一端を示した。またこのゲームではウェストハムがチェルシーを封じた。今シーズンの立ち上がり、マンC、チェルシー、リバプールの3強はまるで無人の野を行くかのような勝ちっぷりだったが、次第に中位、下位各チームによる研究が進み対策が取られ始めたようだ。

 さて、ここから果たして3強は新たにプランB、プランCという対抗策を出し、中位、下位による包囲網をうまく出し抜けるのか? いよいよおもしろくなってきた。

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【プレミアリーグ 18/19 第6節】マンC攻略の糸口 〜カーディフ 0-5 マンチェスター・シティ

2018-09-27 08:13:16 | イングランド・プレミアリーグ
フォアプレスで振り向かせない

 結果的に大量得点が入ってしまったが、カーディフがマンチェスター・シティ攻略のための一端を立派に示した試合だった。

 シティのビルドアップに対し、彼らはミドルサードの敵陣側からプレッシングを始めた。カーディフが中央をガッチリ締めて背後から圧力をかけてくるため、シティの選手は縦パスを受けても振り向けず、ダイレクトでバックパスを繰り返した。少なくとも1点目が入るまでは。

 シティがボールを味方に当てても、カーディフはボール保持者の背中に張り付いて決して振り向かせない。この粘りの守備が90分間続けば試合になるが、さてどうなるか? と見ていたが……やはりカーディフの選手は疲れからか次第にスペースを与えてしまうようになり、やられてしまった。

 とはいえ彼らの粘り強いファイティグスピリットには敬意を表したい。このゲームがきっかけになり、マンC攻略の糸口が開けるかもしれない。

わずかなスペースも与えるな

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKにエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、オタメンディ、ラポルト、デルフ。中盤3センターはアンカーがフェルナンジーニョ、右にベルナルド・シウバ、左にギュンドアン。3トップはスターリング、アグエロ、サネだ。

 冒頭に書いた通り、先制点を取るまでシティの選手は後ろ向きでボールを受けても振り向けず、バックパスばかり繰り返していた。そのカーディフの固い守備網がほどけたのが前半32分だった。

 わずかな狭いスペースを見つけて間受けしたギュンドアンがファーストタッチで振り向き、ベルナルド・シウバに縦パスを出す。ここで守備者の寄せが甘くなり、シウバに中へ折り返しを入れられ、パスを受けたアグエロにシュートされた。

 この先取点が契機になり、まるで堤防が決壊するかのようにシティのゴールが続く。

 前半35分。シティのCKでショートコーナーからサネがクロスを入れ、それをニアでベルナルド・シウバがバックヘッドのような形でボールの軌道を変えて見事にファーに沈めた。

 シティは高い位置でボールを失うと、素早いネガティブ・トランジションからボールを即時奪回する。左SBのデルフは例によって偽SB化してアンカー脇を埋め、中盤の組み立てにも参加している。

 シティの選手は全員が「居るべき場所」へと移動を繰り返し、2タッチ以内で次々にパスをつなぐ。この試合、彼らのポゼッション率はなんと80%を記録した。

 シティの3点目以降は省略するが、いずれもダイレクトプレイやちょっとしたスペースを見つけての機敏なポジショニングが口火を切ったものだ。とすれば彼らを倒すには絶え間ないフォアチェックと、わずかなスペースも与えない守備のポジショニングが必要になる。

 彼らは子供が歩くほんの一歩分のスペースさえあれば何でもできる。絶対にスペースを与えてはいけないーー。

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【プレミアリーグ 18/19 第6節】弱者と強者の対比がくっきり 〜リバプール 3-0 サウサンプトン

2018-09-26 06:06:09 | イングランド・プレミアリーグ
シャキリ先発、リバプールのワンサイドゲームに

 試合開始早々、サウサンプトンは自陣に引き込み、以後リバプールは2バックで押し込み攻め立てるワンマンショーになった。

 たまにサウサンプトンが前がかりになって攻めると、彼らのライン裏にはたっぷりスペースがある。そのスペースに攻め残ったサラーが走り込み、ボールを奪ったリバプールが彼に縦パスを入れるとおもしろいように速攻が決まった。

 この日は新加入のシャキリが先発し、中盤を自由に泳いでゲームを作る。まだ未整理な部分はあるが、リバプールの新しい攻撃の形を披露する形になった。

守備者2人に当たって入る珍しいオウンゴール

 リバプールのフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがアリソン。最終ラインは右からアレクサンダー=アーノルド、マティプ、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤は右からマネ、シャキリ、フィルミーノ。サラーの1トップだが、前の4枚は自由に動く形だ。

 サウサンプトンがほぼ自陣に引きっ放しなため、リバプールのビルドアップは2-2-6のような形になる。試合が動いたのは開始間もない前半10分だ。

 マネが前のスペースに入り込んだシャキリに縦パスを出し、シャキリがシュートを打ったが、そのボールが敵の守備者2人に当たって入る、という珍しいオウンゴールになった。

 リバプールの2点目は前半21分だ。右CKからマティプがヘディングであっさり決めた。続く3点目は前半48分、リバプールのFKをシャキリが蹴り、サラーが詰めた。

 サウサンプトンが引いていることもあり、これですっかり楽勝ムードになり、リバプールはフィニッシュをミスしても笑顔がこぼれる親善試合モードに。まったりユルい雰囲気だ。

 サウサンプトンは選手交代で3バックに変え、両ワイドを高く上げる作戦に出たがゴールは生まれない。そうこうするうちリバプールは後半1分にシャキリを引っ込めミルナーを投入、いつもの4-1-2-3に戻して実験モードは終了した。

 同じリーグでも上位と下位ではこれだけ差があるのか、というゲーム。前回も書いたが、ますますマンCとリバプール、チェルシーの3強がトップ争いをする展開になってきた。

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【プレミアリーグ 18/19 第5節】チェルシーはサッリが創ったしなやかな絶世の美女である 〜チェルシー 4-1 カーディフ

2018-09-20 11:52:20 | イングランド・プレミアリーグ
エデン・アザールがハットトリックを達成

 チェルシーは1タッチ、2タッチで何本ものパスが連なる美しいパスサッカーを披露した。両SBを高く上げる淀みないビルドアップから、ジルーのポストプレイが演出する驚愕のゴールまでがひとつの出し物となり、観劇料を払って見る者を虜にした。

 試合前には「アザールと今季初先発のジルーが楽しみだ」と思っていたら、なんとそのアザールがハットトリックを決め、ジルーは2アシストするのだからたまらない。

 これでチェルシーは、リバプールと同じく開幕5連勝。勝ち点15づつで並んだ。それを勝ち点13のマンチェスター・シティが追う。ここまでの彼らの圧倒的なゲーム内容から考えれば、優勝争いは早くもこの3チームに絞られたという感じさえする。

カーディフが先制、嵐の前触れだった

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3だ。スタメンはまずGKがケパ。4バックは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤はアンカーがジョルジーニョ、右インサイドMFがカンテ、左インサイドMFがコバチッチ。3トップはジルーをCFに右がペドロ、左がエデン・アザールだ。

 立ち上がり、アザールはしきりに中盤へ下りてゲームメイクしている。かたやコバチッチは左SBとCBの間のハーフスペースに落ちてビルドアップに参加。左SBのアロンソは偽SBの動きをして中盤の組み立てに参加したり、インナーラップしてひんぱんに前線へ駆け上がる。またCBのリュディガーは目前にスペースを発見するとドリブルでボールを前に持ち運べる。優れたCBである。

 だがこの日、先制点を取ったのはカーディフだった。前半16分。カーディフは右からのFKをヘッドで折り返したボールをスレイマン・バンバが競り合いながら足で決めた。チェルシーが先取点を取られたのは、今季これが初めてである。

 以後、カーディフは前線と中盤で激しくプレスをかけ、うまく戦っていた。少なくともチェルシーに1点目のゴールを取られるまでは。

ジルーのポストプレイが生んだ美しい2つのゴール

 チェルシーの歓喜は前半37分に訪れた。CBのリュディガーが軽くドリブルしてから、最前線のジルーへ糸を引くようなグラウンダーの斜めの縦パスを出す。

 ゴールに背を向けたジルーはこれをダイレクトでアザールに落とし、アザールは短くドリブルしてゴール左スミへ決めた。2本のパスとシュートがすべて地を這うようなグラウンダーのボールで描かれた美しいゴールだった。

 だが続く前半44分には、それに負けないような絶世の美女がピッチに舞い降りた。

 ジョルジーニョがFKを素早く蹴り、インナーラップしたSBアロンソにパス。アロンソは短くドリブルしてから、左サイドにポジションチェンジしていたペドロにボールを入れる。そのペドロからのセンタリングをゴールに背を向けたジルーが倒れ込みながらダイレクトでアザールに落とし、アザールはひとつ小突いてからゴールに沈めた。

 おそらく神様でも防げないだろう、素晴らしい組み立てからのビューティフル・ゴールだった。あれを食らったカーディフの選手たちには「ご愁傷さま」と言うしかない。

 チェルシーの3点目は後半35分にアザールがPKを蹴ってハットトリックを達成。続く4点目は左サイドでチェルシーが作り、パスが敵に当たったこぼれ球を途中出場のウィリアンがハーフスペースから左45度のシュートをゴール右上スミに突き刺した。

 後半はほとんどチェルシーがボールを握り、ポゼッション率は77%を記録した。いったいこのチームを止めるのはマンチェスター・シティか? それともリバプールか? なんだかゴジラ対キングギドラを観ているような気分になってきた。

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【プレミアリーグ 18/19 第5節】リバプール、余裕の開幕5連勝 〜トッテナム 1-2 リバプール

2018-09-19 11:11:38 | イングランド・プレミアリーグ
両者譲らぬ白熱の攻防

 両チームともボールを失ってもリトリートせず、その場で激しくプレッシングして即時奪回をめざす。そのためフィールド全域で真っ向勝負になり、至る所で火花が飛び散る立ち上がりになった。

 トッテナムはショートパスを足元で丁寧につなぎ、ポゼッションを確立させる。それに対しリバプールがボールを奪って速いカウンターを見舞う展開になった。ゆえにリバプールのポゼッション率は前半で40%を切ったが、逆にシュート数では上回り「やられている感」はない。

 かくて試合はリバプールが効率的な攻めで2点を先制して逃げ切った。リバプールにとっては節目に当たるビッグ6との対戦になったが、相手にボールを持たせても十分に戦えることを証明した一戦になった。

ゴツゴツした手触りの荒々しさ

 リバプールのフォーメーションはいつもの4-1-2-3。スタメンはまずGKがアリソン。最終ラインは右からアレクサンダー=アーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーがワイナルドゥム、右インサイドハーフがミルナー、左インサイドハーフがナビ・ケイタ。3トップはサラー、フィルミーノ、マネである。

 試合はトッテナムがポゼッションする展開になったが、彼らはボールは持ってもアタッキングサードでの破壊力がない。その点、最強3トップを擁するリバプールはケタ違いだ。

 リバプールはポゼッション率ではトッテナムに譲っても、別にベタ引きしているわけではない。トッテナムが少しでもボールを下げると、すかさずラインを上げてプッシュアップする。そしてミドルサードでプレッシングし、ボールを奪えば速攻を決める。

 試合が動いたのは前半39分。リバプールの左CKをトッテナムGKのミシェル・フォルムが弾き、そのこぼれ球をワイナルドゥムがヘディングで押し込んだ。続く後半9分にはマネが左サイドをドリブルで崩し、折り返しは弾かれたもののフィルミーノが詰めた。これでリバプールが悠々2点リードした。

 トッテナム無得点のまま、リバプールのクリーンシートで終わるかと思われた後半48分。トッテナムの左CKがファーへ抜けたところを、ラメラが冷静に胸トラップからシュートを決め、トッテナムが一矢を報いた。

 点差こそ1点差でポゼッション率もトッテナムが上回ったが、内容的にはリバプールこそが勝者にふさわしい試合だった。

 それにしてもリバプールのスペクタクルな3トップは強力だ。昨季の覇者マンチェスター・シティがお公家さんのお上品なサッカーだとすれば、リバプールはゴツゴツした手触りのワイルドなサッカーだ。ゴリっとした荒々しい野生っぷりがたまらない。まだまだ気が早いが、シーズン末の優勝争いが楽しみになってきた。

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【プレミアリーグ 18/19 第5節】マンCの高速パスワークが炸裂 〜マンチェスター・シティ 3-0 フラム

2018-09-18 09:35:33 | イングランド・プレミアリーグ
芸術的な間受けの競演

 マンチェスター・シティは前半2分にいきなりサネのゴールで先制すると、少ないタッチ数で光速パスワークを自在にあやつり独演会を繰り広げた。

 シティの選手はどんなに狭いスペースでも、中央レーンのライン間で間受けを連続させ、ボールをスルスルと前へ運ぶ。ワンツーや3人目の動きを入れながら、フラムの守備者など存在しないかのようにパスをつなぐ。まるですばしっこい無数のゴーカートが、機敏に障害物をよけて走り回っているかのようだ。

 ネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)もいい。ボールを失った瞬間、獲物に飛びかかるスピードとタイミングがものすごく速く、まるでパスカット製造機のようにフラムの甘い横パスをインターセプトし続けた。あれだけ精密でスピーディなサッカーでは、下位や中位のチームではとても勝てないだろう。

選手は引越しを繰り返し電話番号を変える

 シティのフォーメーションは4-1-2-3だが、それは単に試合が始まった時点での電話番号にすぎない。彼らはポジション間で絶えず引越しを繰り返し、電話番号を変える。例えばビルドアップで左SBが高く張り出し3-1-3-3になったかと思えば、偽SBが登場し2-3-2-3になったりする。

 そんなシティのスタメンは、まずGKがエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、オタメンディ、ラポルテ、デルフ。中盤はアンカーがフェルナンジーニョで、右インサイドMFがベルナルド・シウバ。左インサイドMFはダビド・シルバ。3トップはスターリングとアグエロ、サネである。

 前半2分、鮮やかなシティの先制点は鋭いパスカットで始まった。フラムのビルドアップ時、まずGKから右サイドに縦パスが出る。それを受けたフラムの選手が自陣で緩慢な横パスを出したその瞬間、猛スピードでスプリントしてきたフェルナンジーニョがパスカットし、ドリブルから右へ折り返す。直後にゴールを決めたサネは、ダイレクトでただ触るだけだった。

 続く前半21分のシティの2点目は、ベルナルド・シウバが立役者になった。彼がペナルティエリア右のオープンスペースに走り込んでパスを受け、中へセンタリング。ゴール前中央で混戦になったこぼれ球をダビド・シルバがワンタッチで押し込んだ。

 仕上げは後半2分の3点目だ。右サイドからアグエロが敵GKと最終ラインの間に絵に描いたようなシュート性のクロスを入れ、それをスターリングがダイレクトで決めた。自ゴールに向いて守る敵DFがクリアしようとボールに触るとオウンゴールになってしまうコースに強いラストパスが出て、試合は決まった。

 シティがあげた3ゴールは、すべてダイレクトで決めたものだ。パスワークが1タッチ、2タッチならば、シュートも1タッチ。プレイスピードがあまりにも速すぎて敵の守備者はなすすべがない。

偽SB化しカウンターに備えるデルフ

 おもしろかったのは左SBで出場したデルフだ。本来、MFの彼は幅をいっぱいに取ってサイドを激しく上下動し攻撃にも参加する。

 かと思えばチームが3点目を取り安全圏に入ったと見るや、彼は偽SBのポジショニングをしてアンカー脇のスペースを埋める。これで中央を厚くして敵のカウンターに備えると同時に、中盤での組み立てにも加わっていた。

 一方、前線に目をやれば、CFのアグエロはボールを保持する敵GKにまで激しくプレスをかけ、意図的にロングボールを蹴らせてそのボールをチームで回収するスイッチャー役になっていた。

 こんなふうにペップのチームは最前線から最終ラインまで、すべての選手が攻撃と守備の両方に貢献する。相手から見れば敵が22人いるのと同じだ。これでは勝ち続けるのも道理かもしれない。

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【ラ・リーガ 18/19 第4節】乾、絶好のシュートチャンスを逃す 〜バレンシア 0-0 ベティス

2018-09-17 09:47:33 | その他の欧州サッカー
チームとの連携は過去最高

 前半22分。ダイアゴナルランで裏抜けを狙った乾にスルーパスが出る。完璧なタイミングでパスを受け、乾はライン裏へフリーで抜け出したが……ボールがインフロントに当たり損ねてシュートが弱く、敵DFにクリアされた。絶対に決めておきたい決定機だった。

 もしあのシュートを叩き込んでいれば乾に対する評価は確定し、頼れるアタッカーとして強い信頼を得ていただろう。それくらい、どフリーで、しかも重要なシュートだった。おそらく決めていれば後半18分に途中交代されることもなかっただろう。だがそれでも明日からまた前を向いてプレーし続けなければならない。がんばってほしいものだ。

 とはいえこの試合、チームメイトとの連携プレーという意味では過去4試合でいちばんよかった。例えば乾は過去の試合で何度も冒頭に書いたような裏抜け狙いのダイアゴナルランを繰り返していたが、肝心のボールが一度もこなかった。

 また前半30分頃に乾はライン間でボールを受け、狭いスペースのなかワンタッチで前を向いたが、あんな間受けのシーンもいままでなかった。いや乾は過去、何度も間受けを狙えるポジショニングをしているのだが味方がその意図を理解できず、パスがこなかったのだ。

 そういう意味では、徐々に仲間との意思の疎通やコンビネーションは進んでいる。確実にいい方向に向いている。それだけにあの決定的なシュートは決めておきたかった。

バレンシアのハイプレスに苦しむ

 ベティスのフォーメーションは3-4-2-1。ボールを失うと自陣で5-4-1のブロック守備をする。日本代表の森保監督が広島時代から慣れ親しんだやり方とまったく同じだ。

 スタメンはGKがロペス。3バックは右からマンディ、バルトラ、シドネイ。カナーレスとグアルダードの2人をセントラルMFに置き、右WBはフランシス。左WBはジュニオール。前線は1トップ2シャドーで、右のシャドーがブデブス、左のシャドーが乾。1トップはサナブリアだ。

 この日対戦したバレンシアは、前半の立ち上がりにハイプレスで入った。25分くらいまでベティスがボールを保持していたが徐々にバレンシアのパスワークが冴え始め、彼らが次第にペースを握る。

 バレンシアは後半の立ち上がりにも、ベティスのビルドアップに対し猛烈なハイプレスをかけてきた。そのためベティスは3バック間で単にパスを回しているだけになり、ボールを前に引き出せない。

 おそらくベティスが攻撃的なチームであり、最終ラインからていねいにビルドアップしてくることをバレンシアは研究しているのだ。そのビルドアップを破壊するためのハイプレスなのだろう。とすればベティスは相手がビルドアップを制限しにきた場合のプランBを持っておく必要がある。

 とはいえバレンシアが押し込み、ラインを上げて前がかりで来ているときには、バレンシア陣内には広大な無人のスペースが広がっている。つまりそのときベティスが自陣でボールを奪った瞬間は、カウンターの絶好のチャンスだ。だがベティスはせっかくマイボールにしても縦パスを受けた選手がなかなかライン裏へ抜け出せず、チャンスをものにすることができなかった。

どんなサッカーをやろうとしているのか?

 選手別では、右シャドーのブデブスは中盤まで下りてきてゲームメイクもし、ボールによくからんでいた。

 対照的に1トップのサナブリアはボールに触る回数が極端に低く、物足りない。もっと大迫のようにクサビのボールをポストプレーで収められるCFがいれば、攻めにバリエーションができるのだが。またこの日はセントラルMFのカナーレスも不安定でデキがよくなかった。

 総評としては、どうもキケ・セティエン監督がどんなサッカーをやろうとしているのかが見えにくい。ウイングバックを置いているのだからサイドを使おうという意図なのだろうが、その割に中央経由のビルドアップが多くサイドからクロスを入れる回数もそう多くない。

 また乾が裏抜け狙いのダイアゴナルランを繰り返してもボールがこないし、間受けを狙ってもチームメイトが意図を理解できずパスがもらえない。ひとことでいえばチーム内での共通理解が少なく、まだチームとしてひとつになってない印象だ。この状態で昨季は6位。今季もリーグで上位にいるのだからなんだか不思議なチームである。

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【森保ジャパン】ゴールに飢えた素敵な狼たち 〜日本3-0コスタリカ

2018-09-12 11:35:13 | サッカー日本代表
俊敏でキレまくり、驚異の森保チルドレン

 こんなエゴイスト揃いの素敵な代表が過去にあっただろうか? 全員がゴールに飢えている。ドリブルで2人3人かわし、最後は必ずシュートで終わる。かと思えばダイレクトパスがさざ波のように小気味よく続き、目を疑うようなラストパスが最後に飛び出す。軽快で楽しいサッカーだ。

 日本人ならではの軽やかな敏捷性とキレのよさ、スピードを兼ね備えた忍者のような若者たちが、大阪の夜を魅了した。強烈なインパクトである。もう来年1月のアジアカップはこのメンバーでそのまま行ったほうがいいんじゃないか? そんな思いにとらわれた。

 特に中島翔哉と堂安律、伊東純也の爽快なドリブルや切り返しは何時間でも見ていたくなる。時空を瞬間移動できる攻撃的な彼らが、大柄で鈍重なヨーロッパのDFをキリキリ舞いさせるところをW杯でぜひ見たい。

ドリブルをからめた多彩なフィニッシュ

 さて森保ジャパンのこけら落としとなったコスタリカ戦。日本は4-2-3-1で戦った。スタメンは、まずGKが東口順昭。最終ラインは右から室屋成、三浦弦太、槙野智章、佐々木翔。中盤はセントラルMFが青山敏弘と遠藤航。右SHは堂安律、左SHは中島翔哉。トップ下は南野拓実。CFは小林悠だ。️️

 日本のビルドアップはSB経由か、セントラルMF経由の2ルートだ。直接、前線を狙うようなダイレクト攻撃はしない。ていねいにボールを転がし、後ろから組み上げて行く。

 ただし改良の余地はある。敵は2トップで日本の2CBにプレッシングしてくるのだから、セントラルMFが最終ラインに落ちて3バックを形成して数的優位を作り、そのぶん両SBをもっと高く張り出させるような工夫をしたかった。時おり青山が両CBの間に下りてはいたが、さらにビルドアップをシステマチックにしたい。

 一方、中盤から前線にかけては、過去の日本代表に類を見ないほどドリブルの比率が高かった。特に中島と堂安の個の力を生かした持ち運びが効いていた。

 フィニッシュはそのドリブルからのシュートやラストパス、クロスのほか、ポストプレイを絡めたワンツーからのダイレクトシュートなど非常に多彩だ。アタッキングサードでの崩しのアイディアの豊富さは、過去の代表随一ではないだろうか? 非常に攻撃的である。

その場でプレスしボールの即時奪回を狙う

 他方、日本はボールを失うとリトリートせず、その場でプレッシングし即時奪回を狙っていた。これが第一選択だ。その第一プレッシャーラインを突破されたらミドルサードまでリトリートする。

 またコスタリカのビルドアップに対し、日本はミドルサードに4-4-2の守備ブロックを敷いた。そして「2」の小林と南野がボールを保持する相手のCBに対し、ミドルサードの敵陣側からプレッシングを開始していた。

 ただし敵のビルドアップの制限のしかたについては、小林と南野の2人による連動したプレッシングやパスコースの切り方、中間ポジションの取り方などに修正すべき点は見られた。

 一方、コスタリカのフォーメーションは3-1-4-2だ。彼らはボールを失った場合、ミドルプレスとローブロックを使い分けていた。また日本に押し込まれるとリトリートし、ディフェンディングサードに5-3-2のブロックを作る。これが基本形である。

常にシュートを狙う積極性がすばらしい

 試合が動いたのは前半16分。日本の右CKから佐々木がヘディングシュートし、それがコスタリカの選手の頭に当たってオウンゴールになった。敵ながら見事なヘディングシュートだった。これで1-0。日本の先制だ。

 続く2点目は後半21分。裏抜けした遠藤にボールが出て、遠藤が右にパス。これを南野がカラダをひねってあっさり決めた。スペースを見つけてライン裏に走り込んだ遠藤のファインプレーだった。

 3点目は、もう試合終了間際だ。後半40分に途中交代で入ったばかりの伊東純也が右サイドをドリブルし、最後は切り返して左足でゴールに叩き込んだ。アディショナルタイムの後半48分である。

 まるで伊東はあの1点を取るためだけに途中出場したようなものだ。彼はドリブルを開始した時点で、明らかに自分でシュートを打つことを狙っていた。すばらしくエゴイスティックなプレーヤーである。非常にいい。

 こんなふうに日本はパスばかりでなく、チームとして常に積極的にシュートを狙っているところがすばらしい。またリズミカルな2タッチ以内のパスワークも光った。機敏なトランジション(攻守の切り替え)もいい。ひとことで表現すれば、見ていて楽しいサッカーだ。

 ただし無失点で勝てたのはコスタリカのフィニッシュに問題があったのを忘れてはいけない。相手が弱かったから3-0で勝てた。そういうことである。

守備に関しては課題が満載

 一方、守備に関してはおそらく手つかずなのだと思うが、修正点は多い。例えば攻撃的な中島は攻めるだけでなく守備にも走り回っていて非常に好感が持てた。ただチーム全体にそれが個人のがんばりで終わっていて、十分に組織的な守備になっていない。しっかり3ラインを作るコレクティブな守備を構築したい。

 現状、めいめいが自分のゾーンに入ってきた敵を見るだけで、複数の選手が連動してひとつながりのラインやブロックになってない。隣のゾーンで味方がボールを競り合っているときに、じゃあそれをカバーリングするにはどの角度で、どこにポジショニングするべきか? そこを考えてほしい。

 選手個人では、コンディションが悪かったのか、青山にミスが目立ってちょっと心配になった。彼はもっともっとできるはずだ。あのレベルなら柴崎岳に簡単に取って替わられてしまうだろう。

 最後に今後を展望すれば、若い彼らにはまだまだ途方もない伸びしろがある点が大きい。今はまだ散発的なきらめきで終わっていても、それが連続してひとつになれば大きな光になる。

 昨日の記事では「森保ジャパンに乗れない」などと書いてしまったが潔く前言撤回。まだ1試合しか見ていないが、十分注意深くウォッチすべきチームであると認識を改めた。今後が楽しみだ。

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森保ジャパンに乗れない理由

2018-09-11 07:41:10 | サッカー日本代表
「かりそめの代表」感がハンパない

 森保ジャパンのこけら落としは若手が大量登用されて賑わっているが、なんだか乗れない。

 そのうちロシアW杯組が戻ってくれば、どうせこれら若手は大半が駆逐されるのだろうし、それならコスタリカ戦あたりは「かりそめの代表」を見せられているみたいで力が入らない。

 どうせそのうちいなくなるんだろうなぁ、と思うと気が抜けるのだ。

 初戦は4バックらしいが、長期的にはもともとJリーグを想定したフォーメーションにすぎない3-4-2-1を採用するのだろう点にもなんだかモヤモヤする。

 いやもちろん中島や堂安ら若手が活躍し、彼らの8割くらいが代表に定着してくれるのならもちろん力が入るが。

 ぜひそうなってほしいものだ。

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【プレミアリーグ 18/19 第4節】ワトフォード、堅守速攻で開幕4連勝 〜ワトフォード 2-1 トッテナム

2018-09-10 07:42:55 | イングランド・プレミアリーグ
2つのセットプレイをモノにし手堅く2点

 開幕3連勝同士の対決だ。昨季14位に終わったワトフォードはFKとCKで手堅く2点をあげ、ビッグ6のトッテナムを破った。ワトフォードは低い陣形から相手にボールを持たせてカウンターを狙うスタイル。いわゆる「弱者のサッカー」が奏功しリバプール、チェルシーと並び見事に開幕4連勝を飾った。

 ワトフォードのフォーメーションはベーシックな4-4-2だ。スタメンはGKがフォスター。最終ラインは右からヤンマート、キャスカート、カバセレ、ホレバス。中盤はドゥクレ、キャプエのセントラルMFに右SHがヒューズ、左SHがペレイラ。2トップはグレイとディーニーだ。

 一方、複数のフォーメーションを操るトッテナムは3-1-4-2で来た。スタメンはGKがフォルム。3バックは右からアルデルヴァイレルト、サンチェス、フェルトンゲン。中盤はアンカーがデンベレ、右インサイドハーフがエリクセン、左インサイドハーフがアリ。右WBはトリッピアー、左WBはデイビス。2トップはケインとモウラだ。

 試合は前半10分すぎからワトフォードがラインを低く構えるようになり、必然的にトッテナムがボールを握った。ポゼッション率は7割近い。かたやワトフォードは堅守速攻。相手にボールを持たせて縦に速いカウンターを狙う。お互いゲームプラン通りだろう。

 トッテナムのビルドアップは3バックが大きく幅を取り両WBを押し出す。これでグラウンダーのパスとサイドチェンジを効果的に使う。足元のパスを正確につなぎポゼッションする。時おり混ぜるロングフィードも武器だ。

 一方、ワトフォードは緻密にビルドアップするというより、ボールを奪ったら早めにライン裏を狙うダイレクト攻撃をする。ボールを失うとリトリートして自陣に4-4のブロックを作り、途中まではボールを持たせるが最後はハードワークでシュートまで行かせない。フィジカルを生かした球際の強さが光る。特にセントラルMFのドゥクレは、しなやかな動きでバネの効いたプレーをするいい選手だ。

ワトフォードは台風の目になるか?

 さて前半はほぼトッテナムのポゼッション・ショーで終わり、後半8分。トッテナムが後方からのロングフィードのこぼれ球をエリクセンが拾いパス・アンド・ゴー。最後は右からの折り返しをワトフォードのドゥクレが胸トラップしたボールがそのまま入ってオウンゴール。トッテナムが先制した。

 これで流れがトッテナムに行くかと思いきや、さにあらず。後半24分。ワトフォードが右45度からのフリーキックにFWディーニーが頭できれいに合わせ同点とする。

 追いついたホームのワトフォードは一転してラインを上げ、猛攻をかける。それまで守備的にプレイしていたSBが上がるようになり、幅の取れた攻撃になる。

 そして後半31分。ワトフォードが左からのコーナーキックにキャスカートがヘディングで左スミに叩き込み、2-1とする。決勝点だ。リードされたトッテナムは3バックを4バック(2バック)に変えて激しく攻めたが届かず。そのまま押し切られた。

 ワトフォードは背伸びしない堅守速攻とハードワーク、またセットプレイを確実にモノにする手堅い試合運びで絵に描いたように開幕4連勝をもぎ取った。戦力を考えればこのまま勝ち続ける可能性は高くないかもしれないが、台風の目にはなりそう。一方のトッテナムは勝利の女神に見放されたがチーム状態はよく、最終的には優勝戦線にからんできそうだ。

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【セリエA 18/19 第3節】ユーべ、圧倒のポゼッションで開幕3連勝 〜パルマ 1-2 ユベントス

2018-09-09 09:00:55 | その他の欧州サッカー
ロナウドは依然ノーゴール

 ユベントスが7割のポゼッション率で追いすがるパルマを振り切った。単独首位に立つ開幕3連勝だ。ユーべは試合開始早々の前半2分にマンジュキッチのゴールで先制。ところが前半33分にパルマのジェルヴィーニョが同点ゴールを叩き込み追撃する。だがユーべは終始ボール支配率を高める戦い方で試合をリードし、後半13分にマテュイディのビューティフルゴールでゲームを締めくくった。

 ユベントスのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがシュチェスニー。最終ラインは右からクアドラード、ボヌッチ、キエッリーニ、アレックス・サンドロ。アンカーにはピャニッチを配し、右インサイドMFがケディラ、左インサイドMFがマテュイディ。3トップはベルナルデスキとクリスティアーノ・ロナウド、マンジュキッチだ。

 試合は冒頭、マンジュキッチのゴールで幕を開けた。前半2分だ。右サイドからクアドラードがゴール前にアーリークロスを入れ、マンジュキッチがなんと3人の守備者を相手に1人で競り勝ちセカンドボールを詰め切った。まさにゴールハンターの名にふさわしい堂々のゴールだ。攻撃的なクアドラードを右SBに起用したアッレグリ監督の采配が早くも当たった。

 ユベントスはラインを押し上げ、常に人数をかけて押し込む。これでゲームを支配するユーべがボールを失えばパルマがカウンターをかける、という試合展開である。

 ユーべはボールを失うとロナウドだけを残してディフェンディングサードまでリトリートし、4-5のブロック守備をする。そしてパルマのボールホルダーが少しでも背中を向けてボールキープするとすかさずラインを押し上げ、プレッシングしてボール奪取を図る。

 ユベントスはトランジェント志向でなく、ボールを奪うと必ずいったんポゼッションを確立しようとする。両SBを上げる台形のビルドアップをし、時おり前の選手が最終ラインに下りる。フィニッシュはサイドからのクロスが多い。

 エースのロナウドは適宜マンジュキッチとポジションチェンジし、時には左SBとCBの間に下りてビルドアップにも参加する。レアル時代と違い、唯我独尊でなくよりチームワークを重視したプレイスタイルだ。

マンジュキッチが攻守に貢献

 前半早々の先制ゴール以降、ユベントスは7割近いポゼッション率で試合を支配したが、前半33分にはパルマのカウンターが実を結ぶ。ジェルヴィーニョが左サイドからのクロスを巧妙に腿で押し込み同点弾。以後はユーべがボールを持ちながらも、チャンスになればパルマがカウンターを見舞う一進一退の攻防が続いた。

 ボールを保持しているのはユーべだが、おそらくどちらかといえばパルマのゲームプラン通りだろう。その膠着状態を打開しようとユーべのアッレグリ監督が先に動く。後半10分、ベルナルデスキに代えてドウグラス・コスタの投入だ。

 その積極策が奏功し、ユベントスは3分後の後半13分。左サイドから入ったグラウンダーのボールをマンジュキッチが後ろ向きのまま足の裏でマテュイディにパス。マテュイディは軽くワントラップしてボールをゴールに叩き込んだ。これでユーべが1点リードだ。

 するとパルマはすかさず後半15分。ルカ・リゴーニをアレッサンドロ・デイオラに、また同時にジェルヴィーニョをアレッシオ・ダ・クルズに交代させる、という2枚替えで追撃体勢に入る。これでパルマはラインを一気に押し上げて活性化し白熱した攻防が続いたが、最後はユーべが押し切った。

 ユベントスはマンジュキッチが先制ゴールに止まらず、前からのプレッシングやリトリートしての守備ブロックにも労を惜しまず参加する献身性を見せて開幕3連勝の首位。これでロナウドにゴールが出始めれば独走か? とも思わせる試合運びで勝ち切った。

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【プレミアリーグ 18/19 第4節】チェルシー、リバプールと並び開幕4連勝 〜チェルシー 2-0 ボーンマス

2018-09-06 09:55:18 | イングランド・プレミアリーグ
後半ドン詰まりに2点連取

 ボーンマスは立ち上がり、激しいハイプレスで入った。彼らのラインは高く、プレスをかわされるとチェルシーにカウンターを食うがリスクを取っている。これで試合の入りはバタバタしたが、前半15分頃からボーンマスがブロック守備に移行してから膠着状態に入る。0-0のまま前半を終え、ボーンマスのゲームプランが奏功したかに見えたが、後半終盤にチェルシーが2点を連取し決着をつけた。

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがケパ。最終ラインは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダヴィド・ルイス、アロンソ。中盤はアンカーにジョルジーニョ。右インサイドMFはカンテ。左インサイドMFにはコバチッチを入れてきた。3トップは右からウィリアン、モラタ、エデン・アザールだ。

 ボーンマスは3バック。立ち上がりを除き、相手ボールになると彼らは自陣に5-4-1のゾーンを敷いた。これでチェルシーのビルドアップに対し、ミドルサードの敵陣側からプレッシングする。チェルシーがサイドにボールを出すと、中盤の4枚がボールサイドにスライドする。

 チェルシーは意識的にか、真ん中のゾーンを使っている。これで敵を中央に引きつければサイドが空く。で、サイドを使う。そういうことなのだろう。

ハーフコートマッチになるも均衡破れず

 こうしてボーンマスがハイプレスをやめ、リトリートするようになった前半20分頃からはチェルシーが押し込み始め、次第にハーフコートマッチの様相を呈してきた。

 とはいえボーンマスの選手は意外にキープ力があり、自陣でボールを奪うとパスをつないでチェルシー陣内になだれ込む。だがアタッカーの人数が少なく、得点には至らない。ポゼッション率は圧倒的にチェルシー優勢だが、ボーンマスのカウンターも効いてゲームは完全な膠着状態になった。

 このジリジリするような一進一退の攻防に決着をつけたのはチェルシーだった。後半27分。チェルシーは左サイドで縦パスを2本つないで途中出場のペドロが同じく途中出場のジルーの足元に当て、そのダイレクトの落としをゴール左スミに決めた。

 続く後半40分には左サイドでチェルシーのアザールがアロンソにいったんボールを預け、そのリターンをもらってファーサイドに決めた。ボーンマスは健闘したが、疲れからか後半大詰めにきて立て続けに失点。万事休した。

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【プレミアリーグ 18/19 第4節】リバプール、ビルドアップに課題も開幕4連勝 〜レスター 1-2 リバプール

2018-09-05 09:03:46 | イングランド・プレミアリーグ
GKアリソンのミスで痛い1失点

 リバプールはどうもボールが落ち着かない。レスターに競り合いにされ、いつものパスワークが見られない。レスターのプレッシングがキツく、ビルドアップもままならない。ポゼッションできない。そんな「ないないづくし」の試合だったが、強引に個の力で押し切った。そこがリバプールの強みである。

 リバプールのフォーメーションはいつもの4-1-2-3。スタメンはGKがブラジル代表のアリソン・ベッカー。最終ラインは右からアーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーにスタメン復帰したヘンダーソン、右インサイドMFはワイナルドゥム、左インサイドMFはミルナーと変えてきた。3トップは昨季得点王のサラーと偽9番のフィルミーノ、セネガル代表のマネである。

 最初の得点はリバプールだった。試合開始10分だ。左SBロバートソンのマイナスのクロスを、マネが腿でトラップしたあと2タッチ目でゴール左スミに叩き込んだ。マネはパスを受ける直前、前に飛び出すスピードを微妙にタメて角度を作り、マイナスのパスコースを作り出した。あれで決まった。

 さて、これで今日もゴールラッシュか? と思われたが、さにあらず。リバプールのボールになるとレスターは前から積極的にプレスをかけ、自由にさせない。おかげでボールのつなぎに珍しくミスもあり、リバプールは苦し紛れにビルドアップを省略しロングボールを入れたりしている。

 いつもの、アンカーがたくさんボールに触り、SBをフル活用したビルドアップができてないのだ。今日は開幕からずっとアンカーを務めたワイナルドゥムでなく、復帰したヘンダーソンが代っているせいか? それともレスターのプレッシングのせいか? その両方だろう。

 そのためクロップは修正策として後半26分にヘンダーソンを引っ込め、ずっとスタメンだったナビ・ケイタを投入して左インサイドMFとし、アンカーをいつものワイナルドゥムに代えている。

クロップはプランBを用意する必要がある

 そんな厳しい状況だったが、この日の2点目もリバプールだった。前半45分だ。右CKからフィルミーノがあっさりヘッドで決めた。よく見るとフィルミーノは目前で行われた競り合いから抜けてくるボールに対し、すかさずフリーになる動きをしている。カンタンに決めたように見えるが、ここが隠し味だ。

 ところが後半18分には、レスターがラシド・ゲザルのゴールで1-2と追い上げる。この得点シーンは大いに議論を呼ぶだろう。リバプールのGKへのバックパスがそれ、GKアリソンが飛び出したのだがボールを奪われ、センタリングされて失点したのだ。

 足技に自信のあるGKアリソンは、このとき余裕で敵をかわそうとしたのだが失敗した。クリアすればなんでもないのにGKとしてはあり得ないミスだった。

 試合は結局そのままリバプールが押し切ったが、課題の残るゲームだった。第2節で戦ったクリスタル・パレスもこの日のレスター同様リバプールを研究し、プレッシングとSHのポジショニングでリバプールのビルドアップを阻害してきた。それならクロップはプランBを用意する必要がある。さて彼はどう出るのか? 期待して待とう。

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【ラ・リーガ 18/19 第3節】乾、初のフル出場 〜ベティス 1-0 セビージャ

2018-09-04 16:24:42 | その他の欧州サッカー
ポジションは2トップの左

 燃えるアンダルシア・ダービーとなったベティスの第3節セビージャ戦。乾は前節に引き続きスタメンで試合に出て、かつ初のフル出場を果たした。後半30分にそれまでベンチに控えていたエースのホアキンが途中出場したので、すわ乾は替えられるのか? と焦ったが取り越し苦労だった。乾は監督の信任を得ているようだ。

 ベティスのフォーメーションは3-1-4-2。スタメンはGKがロペス。3バックは右からマンディ、バルトラ、フェダル。右WBはテージョ、左WBはジュニオール・フィルポ。アンカーはウィリアム・カルバーリョ、右インサイドMFはカナーレス、左インサイドMFはグアルダード。乾のポジションは2トップの左で、右のFWはロレンだ。

 ベティスは右インサイドMFのカナーレスが右前に出ながらライン間でボールを受けるなど、敵を撹乱する。かたや左インサイドMFのグアルダードはやや後ろ気味にポジショニングし、アンカーのカルバーリョとともに全体のバランスを取る、というサジ加減である。

 試合が動いたのは後半35分。右からの斜めのクロスを、途中出場のホアキンがヘッドで叩き込んだ。これが今季のチーム初得点だ。

 乾は3本のシュートを放ったがワクを捉えず。ダイアゴナルランを繰り返すが、前節に引き続きボールが出てこない。乾自身、以前に「マーカーを背負うので自分はFWは苦手だ」と語っていたが、その通りの展開になってしまった。だが最終ラインまで戻って守備もやるなど健闘していた。

 試合は両チームともなかなかパスがつながらず、ブツ切りの展開に。とはいえチームは今季初得点をエースのホアキンが決め、乾も初のフル出場、と熱いダービーはいいことづくめで終わった。乾もチームに信頼されているようだ。めでたし、めでたし。

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【プレミアリーグ 18/19 第4節】ブロック守備を無効化するマンCの魔法 〜マンチェスター・シティ 2-1 ニューカッスル

2018-09-03 10:26:03 | イングランド・プレミアリーグ
冴える間受けとフリーラン

 アウェイのニューカッスルは5-4-1で、前節チェルシー戦に引き続き相手ボールになると全員が自陣へ引くディフェンシブなプランで来た。ただニューカッスルは人で自陣のスペースを密に埋めているように見えるが、マンチェスター・シティはライン間でうまくボールをつないでゾーンのギャップを突く。

 シティはまるで守備ブロックなど存在しないかのように、針の穴を通すようなパスが次々につながる。絶妙な間受けとポストプレイ、フリーランニングで敵のブロック守備を無効化している。

 そのマンチェスター・シティのフォーメーションは4-4-2だ。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、ストーンズ、ラポルト、メンディ。中盤はリヤド・マレズ、フェルナンジーニョ、ダビド・シルバ、スターリング。2トップはジェズスとアグエロである。

 シティの中盤センターでは、フェルナンジーニョがアンカー的に常にバイタルエリアを埋めている。彼らは相手に引かれてはいるが、ビルドアップに何の障害もない。中央のフェルナンジーニョ経由、またはサイドのスペースを使ってスルスルと前へボールを運ぶ。

ウォーカーの地を這うようなミドルシュート

 試合が動いたのは前半8分だ。左サイドでシティのメンディからスターリングに縦パスが通り、スターリングは右に切り返してゴール右スミに冷静に叩き込んだ。シティの先制だ。

 これに対してニューカッスルは前半30分。ケネディのポストプレイからロンドンが左でタメて、右サイドをロング・スプリントして上がってきたイェドリンにパス。イェドリンはこれをダイレクトで決めた。1-1の同点である。

 ニューカッスルは同点に追いついて守備が締まり、以後はシティを手こずらせた。だが、それもつかの間。後半7分。バックパスを受けたシティのウォーカーが、ニューカッスルの守備ブロックの外から地を這うようなミドルシュートを突き刺し2-1と突き放した。これでジ・エンドだ。

 前節のチェルシー戦で「ホームなのに守備的すぎる」と批判されたニューカッスル。だが彼らは自分たちの戦力と対戦相手との力関係を計算し、現実的な戦い方をしている。非難されるいわれはない。

 現にこのゲームでも引き気味ではあったが、ファイティグスピリットは光った。特に自陣からゴール前まで、右の大外を猛ダッシュしてゴールを決めたイェドリンのスプリントはすばらしかった。なかなか結果は出ないが、腐らずがんばってほしい。

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